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作成日時:2024.02.15
更新日時:2024.02.19

「絶対に僕らが強い。F1に残して、恩返しする」守護神・関口優志の覚悟|#未来へつなぐ戦い

PHOTO BY高橋学

昨シーズン、6年ぶりに帰還したエスポラーダ北海道の守護神・関口優志。

「エスポラーダの選手として、トロフィーを掲げたい」

強い思いを胸に地元へ戻ってきたものの、チームの成績は振るわなかった。1年目は、怪我のためシーズンのほとんどをリハビリに費やした。満を持して臨んだ今シーズンも、チームを上位に導くことはできなかった。しかも、順位は最下位。

「不甲斐なさ、後悔を強く感じた」

ただし、振り返っている余裕はない。「自力残留がなくなった時に入替戦にすべてを捧げよう」と、心を切り替えた。「絶対に2連勝する」。その先へつなげるために。

名古屋オーシャンズで培った勝者のメンタリティは、一人だけもっていても意味がない。関口が、大黒柱として、導かなければいけない。

「絶対に僕らが強い」。そう確信する守護神の、覚悟とは。

※インタビューは2024年2月1日に実施しました

#未来へつなぐ戦い|特集



ホームでの復帰戦は「鳥肌が立った」

──入替戦の話の前に、まずは改めて昨シーズン、6年ぶりに北海道に戻ってきた思いを教えてください。

エスポラーダ北海道でフットサルを始めて成長させてもらい、名古屋に声をかけてもらい移籍して、そこでリーグ優勝を経験し、日本代表にも選ばれてワールドカップの舞台も経験しました。やはりいつかは故郷に帰りたいと思っていたし、自分の原点であるエスポラーダの選手として、トロフィーを掲げたい。自分の経験してきた物をこのクラブに還元して、目標を叶えるために、戻ることを決めました。

──復帰が決まり、ファン・サポーターからはどんな声をもらいましたか?

名古屋のサポーターからは、「寂しい、行かないで」とたくさん引き止めてもらいました。北海道のサポーターは、やはり「やっと帰ってきてくれる」という声が一番多かったですね。僕が退団してから、Fリーグを見るのをやめてしまったけど、「戻ってくるならもう一度、見にいくね」という言葉もありました。7年も空きましたけど、これだけ喜んでもらえるのはすごくうれしいことですし、戻ってきたからにはしっかりやらないと、という気持ちがより一層高まりました。

──ただ、戻ったタイミングでは、まだ怪我のリハビリ中でした。試合に出られないもどかしさも?

もちろん出たいという気持ちもありましたけど、痛みがあっても出れるような怪我ではなくかなり大きな怪我だったので、「早く治らないかな」ということばかりを考えていました。もどかしさより、「早く怪我前のコンディションに戻したいな」というほうが強かったですね。出られなくても、少しでもチームに貢献したいと思っていたので、戸田貴英(現バサジィ大分)や山下颯大にアドバイスをしたり、まずはクラブがいい結果を出せるように自分ができることに目を向けていました。

──長いリハビリを終え、2022-2023シーズンの最終節で、1年2カ月ぶりにFリーグのピッチに立ちました。

試合に出たタイミングが、ホーム最終節の立川アスレティックFC戦でした。後半から僕がピッチに立った時の会場の雰囲気には鳥肌が立ちましたし、「おかえり」という声も聞こえて涙が出そうになりました。

なるべく前向きに考えるようにはしていましたけど、人生で手術をする大きなケガも初めてで、サッカー、フットサルをこれだけしない時期はなかったので、やっぱりしんどかったですし、辛かったリハビリの生活もフラッシュバックして……。頑張ってきてよかったと思えた瞬間でした。

「まだまだやれる」という姿を見せられた古巣戦

──リハビリを乗り越え、どのような気持ちで今シーズンを迎えましたか?

コンディションも徐々に戻ってきていたし、リーグ戦も最初から試合に出て、いい結果を残せると思っていました。でも、オーシャンカップの2戦目で指の怪我をしてしまい、リーグの開幕戦までに治すことができませんでした。骨が折れたわけではなかったんですがなかなか治らず、まだ違和感が残っています。他のところも、少し痛めただけでも治りが遅くなってきているので、少しおじさんになったかなと……。なので、今はとにかく怪我をしないことを第一に考えて、ケアをより入念に行うようになりました。

──2節の名古屋戦は、少し無理をして出場していましたよね。

本来なら出られるコンディションではなかったですね。でも、地元の帯広で開催する、古巣との試合だったので、監督や他の選手には「無理をしてほしくない」と言われましたけど、僕自身が出たいと言って出させてもらいました。

古巣戦は一緒にやっていた選手の特徴を理解しているのでやりやすいところもあれば、同じようにこちらのことも知られているので逆やりづらいところもありますが、名古屋の選手の時も北海道との試合は特別な気持ちでしたし、あの名古屋戦も「絶対に負けたくない」という思いで臨みました。

──ホームでは残念ながら負けてしまいましたが、アウェイの名古屋戦では、みごとな勝利を飾っていました。

素直にうれしかったですね。なかなか結果が出ないなか、名古屋に勝てましたし、自分としてもいいパフォーマンスを出せました。「優志はまだまだやれる」という姿を名古屋の皆さんにも見せられたかなと思います。



若手とベテランの異なる課題

──チーム全体を振り返ると、開幕戦は大量失点をしてしまい、チームとしても難しいスタートになりました。山下選手に何か伝えたことはありましたか?

