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作成日時:2023.12.06
更新日時:2023.12.06

【日本代表|メンバー発表会見】ホームで強豪・アルゼンチンと激突!木暮賢一郎監督が重視するポイントは?

PHOTO BY本田好伸

12月6日、日本サッカー協会(JFA)は、アルゼンチン代表との国際親善試合に臨む、日本代表メンバーを発表。同日、木暮賢一郎監督がオンラインで記者会見を行った。

会見ではメンバー選考の理由や、この2試合の狙いについてが語られた。

↓日本代表の全てがここにある↓



「技術」「戦術」「フィジカル」「メンタル」の全てを求めている

●木暮賢一郎(日本代表監督)
──12月14日と17日に、東京都と北海道で開催されるアルゼンチン代表との国際親善試合に向けて。

非常にいいマッチメイクができたと思っています。アルゼンチンは前々回のワールドカップ(2016年)では世界チャンピオンに、前回のW杯(2021年)でもファイナルまで進んでいるトップ・オブ・トップの国です。彼らにとっても年を明けてW杯の南米予選に臨む前の、非常に重要な時期の準備期間になります。日本戦に向けて招集されたメンバーを見ると、限りなくベストに近く、我々にとっても重要なゲームになると捉えています。なおかつ、ホームで試合ができるということで、フットサルというスポーツの魅力をより多くの方に伝える貴重な機会だとも捉えています。素晴らしい2試合を迎えられるよう、最大限の準備をしたいと思っています。

──山田凱斗選手が久しぶりの招集になりますが、期待していることや今回選ばれた理由は?

凱斗に関しては、4月のモロッコ遠征を境に招集できていませんでした。その理由は、彼が怪我の回復に多くの時間を充てていたということがあります。怪我がなければ(これまでの活動にも)呼んでいる可能性の高かった選手です。今は回復を経てプレーをしているということで、今回招集をしています。久しぶりの招集になるので、いいパフォーマンスをしてもらいたいですし、もう一度代表の加わってほしい。そういう意味でチャンスだと思いますので、いいコンディションで来てもらいたいです。

凱斗だけでなく、海外組は前回のウズベキスタン遠征にはFIFAデイズ外の活動だったので招集できず、国内組のみでゲームを行いました。今回はFIFAデイズになるので、海外の選手を招集しました。特にスペインリーグは、2部リーグには適用されていない事実がありますが、1部リーグにはFIFAデイズが適用されているので、そのルールをうまく生かしての招集となっています。

この後、質問もあるかもしれないですが、逸見勝利ラファエルに関しては招集する意図がありましたが、コンディションのところで見送るかたちとなっています。原田快に関しては、先ほども申し上げたようにスペイン2部リーグはFIFAデイズの適用外になりますので、彼は常にFIFAデイズ外になります。何試合もクラブのゲームに出場できていないということが続いていて、8月に海外の全クラブを訪問した際のバルセロナとの会話において「すべてに招集されることは難しい」とも言われていますので、スペインから日本への移動距離、時差を考えて、今回はクラブとも話し合って、招集を見送ることになっています。あと(オリベイラ・)アルトゥールは中国リーグがカップ戦の時期で、我々が元々聞いていた時期より1日遅い背景もあるので、合流が少し遅れます。

──今回甲斐選手も復帰していますが、今年名古屋に新たに加入した3名への今の評価は?

稜人や(金澤)空はU-18の年代から私と一緒に長く活動してきている選手です。大きな怪我から復帰して元の状態以上のものになってきていると感じています。ウズベキスタン戦に関しては各クラブ3名という縛りがあったので、空と(吉川)智貴、(清水)和也の3人を招集しました。縛りがなければウズベキスタンにも行っていたかもしれないし、呼んでいなかったかもしれない。少なくとも今回に関してはそういった縛りがないので、クラブでいいパフォーマンスをしていることと、前からずっと見てきていることを踏まえてメンバーに入れました。

