【伊藤圭汰×山中翔斗】ペスカドーラ町田、攻守のエース対談
PHOTO BY青木ひかる、高橋学、本田好伸
──フットサル転向の経緯を改めて教えていただけますか?
伊藤 北海道釧路北陽高校時代にサッカー部でフットサル大会に出たら予選を勝ち抜いて全国大会(JFA 全日本U-18フットサル選手権大会)に出場することになり、全国でも準優勝して、あの後、U-18フットサル日本代表の合宿に呼んでいただいたのがきっかけです。
──いきなり全国準優勝して、一気に世代別代表合宿に呼ばれたことが転機に。
伊藤 代表合宿に参加したことで「本気でフットサルで上を目指したい」と思うようになりました。その後の全日本フットサル選手権をYouTubeでリアルタイムで観ていたのですが、町田が名古屋を破って日本一になって。名古屋がとても強いことは当時から知っていたので、その名古屋を倒して優勝した町田のフットサルにあこがれて上京を決意しました。
──当時18歳ですよね。単にFリーガーになりたいというだけでなく「ペスカドーラ町田でプレーしたい」という思いを抱いて単身上京するその覚悟と行動力、すさまじいですね。
伊藤 今思えばそうですよね(笑)。自分でもよく決断したと思います。ただただフットサル選手になりたくて、町田でプレーしたくて。当時は本当にその気持ちだけで東京に来ました。
──最初は私生活を含めて大変だったんじゃないですか?
伊藤 練習場が多摩センターだったので、最初は聖蹟桜ヶ丘で一人暮らしを始めたんですけど、東京に友達もいなかったですし、暑いし、人多いし、電車も分からないし(笑)。でもアスピランチでの時間はとても充実していたので、地元に帰りたいとは思わなかったですね。監督が小川亮さんで「パラレラ」も「ピヴォ当て」も知らなかった自分にイチからフットサルを教えてもらいました。練習が終わった後にもいろんな話をしてもらって。
──伊藤選手のフットサラーとしての原点がそこなのですね。
伊藤 本当にそうです。監督だけではなく、当時のアスピランチのチームメイトにもとても感謝しています。フットサルを何も分からなかった僕に、みんな優しく教えてくれたので。あの時間がなければ、今の自分はないと思っています。
──町田の育成組織で過ごした時間がいかに濃いものだったか、そして指導者やチームメイトを含めてフットサルに集中できる環境だったのかが伝わってきます。町田が次々と優秀な選手を輩出している秘訣というか、「町田イズム」のようなものがあるのでしょうか?
伊藤 アスピランチの時から週末の試合に向けて1週間かけてしっかり準備していくというモチベーションでプレーしていましたし、練習から細かい部分にこだわるという点では、今のトップチームに通じるものがあるのかなと思います。
山中 そういう試合への準備の習慣もかなりあると思いますし、僕がU-18に入って一番強く感じたのは、やっぱり格上と対戦できる環境が大きかったですね。僕が高校生の頃はそれこそアスピランチと月に1回は練習試合をしていて、他にも多摩大学や上の年代の強豪チームと戦える環境があったので。自分も含めて、今につながっていると感じます。
──自分たちよりも上のレベルのチームと本気でぶつかれる機会が多かったと。
山中 そうですね。アスピランチともバチバチでしたよ。年上だろうが経験を積んでいる選手だろうが「そんなん知るか」「ピッチに立ったら同じだろ」って削り合っていました(笑)。
伊藤 翔斗が入ってくる前のU-18とやった時は僕が元亮とかとは喧嘩していました(笑)。たしかに、あれはかなり激しくやり合っていたと思います。
──もはや公式戦のようですね。
山中 (中村)充(立川アスレティックFC)や菅谷(和寿)(立川アスレティックFC)、(二井岡)嵩登、ジエイくん(福田亮/エスポラーダ北海道)とかもいて。振り返ると本当にすごいメンツと試合ができていたんですよね。当時は倒すことしか考えていなかったですけど、対峙した際に感じるスピード感や強度はやっぱり全然違ったので、あの時間に吸収できたものはかなり大きかったと思います。
毎年、毎年、優勝を争うクラブに
──2人が最初に知り合ったのはいつですか?
