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作成日時:2022.04.01
更新日時:2022.04.01

【日本代表/WEB取材】発足後、初の国際試合を行った木暮賢一郎監督「短い時間で集まってしっかりとプレーできるチームでありたい」

PHOTO BY高橋学

3月27日から4月2日にかけてUAE遠征を行なっている日本代表。

30日に行われた“木暮ジャパン”として初の対外試合になるフットサルアラブ首長国連邦(UAE)代表との試合は、2-1で勝利を飾ることができた。

昨年12月に活動を開始し、今回の海外遠征が3回目の活動になった。

若くフレッシュなメンバーが多く選ばれている中、木暮監督になってから選ばれている34歳のベテラン選手、クレパウジ・ヴィニシウスや代表初招集の黒本ギレルメの名前もあった。木暮監督は彼らをどのように評価し、招集へと至ったのか。

そして、初の国際試合の感想はどんなものだったのか。初陣を終えた木暮監督のオンライン取材が31日に行われた。

【試合結果】
フットサル日本代表 2 (1-0) 1 フットサルアラブ首長国連邦代表
日時:2022年3月30日(水)19:00キックオフ(現地時間)
会場:Zayed Complex Arena(アラブ首長国連邦/フジャイラ)

得点経過
1分  オリベイラ・アルトゥール(名古屋オーシャンズ)
31分 失点
37分 金澤空(立川・府中アスレティックFC)

スターティングメンバー
黒本ギレルメ(立川・府中アスレティックFC)
平田ネトアントニオマサノリ(名古屋オーシャンズ)
吉川智貴(名古屋オーシャンズ)
クレパウジ・ヴィニシウス(ペスカドーラ町田)
オリベイラ・アルトゥール(名古屋オーシャンズ)

ヴィニシウスや黒本はベテランだが気持ちは原田や金澤と変わらない

──あらためて、今回の活動の狙いと、木暮監督になってから初めての国際試合に向けてどんなことを目指し、どんな結果を得られたのかを聞かせてもらえますか?

もともと、日本代表チームはFIFAデイズ(FIFA International “A” Match Window)を活用し、国際試合を通してゲームをしながら強化していくところがコンセプトでした。当初は1月(1月19日~2月6日)に計画してきたなか、コロナ禍の影響で海外遠征から国内合宿に切り替えましたが、そこの活動コンセプトに沿った形で、今回の遠征ができました。目的は国際競争をしていくことと、そこでチームを作っていくことです。

成果としては、サッカー日本代表や各国の代表チームと同じように、短い時間で集まってしっかりとプレーできる。そういうチームでありたいと思います。今回もゲームに向けた準備は数えるほどのセッションでした。コンディション調整をのぞけば1、2回しかないセッションでしたが、そのことを言い訳にしないで、代表チームとしての成長と結果を求め、課題を解決しながら成長していくことをゲームでも出せました。

国際Aマッチを初めて戦う選手が半数以上いたなかで、選手は堂々と戦ってくれました。

──ここまでは、監督が思い描くようなチームづくりができている印象ですか?

プロセスとしては順調だと思っています。ただし、日本代表としては当然、結果が問われますから、「プロセスがいい=いい」ということではありません。目標を成し遂げるためのプロセスでなければいけない。

特に若い選手にとっては、コロナ禍も、それ以前のこの4、5年を含め、なかなか国際経験を積むことができていない世代があったと思います。そういった“空白の世代”の選手たちよりも、さらに若い選手が経験を重ねていくことが大事です。

20歳よりも下の年齢の選手がどれだけ早く国際経験を積めるか。ただし、日本代表は若いからといって優遇され、“プレゼント”されるものではありません。それに見合ったパフォーマンスを出さなければいけません。A代表としてしっかりプレーをジャッジします。そうしたなかでも、若い選手が自信を持ち、臆することなくプレーしているプロセスを歩めているのは、日本フットサル全体が早くから育成に力を入れてきた成果だと実感しています。

──UAE戦で出た課題を踏まえてここから立て直し、作らないといけないところは?

昨日のゲームに関しては2つあります。

一つは、日常とは異なる日本代表のユニフォームであること、アウェイであること、普段とは異なる体格やサイズ、プレースタイルの相手と対峙して、早く慣れること。

そこは各々の選手によっても違うと思います。1回出て、2回目のピッチに立ったところで修正できた選手、前半から後半にかけてアジャストした選手、ゲーム中にはまだ苦しんでいた選手。ただ、そうした選手も、今回1試合プレーしたことで明日の試合では適応してくると思います。僕が見ているのは、個人レベルでどんな対応ができたか、示せたか、ここからどう改善していくかということです。

もう一つは、代表チームとして我々のコンセプトがあるなかで、トレーニングでは見えない、実際に対峙した相手から見えてくる課題があるので、そこは今日一日、映像やピッチでのミーティングを通して改善して明日の試合に臨みたいと思います。

具体的に、チームのコンセプトを体現することには満足しています。精度、バリエーション、組み合わせが変わったときにどんな反応が出るか。基本的には、招集した選手がどんなパフォーマンスを出せるかなので、次は昨日よりいいプレーが出ると確信しています。

(C)JFA

──全日本フットサル選手権大会でいいパフォーマンスをしている選手が選ばれている印象です。直近でいいプレーをする選手が選ばれる方針があるのでしょうか?