これまでの活動にも若い選手を必ず招集していますし、合宿に呼ぶのではなく国際マッチを経験してもらうということは一つの軸としています。今回はそういう意味で彼にチャンスを与えたという意味もありますが、ご褒美ということではなくクラブで示しているものがあるからこそです。

あとは今名前があった和也や、空の評価について。代表活動で特に違いを見せてくれているのは、フィジカルのところですね。ハイスピードを保った上でパワーを発揮する力、スプリントを複数回連続で行うことができます。そこに関しては唯一のプロクラブで、常にいいトレーニングができる環境下にある名古屋に移籍したことで、大きな成長をしているのではないかな実感しています。そこは彼らが今、何位であるとか何点取っているかとはまた違う話だと思っているので、あくまで見ているのはパフォーマンスというところです。



──代表選考の基準について、個のスキルと代表の戦術にフィットするのかどうか、どちらに比重を置いているのかを教えてください。

基準については、常々言ってるいように、第一にクオリティが高い選手。クオリティというのは、技術、戦術、フィジカル、メンタル。その4つのキーポイントの全てを備えていることが「クオリティ」です。なので、技術が非常に素晴らしくても、フィジカルやメンタルはどうなのかということですね。

2つ目は、クラブもしくはリーグでハイパフォーマンスをしているかということ。このハイパフォーマンスというのは、まず一人の選手としてどうか、次により競争力のあるチームでどういうプレーができているかということです。誤解してほしくないのは、最下位のチームだから呼ばないということではなく、長いリーグにおいて特にハイレベルなゲームをどう戦っているか。例えば名古屋、今だと町田との試合も当てはまるかもしれないですね。あるいは上位リーグ同士の対戦など、競争力の高いゲームでパフォーマンスを発揮しているかも一つの基準になります。これからのW杯に関連する試合では短い時間で強豪国と戦う必要があり、ここ一番の勝負所でクオリティを発揮できるかどうかは、そういった競争力の高いゲームじゃないと見えないところがあります。わかりやすく言うと、力量差のある相手との10-0の試合で10点取ってるから代表に入れわけではないですよということですね。

3つ目は、同じレベルだったら間違いなく若い選手を選びます。4つ目はその選手のこれまでの努力や、残してきた結果で最初の招集は判断することもあります。そこから2回目に呼ぶときに、コンセプトに合うか合わなかいかを見極る。あくまで次のフェーズです。なので最初の入り口で代表の戦術に合う合わないで判断することは一切ありません。

──今シーズンのFリーグは競り合っていて、例年以上にハイレベルな試合が多いように感じます。代表監督の目線としては、どうご覧になっていますか?

まさしく、一つのゲームで1位、2位の順位が、もしくは残留争いも順位が変わるような、我々が求めている競争力の高いゲームばかりです。目の前のゲームでの勝ち負けに対して大きなプレッシャーがかかる試合が増えることで、そういったハイプレッシャーに対する選手のパフォーマンスを見極めることもできますし、選手たちがさらに成長する機会です。非常にいい傾向だなと感じています。

また、先ほども話したとおり順位が上にいるクラブはリスペクトしてますし、そこでプレーしている選手たちは常にいいパフォーマンスをしているからこそ、その順位にいるという前提があります。あとはどういう勝ち方をしているか。今の代表の戦術に合う、合わないという視点ではなく、なぜこのチームがこの順位にいるのかの理由は、しっかりと見ています。そこは選手個人を見る基準にも少しは含まれていることは伝えておきます。



フットサルの魅力を知ってもらう機会に

──14日の大田区総合体育館での試合は、すでにチケットが完売となり、注目度の高さが伺えます。

我々が国内でゲームをする機会は限りがあります。昨年はブラジル代表と、今年はアルゼンチン代表というW杯でチャンピオンになったことのある国に非常にいいメンバーで来てもらえます。フットサルをより多くの人に知ってもらう機会になりますし、完売ということで見に来られた方たちにフットサルというスポーツの魅力を持ち帰ってもらって、「Fリーグも見に行こう」とか「育成年代の試合を見に行こう」「女子の試合を見に行ってみよう」となってほしいです。

