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作成日時:2022.09.15
更新日時:2022.09.15

【国際親善試合】歴史的一勝を目指しながらブラジルに1-5と敗れ、木暮賢一郎監督は「日本のフットサルの歴史は、ショックを受け乗り越えてきたサイクルがある」

PHOTO BY高橋学

15日、日本代表とブラジル代表による国際親善試合が島根県の松江市総合体育館で行われた。

「このグループであれば、間違いなく勝利をつかむことができる」。前日会見でそう自信を覗かせていた木暮賢一郎監督だったが、結果は1-5で敗戦。

第1ピリオド7分のうちに喫した3失点が重くのしかかり、試合を優位に進めることはできなかった。木暮監督は、立ち上がりの失点も含めどこに敗因を感じているのか。

そして、初めて国内での代表戦を経験した若き代表選手たちのプレーから感じたこと、求めたいこととは。

いち早くショックを超えていく選手、グループをつくりたい

──今日の試合を振り返って。

本当に多くの方に来ていただき、島根で初の国際親善試合ということ、こうして国内で2年半ぶりに試合ができたことに喜びがいっぱいです。入場の瞬間は鳥肌が立ちました。勝利を目指して戦いましたが、結果は勝負の世界なので、残念ですが、大事なことは次の豊田での試合までにどれだけ修正して勝利をつかむか。それしかない。次の試合に全員で向かいたいと思います。

──序盤の3失点は、相手のスーパーなゴールではあった一方で、出鼻を挫かれてしまった印象です。ピッチ内で何が起きていたのでしょうか?

ゲームの入り方ですね。コンディションだったり、予想されることは可能な限り準備してきたなかで試合に臨みました。ただし試合は“水もの”です。さまざまな面で想定通りにいかないなか、「経験」という言葉が適しているかわからないですが、新しいグループ、国内での試合が初めての選手、ブラジルという世界トップとのゲーム経験がないところなど、それがいいほうに転ぶための準備をしてきましたが、今日はそうではないほうにいったなと。

第2ピリオドはもちろん、(相手が)ペースダウンした側面もありますが、0-3以降は持ち直せたと思いますし、選手がこのクラスとの初めてのゲーム経験だったと思いますし、スピード感、間合い、恐怖心など、チャレンジできるのか、怖いと思うかの部分が、少しずつ修正できた印象があります。

──いろいろな組み合わせを試していた印象です。選手を入れ替えるなかで、木暮監督はどのセットが一番しっくりきたというものはある?

フットサルには、セットで回すという戦略はありますけど、私はあまりそうしたやり方ではなく、相手のパフォーマンス、時間帯、スコアを見て交代していくため、どのセットがということはありません。第1ピリオド、ある程度は全員が一度プレーをしたなかで、コンディションや、どの選手が自信を持ってプレーできているか、また、点を取りにいくためにどのタイプの選手が必要かを見ながら交代してきました。明確にどのセットを今後も固めていくということは、おそらくありません。特にこういったビックマッチ、アジアカップなどの点差が拮抗している場合でも、自分のやり方は今日のようになると思います。

──フィジカルの差を感じました。

見ていただいてわかる通り、彼らは移動があり、コンディションの問題があるなかでも、そもそも持っているパワー、スピード、シュートの強さは当然、差がある認識です。特に、バルセロナに所属する選手。彼らは昨年のヨーロッパ王者ですし、マグヌスに所属する2人も国内王者です。ケガで選手の入れ替わりはありましたけど、長く出ていたのはバルサ、ベンフィカ、マグヌスという、世界のトップの選手。ただそれを「経験できてよかった」ではありません。ショックを味わうゲームを初めて経験した選手が多い事実はありますから、大事なことはそのショックをどれだけ早く払拭するために準備できるか。

もちろん、次の試合でフィジカルが劇的に改善することは難しいですが、日本のフットサルの歴史は、ショックを受け、乗り越えてきたサイクルがあります。(W杯出場が途絶えたことや、コロナ禍の影響があり)そのサイクルが長すぎたことで、今日出場した24歳から20代後半の選手はこの10年でビックマッチを経験していません。

昨年のW杯を経験した選手は、いろんな経験をして昨年の大会がピークでした。私自身も21歳で代表に入ってから12年間プレーし続けたことで、強豪国との試合をこなし、ショックを受けてきた過程があります。この先のサイクルはショックから立ち直るスピードを上げて、多くの選手が早い段階で国際経験を積む必要があることは想定内ですから、私たちにはこの後どう進んでいくかのプランもある。長い目で見るのではなく、いち早くそういったショックを超えていく選手、グループをつくりたいです。

──スタートのセットはかたさがあった一方で、石田健太郎、金澤空、水谷颯真、原田快など、若い選手は伸び伸びやっていた印象です。彼ら新しい世代のパフォーマンスを監督はどのように感じていますか?

そうした世代の選手が一定のパフォーマンスを出せたのは、Fリーグができて、長い歴史を重ねてきて、外国人選手が日常にいるレベルを経験してきて、スタンダードのラインが数年前より高くなっていることも理由にあると思います。

彼らは初めてブラジルとゲームをしました。10代や、20代の前半にブラジルやスペインと試合をするプロセスを経験できていないことは、それが遅かったから厳しいということではなく、そこで感じたものを少しでも早く昇華して、乗り越えていくか。

それを引き出すのが自分の役割だと思う。いい部分と、現状の課題があります。若い選手が国際経験を積むことができていなかったことは、私たちも学びに変えて進んでいきたい。私自身、過去に0-16でスペインに負けたこともありますし、2年前のスペイン遠征では、スペイン代表に1-9で負けるなど、そうした経験をたくさんして前に進んできた実体験があります。今の選手は僕よりはるかに能力があり、Fリーグの素晴らしい環境があるので、間違いなく、壁を乗り越えてくれる選手が出てくると確信しています。

とはいえ、代表チームは1試合1試合の結果を問われますし、悠長なことを言っていられない部分もあります。中2日で課題を解決して18日は今日以上の試合をしたいです。

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