あの試合もそうですが、今シーズンは正直、GKの責任での失点というよりも組織としての失点が多かった1年でした。湘南戦も彼のミスも多少はありますけど、その前のところが大きな要因なので気にすることはない、と。それよりも失点したあと、チームへの声がけ部分について、アドバイスしました。

──組織的な失点という部分について、具体的にはどんな課題が?

若い選手とベテラン選手が二分化していて、それぞれに原因があります。まずシンプルに、若手選手のカバーの質やタイミング、経験値が足りなかったというところ。あとはベテラン組の体力がなくなり、後半に走り負けてしまうことも多かったです。結果的に、そこが改善できなかったことが、一番の入替戦まできてしまった要因だと感じています。

拮抗した試合でも、チャンスを決めきれず次のピンチで失点した試合がすごく多かったですよね。そこから「行こうぜ!」となる選手も少ないので、連続失点につながってしまいました。

自分も声を出すことは心がけていましたけど、それ以上に負けが続いてみんな気持ちが沈んでしまっているのをすごく感じていましたね。

──この7年で勝者のメンタリティを磨いてきた関口選手ですが、どうやってその力を身につけてきたんでしょうか。

僕も名古屋の1年目は、そのメンタルを持っていなかったので、終盤に1-11-2の状況だと「やばい」という気持ちが先行してしまっていました。でも経験値を積むと、逆に引き分けでや1点差でパワープレーをされると「こっちが得点するチャンスだな」と思えるようになりました。自信を身につけるには勝つことが手っ取り早いですけど、あとはもう拮抗した試合を経験し続けるしかないかなと思います。

──最下位が決まってしまった瞬間、どんな思いでしたか?

まだまだやれるチームだと思っているからこそ、不甲斐なさ、後悔を強く感じました。名古屋やペスカドーラ町田という上位相手に勝てる力があったのに、と。

ファイナルシーズンの初戦の時点ですでに厳しい状況で、ほぼ他力に追い込まれていたので、自力残留がなくなった時に入替戦に全てを捧げようと、マインドチェンジしました。そこに全てをかけようと。今もそうですけど、試合のイメージを落とさないように意識しながら、「絶対に負けない。このクラブをディビジョン1に必ず残す」という気持ちで取り組んでいます。



2連勝で残留し、タイトル獲得を目指す

──入替戦も目前ですが、仙台の印象は?

映像もチェックして戦術的な特徴も見ていますが、Fリーグで優勝を経験している今井(翔)選手もいるし、日本代表として一緒に戦った森村(孝志)選手もいます。他にもディビジョン1でキャリアを重ねた選手も多いので侮れないチームだと感じています。全く油断できないので、彼らの特徴を消すための準備をしている最中です。

──森村孝志選手は、キーパーとしても嫌な相手ですか?

パンチもあるし、フィジカルも強いのでかなり嫌な相手ですね……

──勝つために一番大事なことは?

北海道はしっかりと守備からカウンターの成功率を上げることが勝利につながると思うので、そこの精度を上げていきたいです。

──相手は間違いなくチャレンジャー精神で向かってきます。名古屋時代、そういった相手を迎え撃ってきた関口選手としては、どういう心持ちで?

過信ではないですけど、実力的には絶対に僕らが強いはずだし、変に緊張しないで、120%の力を発揮したら必ず結果がついてくると思っています。でも、僕だけがそう思っていてもダメなので、チーム全体でしっかりと気持ちを作って臨めるように、残りの期間の練習を積んでいきたいです。

──北海道で優勝したいと戻ってきましたが、17日と18日はまた違った決戦になります。クラブの未来を作っていくための大事な試合に向けた思いを教えてください。

僕自身がお世話になったエスポラーダへの恩返しではないですけど、必ずディビジョン1にこのクラブを残します。その先には全日本選手権という舞台も残っているので、そのためにも2連勝していい試合感を残した状態を保って、「北海道で優勝する」という目標に向かって戦います。



ディビジョン1・2入替戦

2月17日(土)

中継開始 カード 解・実 現地中継
13:00 北海道2-3仙台
★現地中継&W解説★
実況:福田悠
解説:北原亘
解説:横江怜
ABEMAハイライト

2月18日(日)

中継開始 カード 解・実 現地中継
13:00 北海道1-4仙台
★現地中継&W解説★
実況:福田悠
リポーター:辻歩
解説:稲葉洸太郎
解説:渡邉知晃
ABEMAハイライト

※2戦合計が北海道3-7仙台となり、ヴォスクオーレ仙台のF1昇格が決定

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