唯一無二ではないですけども、代表チームの注目度を考えると、非常に重要な機会だと捉えています。我々が掲げている代表活動のテーマの一つとして、「フットサルの価値を高めていきたい」というものを選手とも常々共有しています。まさしくそういう意味では、価値を高めたり、魅力を認めてもらう、おもしろさを知ってもらう。そういう機会になると思っています。すごく重要であり、そういう状況をいい意味で楽しんで、結果と内容をいつもどおり追求したいと思っています。

──監督自身はフットサルの魅力をどんなところに感じますか?

わかりやすくいうとスピード感といいますか、非常にゴール前に攻防が多く、たくさんのゴールが生まれたり、チャンスになりそうなシーンが連続して展開されるスポーツです。選手との距離も非常に近く、ライブで観戦できます。身近で感じられるスピーディーな展開だとか、ゴール前の攻防は楽しいでもらえるポイントなのかなと思っています。

──フットサル日本代表戦を初めて見る観客へ向けて、アピールポイントを教えてください。

今、我々が進んでいる方向性で言いますと、一つ前の質問でもお答えしたように、スピードはわかりやすいストロングポイントなのかなと思います。例を挙げるとするなら、攻撃のスピード、守備のプレスのスピード、攻守の切り替えのスピード、考えるスピードです。そういったものをテーマに取り組んでますので、様々な局面でのスピードを見てもらえるとわかりやすいと思います。あとは非常に若い選手が多いので、そういった選手たちに期待してもらえるのも、ありがたいなと思います。



見たいのは「ハイプレッシャーで戦うメンタリティ」

──強豪国と試合をするときには徹底的に対策をして勝負にこだわるやり方をするか、自分たちのスタイルをぶつけていくのか二つの考え方があります。実際の試合になれば両方のバランスだと思いますが、木暮監督はどう考えてますか

W杯予選や本戦においては、監督として勝つため確率を上げるための決断をしないといけなかったり、相手の分析をしなくちゃいけない時もあるでしょうし、おっしゃるとおりバランスが求められます。

ただ、私はプロセスを重視しているので、勝てばいいとか、負けたから全ての努力が評価されないわけではないです。我々がどういう取り組みをして、どこにたどり着きたいか。そしてどういった成果を得たいかというところに対して、このアルゼンチン戦がどういう位置づけかを考えて臨むべきです。

その上で考えると、ホームで勝つために守備ラインを下げるのは、基本的に自分たちのスタイルではありません。そのプランを決断をする可能性は0ではないですが、プライオリティは低い。世界チャンピオン相手にも、前からアグレッシブにプレスしていきたいですし、ボールを持つことを怖がらずにアタックをしていく。

同様に若い選手を使うことも怖がる必要はありません。彼らの可能性や伸び率はとても期待値としてももっているので、辿り着きたい場所で力になってくれる選手を一人でも多く育てていかないといけない。彼らを起用した上で、安全に戦うのではなく持ってるものを全て出してほしいというスタンスで臨みたいと思います。

一方、改善点は毎試合アップデートする必要があります。例えば先月行われたウズベキスタン戦で起きた課題というのは、自分たちの姿勢を貫きながらも、修正をしないといけません。

具体的に言うと、ウズベキスタン戦ではセットプレーの失点が重なりました。アルゼンチンがどういうセットプレーをしてくるかとウズベキスタン戦でどう失点をリンクさせて解決しないといけない。ほかにもいくつか課題はあるので、対アルゼンチンというのも考えながら狙われやすそうなポイントに関して対策をしていきたいです。

だからといって、ホームだから負けたくないと受け身になったり、守りを固めて失点を少なくとか、何が何でも勝ちたいから守ってカウンターだけをするという対策は基本的にはしません。チームがまた一つ成長できるゲームをすることが大事だと考えています。見ているみなさんがおもしろいと思ってもらえたり、可能性を感じていただけるような姿勢を示していきたいです。

──今回2試合を戦いますが、それぞれ戦い方を変えて試してみようというプランはありますか?

