更新日時:2021.09.28
準決勝は南米二強決戦へ!|「ロビーニョが世界に示した1-3アイソレーション」動画&解説|W杯13日目
PHOTO BYFIFA/Getty Images
9月26日、FIFAフットサルワールドカップ2021の13日目、この日は準々決勝の2試合が行われた。
第1試合は、ブラジル対モロッコによる対決を、ブラジルが制した。11分のFK、ブラジルのキャプテン・ロドリゴがミサイルのようなシュートを直接決めて先制。この1点が決勝点となり1−0のまま試合は終了。ブラジルが危なげなく準決勝へ駒を進めた。
第2試合は、ロシア(ロシアサッカー連合)対アルゼンチンという前回決勝と同じカードとなった。今大会初のPK戦の末、アルゼンチンが勝利した。25分にアルゼンチンがFKを直接決めて先制するも、35分にロシアがキックインから同点に追いつく。1-1で突入した延長戦、ロシアが第2PKやロビーニョのシュートなど決定機を作ったが同点のまま終了。PK戦の末、アルゼンチンが勝利した
FIFA フットサル ワールドカップ 2021
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■準々決勝 ロシアvsアルゼンチン|試合ハイライト(引用:J SPORTS)
前回決勝と同じ顔合わせのこの試合は、やはり緊張感が高く、序盤からお互いに感情を表にするシーンも多かった。ロシアはここまで温存していた前回準優勝の立役者の1人、エデル・リマを起用。本気のぶつかり合いとなった。
試合はPK決着となったが、どちらかが「持ち込んだPK戦」ではなく「決着のためのPK戦」だった。素晴らしいゲームであり、どちらも勝者に相応しいチームだった。
ここでは、残念ながらベスト8で大会を去ることになったロシアの特殊戦術について少し触れたいと思う。
もはや奇策ではない!ロビーニョの「1-3」は波及するのか?
今大会、唯一ロシアのみが採用していた攻撃の特殊戦術。それが「1-3アイソレーション」だ。
最後尾に1人、前線に3人というオフェンスのシステム「1-3」は、カウンターを受けたときのリスクが高過ぎるため、通常採用されないバランスの悪い陣形である。
この「1-3」陣形で、しかも最後尾にボールを持たせて、1on1を仕掛ける特殊戦術。それが、ロビーニョを使ってロシアが行った「1-3アイソレーション」である。
ドリブルが得意な選手をわざと孤立させて1on1を仕掛ける「アイソレーション」は、リスク管理のできるサイドで行われることが一般的だ。それを最後尾で行うと「取られれば相手FPとゴレイロの1対1の大ピンチ」、つまり「即失点」を覚悟しなければならない。
圧倒的なリスクである。
メリットはもちろんある、スペースと時間だ。
スペースと時間は、フットサルのという競技の肝であり、それを作り出せるか、見逃さずに活用できるかが勝敗を左右する。「1-3アイソレーション」を使えば、左右前後に広大なスペースと、自分のリズムで仕掛けられる時間を作り出すことができる。
まとめよう。スペースと時間を作り出せる。ただし、即失点のリスクがある。「1-3アイソレーション」は、まさに奇策なのである。
ロシアがこの奇策を、計算の立つ戦術として採用できたのは、ロビーニョというタレントがいたからである。
ブラジル出身の左利きドリブラーは、38歳とは思えないキレとスピードで、この1on1を制し続けた。今大会を通じてチャンスを量産し、失点した場面はない。世界最高のディフェンスを誇るアルゼンチンにすらである。
ロビーニョの成功例を機に、「1-3アイソレーション」は奇策ではなくなるかもしれない。
日本のFリーグでは湘南ベルマーレがロドリゴで、シュライカー大阪が加藤未渚実で、これまでも行っていたが、ドリブラーがいるチームはぜひとも採用してほしい。
もしかしたら、「パワープレー」のように負けているチームが終了間際に仕掛けるリスク戦術として、当たり前になる日が来るかもしれない。
ということで、流行るのか流行らないのか、流行で終わるのか定番になるのか、「1-3アイソレーション」の今後を気に留めておいてほしい。
余談だが、この「1-3アイソレーション」、エンタメ要素も実に高かった。
あからさまなドリブル1on1の構図は、YouTubeで大人気の「全員抜くまで帰れません」にそっくりだ。しかもロビーニョの場合、舞台はW杯、相手はアルゼンチンだったのである。ワクワクしないわけがない。
最後にロビーニョの得点、準々決勝ベトナム戦の動画を貼っておく。
試合の結果は以下のとおり。
9月26日|大会13日目の結果
[準々決勝]
??モロッコ 0-1 ??ブラジル
??ロシア 1(4PK5)1 ??アルゼンチン
[準々決勝日程]
日本時間
27(月)23:30 ??スペイン - ??ポルトガル
27(月)26:00 ??イラン - ??カザフスタン
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