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作成日時:2023.10.26
更新日時:2023.11.10

「修さんを男にしたい」。甲斐・前田・石渡・難波田…かつての同志・ライバルがなぜ、町田のベンチに勢ぞろいするのか? |Fリーグクラブ特集

PHOTO BY本田好伸、北健一郎

町田は、ベンチも戦っている。

もちろんすべてのチームの、すべてのベンチスタッフが戦っているのだが、今シーズンのペスカドーラ町田のベンチは、少しだけ豪華で、少しだけ騒がしく、かなりアツい。なぜなら、監督・甲斐修侍を筆頭に、コーチに前田喜史と難波田治、GKコーチに石渡良太という4人が陣取っているからだ。

彼らは、Fリーグ発足以前からフットサルシーンをけん引してきた人物の中でも一際の、例えば「フットサル日本史」の教科書があったならば、間違いなく顔写真付きの太字で掲載される、いわゆるレジェンド中のレジェンドたちである。

その4人が、らしく情熱的に、あるいは勤めて冷静に、勝利へのアプローチを施しているのが、今シーズンの町田だ。中間結果は「クラブ記録の8連勝を達成するなど、名古屋を猛追」である。前田、石渡に加えて、今シーズンから難波田が入閣した甲斐政権2年目は、これまで以上に好調を維持している。

町田躍進の理由?その何割かに、レジェンドコーチ陣があるのは間違いない。

これはオールドファンのロマンか否か。真偽を確かめるべく、4人そろって語り合ってもらった。

インタビュー=北健一郎
編集=高田宗太郎

※インタビューは8月13日に実施しました

修さんが監督じゃなかったらやってなかった(前田)

──レジェンド4人が並ぶとやはり画力が強いですね(笑)。まず、このレジェンドコーチ陣がどうやって集結したのか?3人を束ねる監督の甲斐さん、教えてください。

甲斐 束ねられる人たちじゃないでしょ(笑)。

──ははは(笑)。前田さんと石渡さんは甲斐さんが監督に就任された昨年からですよね?

甲斐 そうですね。2年前にクラブのメインスポンサーさんと2番目のスポンサーさんがコロナ禍の影響で撤退することになってしまい、次のシーズンのFリーグに参戦できるかどうかを考えないといけないくらい大変な状況下で、真っ先に、我が身のことのように心配してくれて「僕らができることを、できる限りのことをやります」とサポートしてくれたのがこの2人です。いろいろな人を紹介してくれて、それこそスポンサーさんも含めて。

──コロナ禍で失った財源を補うべくクラウドファンディングを立ち上げた時期ですね。カスカヴェウ時代から在籍してきた人たちの協力もあり目標金額をはるかに超える800万円を集めました。

甲斐 本当にありがたいことでした。ただ、クラブとしてはルイス前監督が辞めた後、新しい監督を雇うことができない台所事情もあり、僕が監督をやることになりました。そういう状況を理解した上で、「できるだけ現場を手伝います」とヨシ(前田喜史)が最初に入ってくれました。

前田 一番お世話になってきた修さんへの恩返しというか。できる範囲になってしまっていますが、「それでもいい」と言ってくれたので。でもやらせてもらって今、Fリーグの舞台に立てて、自分自身が一番楽しんでいますけどね。

甲斐 さらにヨシがGKコーチがいない状況を知って、良太にジャブを入れてくれて、断れないような上手な進め方で話をしてくれたみたいで(笑)。それで直接話したら「ぜひ手伝わせてください」と。昨シーズンがスタートしてからだったよね?

石渡 そうです、2022年の6月末でしたね。

甲斐 若いGKたちに専門的な練習やアドバイスをしてくれることになったのはものすごく大きかったです。昨シーズンはヨシと良太の2人が加わって、リーグを戦いながら試行錯誤して、さらにフィジカルコーチの那須(友知)さんも、ヨシの紹介でシーズンのスタートから加わってもらいました。

──前田さん、めちゃくちゃ声かけていますね。

甲斐 そうそう。治も、ヨシが。

前田 小学校の教員をやめて、町田で塾を始めると聞いたので。ディフェンスのスペシャリストなんで、修さんに「声かけてみていいですか?」みたいな感じで。僕ら、高校の同級生なんです。

──堀越高校でしたね。日本代表でも長く一緒に。難波田さんは町田在住で、総合体育館も近いとか?

難波田 そうです、近所です。甲斐さんと逆の近所です(笑)。

──アリーナを挟んで逆サイド?

甲斐 そう。俺のことを避けたらしい。

難波田 違います(笑)。

──以前から、成瀬駅の周辺で顔を合わせたり?

難波田 それはもう、しょっちゅう。



『ファイルはダメ』って言われていたらいません(難波田)

甲斐 もともと倉科(亮佑)は、治が教員だった頃の教え子だったというつながりもあって、試合を見に来てくれていたんだよね。

難波田 町田の試合に限ってですけどね。例えばペスカドーラ柄の自販機を街で見たり、よく行く地元の飲食店に行ってもペスカドーラの話題になったりして、当時の職場の人に「こんなチームなんだよ」と伝えたりして、その度に「なにかできることはないかな」と。でもその頃は教員でしたからね。今はちょっとフワフワしてます、現実なのかなって。

──たしかに、難波田治がペスカドーラのベンチにいる、これは現実なのかと、オールドファンも思っていますよ。だって、カスカヴェウとファイルフォックスじゃないですか?

難波田 でも、今は町田に住んでいますから。Fリーグができる前の話ですし、過去にライバルだったと言ってもどこかでつながってはいるわけで。僕なんかは違う道を進んでいましたし、そこへのこだわりはなかったです。ただ最後は甲斐さんに判断してもらったことなので、甲斐さんが「ファイルなんでダメです」って言ったらここにはいません(笑)。

甲斐 「まだそれ言う!?」ってね。

難波田 そうですよ。僕だって「カスカヴェウはもう」って思っていたら見に来てない。もう、そういうことじゃないんですよね。こんな近所にFリーグのチームがあって、そのなかを見ると……。

──かつてライバルとして切磋琢磨した同志だった、という。ところで、前田さんも難波田さんもコーチという肩書きですが、役割分担とかあるんですか、練習とか試合とかで。

甲斐 良太も含め3人とも本業の仕事があるので“できる範囲で”というスタンスです。

ヨシには週1回、練習に来てくれて選手にアドバイスをというところからスタートして。土日の試合は極力来てくれて、本来はホーム限定だったんですが昨シーズンはアウェイに来てくれることもありました。

治も、塾が始まるまでの時間で週2回くらい来てもらっていて、夏期講習の時期はたくさん来てくれたり。ヨシと同じようにホームゲームを中心にベンチで選手にアドバイスしてもらっています。

良太は、たぶんこの中で一番忙しい。仕事も忙しいし、別でやっているフットサルの指導もあるから。週末の試合と練習には週1回、来てもらってGKの専門的なトレーニングやアドバイスをしてもらっています。

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