前提として、親善試合を組むとき2試合を戦うのはスタンダードです。そしてまずは1試合目にベストを尽くし、2試合目に関しては1試合で見えた結果やゲーム内容、選手のプレー時間、できたこと、できなかったものをを改善するのが2試合目だと思っています。なので、今の時点で1試合目は引いて2試合目はアグレッシブに行こういうことはなく、目の前の1試合目に全力を注ぎ、2試合目は1試合目の課題を見て改善していく流れになると思います。



──このアルゼンチン戦はチームの進行具合、成熟度がどれぐらい進んでいるか、ピヴォは個人としてどこまで戦えるかなどを計れる試合になるかと思います。木暮さんが注目したいポイントは?

チームとしての取り組みがトップの国に対してどのぐらいできるのか。見えてくる課題は何なのかは、もちろん大事だと思ってます。ただこの先も課題を抽出して改善する時間が全くないわけではないので、良いところも含めて得るものしかないというのが、この2試合の位置づけです。大事なことは、先ほど話したとおり受け身に回らず、怖がらずにチャレンジすること。アグレッシにプレッシャーをかけ、怖がらずにボールを持つことをやりきることですね。そのマインドさえ曲げなければ、どんな結果であろうと次につながるものになると確信しています。

そこで特に大事になってくるのは、そのメンタリティをもってプレーできる選手が何人いるのかという点ですね。ホームのアドバンテージがありながらも、多くのお客さんの前で戦うプレッシャーや相手の圧力を非日常に感じるような選手もいるはずなので、そういう局面でどれだけそれらを跳ね返すことができるのか。代表チームとしてのプライドを出せるのかが一番肝になるのかなと思っています。

──ホームゲームだからこそ選手たちの力が入りすぎて、空回りしてるような試合がここ何年か続いているように感じます。この国内ゲームに向けてアプローチしたいことがあれば教えてください。

私が監督になってから、なぜブラジルとアルゼンチンを対戦国として選んでいるのか。もし、ホームでたくさん点を取って勝つことが、このフットサル界においてすごく価値があるのであれば、そもそもマッチメイクの相手を変えた方がいいはずです。もちろん、相手がどこであれ最初から勝てないと思ってマッチメイクしてるわけではないですが、負けるのを恐れていれば違う対戦国をチョイスしています。

それよりも、そもそもの競技の魅力や、トップレベルのプレーを多くの方に見てもらいたいなという思いがあります。見え方によっては、「日本代表、まだまだじゃないか」というネガティブな声も当然ありますが、それを危惧していては何も成長につながりません。

この試合をフラットに見に来た方にはレベルの高い試合を見ていただきたいし、我々も強いチームに勝つためにベストを尽くしながら、成長する機会にしたい。

ホームだし勝ちたいけど、相手は世界トップクラスの国だし……。と、いろんな気持ちが入り混じるとは思いますし、試合の立ち上がりは、すごく大事です。そこに関してはW杯などこの先の戦いを見据え、トレーニング時間が少ないなかで強豪国と連戦を行うためにも、厳しいアウェイゲームでの経験を重要視してきたので、間違いなく選手はタフになっているはずです。

フィジカル的にもメンタル的にも、苦境に立たされた時に跳ね返す力は国内やアジアのチームとの対戦だけでは身につかないところだったはずなので、ここまでの学びであるとか、経験をこのアルゼンチン戦で発揮できるんじゃないかなと期待しています。

それでもゲームというは水ものですし、試合巧者の選手たちが来てくれるので簡単なことではないとは思いますが、いい入りでゲームを展開したいなと思っています。プレッシャーを選手が感じるのであれば、それを和らげるのもま私の仕事だと思ってますので、選手の表情を見て調整していきたいです。



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