基本的に代表チームは、そのときのベストであるべきだと思います。「ベスト」が何かとはいろんな観点はありますが、選考リストを作る時点で調子が良く、パフォーマンスを上げている選手が選ばれるのは当然のことです。

それと、リーグでも上位であること。個の部分で突出していなくても、組織の力で上位にいることもあるので必ず「リーグ上位」というわけではないですが、基本的には、個人のパフォーマンスがいいこと、クラブが上位であることは意識して見ています。

もちろん、そのチームでどういうプレーをして、そのチームがどんなフットサルをしているかも見ています。

──ブルーノ監督が就任する前に、2016年4月に一度、A代表を2試合指揮したことがあります。とはいえ、今回はアウェイで、代表監督として初めてピッチに立ちました。

おっしゃる通り、かつて2試合の指揮を執ったときは、その先を自分がやる状態ではなく、どちらかというと、(アジア選手権に敗れたことで)W杯に行けなくなり、日本フットサルが苦しい状況、次の監督が決まっていないなかどう取り組むかでした。

自分がどのようなフットサルをしたいかとか、世代交代するとかは考えないで、あの状況下で引き受けたことはすなわち、国内の国際親善試合でいいフットサルをして、しっかりと結果を出すことで、サポーターや日本のフットサルファンに「まだ日本は死んでいない」と示すことでした。当然、監督として指揮するのは感慨深く、ピッチで国歌を聞いたりするうえで、暫定とか正式監督などは、大きく変わるわけではありません。常に気持ちがたかぶりますし、これからもその気持ちは変わらないと思います。

ただしあのときと異なるのは、描いているビジョンが違うこと。以前は2試合だけで、今回は目の前のプライオリティがありつつ、短期・中期・長期があって取り組んでいます。

──オリベイラ・アルトゥール選手、吉川智貴選手といった骨格の選手を呼びつつ、ヴィニシウス選手や今回の黒本選手など、ベテランで初招集された選手もいます。

代表チームの年齢は、平均25歳です。ラージリストも24歳で、前回もそうですし、平均としてはそれくらい。一番若いのは17歳で上は37歳。自分の考えでは、年齢を数字で捉えることはもちろんあります。何年後に何歳になるか。アジアカップ、W杯であと何回チャンスがあるかなどは決まっていますし、その数字から見る考え方もあります。

ただし、同じ30何歳でも、若い何歳でも、代表チームでプレーすることにおいて、「フレッシュである」ことは、若いから、歳をとっているからではない。

ヴィニシウスや黒本は、数字としてベテランの域にあるのは誤魔化しようがない事実です。ただし、彼らのメンタリティは、長く代表にいて、少し疲れていたり、慢心があったり、慣れてしまっていたりするわけではなく、代表への野心やプレーできる喜びに満ちています。その考えだと、ベテランではありません。数字ではベテランですが、気持ちでは、原田快や金澤と変わらない。代表でポジションをつかみたいというもの。

私自身、いろいろな選手を見てきました。代表に慣れてフレッシュさを失った選手がいたかもしれないですし、自分も、12年の代表キャリアのすべての活動で常に最初に呼ばれた頃の気持ちでやれていたかはわかりません。ただ、最初のフレッシュさは大事な評価です。

なので、彼らは非常に野心を持って、フレッシュな野心を持ってプレーし、そうした振る舞いを見せてくれています。

──FIFAデイズのなかでの活動ということでしたが、清水和也や逸見勝利ラファエルも呼べるなかで、内田隼太を招集しました。

今は、おそらくFIFAデイズの期間ではありません。当初の1月の活動はその期間内で行う予定だった、という意味になります。

当然、海外の選手の動きも追っていますが、FIFAデイズだと期間外になります。なぜ内田隼太だったかというと、追加招集の選手を選ぶうえで、彼のクラブのカレンダー状況を常に把握してきたなかで、移動の問題や、追加で呼んで試合に間に合うかどうかなどを鑑みて、国内の選手がオフに入っていたり、PCR検査の手続きなどの時間があったりしますから、スペインから来る時間とタイムライン的にはどちらがいいか。

FIFAデイズは4月上旬のタイミングになりますからその期間の前ということになりますが、スペインはこれからカップ戦が始まる時期であり、オフではないものの試合がないタイミングでした。そうしたことに加え、あとはポジションバランスを踏まえて、隼太の招集にいたりました。

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