更新日時:2023.12.07
【新天地を求めたものたち】挑戦と葛藤と再移籍。本石猛裕が歩んだ町田→大分→浦安の道程にあったもの「自分はガリンシャを超え、W杯に出場しなければいけない」|新天地を求めた者たち
PHOTO BY勝又寛晃、高橋学
大学フットサルの名門・多摩大学を卒業後、ペスカドーラ町田アスピランチから1年でトップチーム昇格を果たし、“フットサルのエリートコース”を歩んできた本石猛裕。
世代別の日本代表を経てフル代表にも選出され、順風満帆にキャリアを重ねていたかに思えたが、2021シーズン終了後、3年過ごした町田を離れる決断を下した。移籍先はバサジィ大分。熊本県出身の彼にとっては、久しぶりに九州への“復帰”となった。
「プロ契約選手として、ベストな環境でより競技の高みを目指していけるはず」
しかし、待ち受けていたのは苦難の日々。リーグ戦の順位は下から2番目の11位。スコアラーとして期待されながらわずか5得点に留まり、2022年5月以降は、代表も招集外となった。
シーズンを終え、大分との契約が満了となり、新天地に選んだのはバルドラール浦安だった。町田→大分→浦安。再び関東に戻ってきたその真意はどこにあるのか。
本石が、浦安で迎える新シーズンにかける思いを語った。
インタビュー=舞野隼大、本田好伸
編集=青木ひかる
※インタビューは2023年4月28日に実施しました
この1年がダメだったとは思わない
──昨シーズンは3年間過ごした町田を離れ大分へ。どんな思いがあったのでしょうか。
大学を卒業するタイミングで話をいただき、プロ契約選手としてプレーできる環境にも惹かれて、大分への移籍を決めました。大分は移籍前の2021-2022シーズンも上位に食い込んでいて、町田で対戦した時も、あまり勝てた記憶がありませんでした。「強い大分」のイメージが自分のなかにはありましたし、いい選手も揃っているなと。レベルアップできるチャンスだと思っていました。自分でもこの移籍は大きな決断で、どうなるかわからない状況でしたが、クラブも僕の考えを尊重して送り出してくれました。決断に迷いはありませんでした。
──実際、上を狙える戦力は揃っているように思いました。
そうですね。ただ、全員が一つにならないとプレーはできないし、個々の能力も発揮されません。負けている以上、練習でいい雰囲気でやりましょうと言っても、次の練習も少しどんよりしてしまい、その気持ちがプレーにも直結してしまう。みんな考えないように、うまく切り替えようとしても、「次負けたらどうしよう。ミスしたらどうしよう」とネガティブな発想になってしまって……。シーズンのなかでも一人ひとりのベクトルがかみ合わず、ポジティブな気持ちを取り返すことができませんでした。そこが一番、欠けていた部分だと思います。
──では、そんなシーズンを振り返るとどうでしたか。
チームの結果はついてこなかったですが、負けてしまうチームはこういう感じだと知れたことも、収穫だったと思います。個人としては、僕なりにやれることをやりきりましたし、クワトロ(4-0システム)であったり、アラでさらしてチャンスメイクしたりもして、自分の引き出しを増やすこともできました。町田の3シーズンではできなかったことを経験できたので、この1年がダメだったとは思いません。移籍して良かったと思えるシーズンでしたね。
ガリンシャを超える存在になりたい
──そんな1年を終え、浦安へと移籍。どういった経緯だったのでしょうか。
浦安はガリンシャ選手が退団し、ピヴォが不足するということでお話をいただきました。大分ではなかなかゴールという結果を出すことができませんでしたが、浦安はいいパサーもいますし、フィニッシュの機会が増えると思います。シュートがうまい選手も多いですから、僕がキープして、パスを落として点を決めてもらうこともできる。昨シーズン、大分で積み重ねたことをさらにレベルアップさせていくチャンスだと思い、移籍を決めました。
──アシストや得点という面では、昨シーズンの浦安はプレーオフに出場し、その強さの中心にガリンシャ選手がいました。その役割を今シーズンは期待されているのでは?
ガリンシャ選手は一昨年と昨年、浦安でプレーしていましたが、その前からすみだで活躍していましたよね。同じピヴォとしてもそのプレーを見ていましたし、対戦した際に「そういうこともできるんだ」と学ぶこともありました。そういう選手が抜けたことがチャンスだと思いましたし、浦安では、彼を超えられる存在になりたいです。
──もちろん、ガリンシャ選手とはプレースタイルが違う面もありますよね。
そうですね。自分の強みは個人で打開することももちろんですが、味方をうまく使ってパスをしたり、4枚で回すなかで前を向いたり、そこで動きを出したりすることはできるかなと思っています。やってみながらにはなりますが、期待に応える自信はあります。
──浦安に加入した際の印象はどうでしたか?
リーグ戦で対戦もしていましたし、顔見知りや仲の良い選手からも話を聞いていたので、想像通りという感じではありました。フットサルの環境も整っていますし、すごくいい雰囲気のチームで、技術もすごく高い。本当に楽しみだなという感覚です。
──これまでに交流のあった選手は?
石田健太郎は、多摩大学時代に毎日一緒にいましたから、また同じチームでプレーできるなという感じですね。あとは、町田時代に一緒だった(ピレス・)イゴールイとコンボイ(小野寺優介)や東出脩椰も少しだけ一緒に代表活動をしていましたし、吉田圭吾や長坂拓海も代表合宿で交流がありました。知っている選手が多かったので、溶け込みやすかったですね。
──同じピヴォには若手のホープ柴山圭吾選手もいますね。
彼は若いのに、めちゃくちゃ体が強く、背も高い。1人でなんでもできちゃうピヴォだなと思います。町田の時も2つ下の毛利元亮が先に代表にいって、僕も後からメンバーに入りましたが、チーム内にそういう選手がいることはすごく刺激になるのでありがたい存在です。
タイトル争い、代表復帰のためにも個人の結果を
──キャリア2度目の移籍です。浦安でどこを目指していきたいですか?
Fリーグ優勝、タイトルを獲得するために自分になにができるかということでは、個人で結果を出して貢献することだと思っています。自分自身、代表に戻るためにも、ピヴォとしてゴールとアシストの両方とも2ケタを目指したいです。
浦安はみんな、お互いにやりたいことがわかっていて、プレーモデルが浸透した上でバリエーションを増やしています。技術の高い選手が集まっていて、ボールを受けたいと思うとすぐにパスが出てきますし、自分も大分で培った経験と技術に磨きをかけていきます。
──元日本代表のフィクソでもある小宮山友祐監督から教わることは?
守備の強度について言われることが多いですね。フットサルは守備から入ってカウンター、攻撃へとつなげていくことが基本なので、守備の土台がしっかりしていないといけない。そこはもちろん理解していますが、小宮山監督が厳しく、細かい部分まで指導してくれるので本当にわかりやすいです。
──代表についてアドバイスを受けることも?
監督は常々、代表にいた時の経験やそこで戦うためにすべきことを話してくれています。代表を目指すためにもFリーグが重要ですし「みんな意識してほしい」という思いがすごく伝わってきます。自分自身、代表から離れて1年くらい経つので、なんとしても今年、もう一度そこに食い込んで、活躍して、ワールドカップに出ないといけないと思っています。まずはチームで結果を出し、代表に戻ることを目標に今シーズンも精いっぱい戦っていきます。
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