山中 僕が高3の時ですね。当時トップチームがルイス・ベルナット監督の時に練習参加させていただいて、そこで初めてちゃんと関わりました。
──お互いの印象を覚えていますか?
山中 圭汰がジエイくんやタケ(本石猛裕/バルドラール浦安)、嵩登、ゴレイロの(藤原)幸紀とかと一緒にいて、すごく楽しそうに話していてうまく入れなかったんです(笑)。練習生ですし、周りからしたら「こいつ誰だよ」みたいな。年齢も少し離れていますし、関係性が出来上がっているところに後から一人で入っていく感じだったので、どんくらいの距離感がいいのかなと思って。タケなんかオラオラ感がすごかったですからね(笑)。だから亮佑とか稜人とか、元亮とか、U-18で一緒だった世代とよく話していた気がします。
伊藤 俺はあんまり覚えてないかも(笑)。でも、若くていい左利きが上がってきたとは感じていました。でも、ここまですごい選手になるとは思わなかったです。
──想像以上の成長ぶり。
伊藤 そうですね。今では本当にチームに欠かすことのできない選手です。今シーズンに限らず、攻守両面でチームを助けてくれる存在ですから。普段からみんなをイジったり、逆にイジられたりという関係もありますし、やっぱり、なくてはならない選手かなと(笑)。
──なるほど(笑)。逆に山中選手から見た伊藤選手の印象は?
山中 圭汰とは去年から同じセットでプレーしていますが、キャプテンとしてもそうですし、後ろにいてくれると安心できる存在です。後方で締めてくれるからこそ、僕も積極的にドリブルで仕掛けられるので、ボールを奪われても「後ろには圭汰がいるし」っていう感覚があります。逆に圭汰からも「どんどん行っていいよ」って、自由にやらせてもらっています。
伊藤 翔斗の良さを消したらもったいないですから、僕らはなるべくサポートして。個を持っている選手が特徴を思い切り発揮できるように、というのは心掛けていますね。
──改めていいコンビですね。2人は今後、町田をどんなチームにしていきたいですか?
伊藤 やはり、常に優勝を狙えるチームというか、毎年優勝してもおかしくないチームをつくり上げたいです。下位に行ったりすることなく、毎シーズンずっと上位にいて、何回も、何回も優勝できるようなチームにしたいですね。
山中 みんなもそうだと思うんですけど、僕もこのクラブでタイトルを獲りたい気持ちは強いです。当然のことですけどね。そこに向けて貪欲に、今よりももっともっとうまくなる。もっともっと強くなる。自分はもうトップで試合に出られているからオッケーとかではなく、アスピランチやU-18からさらにいい若手も上がってくると思いますし、常に危機感を持ちながら、さらに上を目指してプレーしていきたいと思います。
──ありがとうございます。では最後に、いつも町田市立総合体育館を素晴らしい熱気で包んでいるファン・サポーターへのメッセージをお願いします。
山中 ペスカドーラには本当にたくさんのファン・サポーターのみなさんがついていて、今シーズンも毎試合1000人超え、時には2000人以上のお客さんが詰め掛けてくれています。あの熱気のなかでプレーできるのは選手として本当に幸せです。いつも最高の雰囲気をつくってくれているので、僕らは結果で恩返しして、地域で愛されるクラブになっていきたいです。
伊藤 僕も結果で恩返ししたい。おもしろい試合を見せるというよりも、僕らは勝つ試合を見せたいと常々考えています。個人としては華麗なテクニックやドリブルがあるわけではないですけど、それでもみんながまた観に来たくなるような試合を見せたいです。一つでも多く勝って、タイトル獲得の喜びを一緒に分かち合えるように、チーム一丸となって戦っていきます。
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