更新日時:2024.02.18
【ディビジョン1・2入替戦第2戦|記者会見/北海道vs仙台】あらゆる困難を乗り越えて“自分たちがいるべき場所”へ。仙台・清水誠監督「120%の力を出し切れた」
PHOTO BY高橋学
2月18日、駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場にてFリーグ2023-2024ディビジョン1・2入替戦の第2戦が行われ、エスポラーダ北海道とヴォスクオーレ仙台が対戦。仙台は4-1で勝利し、2連勝でのF1昇格を果たした。
第1戦に続いて“仙台らしさ”を表現した。立ち上がりから積極的に仕掛けてくる北海道の攻撃を、GK税田拓基を中心に粘り強い守備で食い止める。すると15分、仙台にチャンスが生まれる。右サイドのキックインから小野寺那央がシュート性のパスを蹴り込むと、浅野岬がGKの手前でコースを変える。18歳・浅野が2試合連続の先制点という大仕事をやってのけた。
第1ピリオドのラスト1秒で同点とされたが、F2でも接戦を制して優勝に辿り着いたチームは「何も焦ることはない」と意思を共有。その言葉通り、31分に第1戦のヒーロー・丸山将輝が強烈な反転シュートを再び突き刺して勝ち越す。その直後には左サイドのキックインから森村孝志が出したパスを、またしてもファーで浅野が合わせて2点差に広げる。
残り10分間はパワープレーを受けたが、最後まで集中を切らさずに守ると、39分には藤山翔太が自陣からガラ空きのゴールに蹴り込んで4-1に。2019-2020シーズン以来となるF1昇格をつかみとた。
試合を終え、清水誠監督と平澤凌が記者会見に出席した。
4年前から忘れたことなんて一度もない
●ヴォスクオーレ仙台|清水誠監督
──試合を振り返って。
勝ちしか必要なかったので、それを得られただけで十分です。
──チャンス数が少ない中でも決め切れた要因は?
仙台らしさといったらそれまでなんですけど、F2で勝ちを重ねてきたのも、まさにこういうゲームでした。9連勝しましたけど、1点差ゲームが多かったので。ただ、今日はリーグ戦の1試合と同じようにはできなかったです。かなり疲労感があったので。
前半は押し込まれて、最後の1秒でとられましたが、苦しい中で耐えるシーズンを過ごしてきたので、あまり慌てることなくできたと思います。後半は自分たちの流れになるとわかっていたので。僕ららしく体を張りながら、1個のボールにがむしゃらに頑張るところを見せられました。パワープレーも警戒していたので、パワープレー返しも決めてくれたのでよかったです。
ただ、おそらく、これが僕たちのチームの120%の力。F1に上がれたのはうれしいですけど、また1年で戻ってきたらしょうがない。そこは点差が離れた後は、少し考えていました。こういう試合を毎試合毎試合やるにはモチベーションやテンションを上げないといけないなと、そんなことを考えながら最後の瞬間を迎えました。
──チームとして苦しい時間を過ごしていましたが、F1昇格した瞬間はそういう思いが蘇ってきましたが。
ずっと思ってました。今日だけじゃないです。あの日からずっと、4年前から忘れたことなんて一度もないので。この場所(駒澤屋内球技場)で、同じ相手の北海道との試合があって。ここまで来られたのは、選手が一生懸命やってくれたこと、クラブがそこ(F1復帰)に強い意志を見せてくれたからだと思います。
──清水監督の目には涙も浮かんでいましたが。
自分から泣くというより、泣いている選手を見たり、スタンドにいるスタッフを見たりしたら、こみあげてきたというか。自分も頑張ったんだなって、今日に限っては思いました。
──この4年間、東北リーグやF2にいた中でチームとして得られたものは。
僕もまだ(来シーズンも)監督だと決まっているわけではないですが、クラブとして「F1でやっていく」ということを諦めずにやってきている。最初は選手もいない状況でしたし、なかなか言葉に表すのは難しいですが、暗闇の中を一生懸命走っている感じでした。
僕たちが強くなったのは間違いないです。僕らの中に、(困難を乗り越えたことで)湧いてくるような強さもあると思います。今日の試合を見てもらってストーリーというか、物語を感じていただけるとしたら、それは僕らが強くなっている証拠だと思います。
──入替戦の前、「戻るべき場所に戻りたい」と話していたが。
ここ(F1昇格)を目的にしちゃうと、ここで止まってしまうので。僕も(仙台の)立ち上げ時も関わらせてもらったのですが、Fリーグ参入までを第1章として、(F1復帰までの)第2章が終わっただけで、クラブはずっと続いていくものですし、50年先も続いていってほしい。
この先はどういう未来が待っているかわからないですけど、高いところを目指しながらやらないといけません。ただ現実的に考えたら頑張らないといけないなと正直思っています。入替戦は120%で乗り越えたましたが、毎試合毎試合120%を出すのは簡単ではありません。補強面や環境面だったり、ここから取り組んでいかなければいけないと感じています。
──F1でどんなプレーを見せたいですか。
僕ららしい戦い方がいいんじゃないかなって。華麗なプレーだけじゃなくて、今日みたいに、みなさんに何かを伝えられるような。僕らなりの価値がある戦い方がきっとできると思っています。
東日本大震災から13年ですけど、東北に目を向けてもらえるように、地域のみなさんにフットサルを通して生活が豊かになるような、週末の試合が楽しみになるようなエンターテイメントにしていきたいです。
チーム一丸となって戦えた
●ヴォスクオーレ仙台|平澤凌
──試合を振り返って。
最終的にF1昇格を果たせて、苦しい場面もありましたが、チーム力で戦えたので素晴らしかったと思います。素直にF1昇格を喜びたいです。
──チャンス数が少ない中でも決め切れた要因は?
僕らはリーグ戦で0-3をひっくり返したり、厳しいゲームを積み重ねてきた結果が今日出たと思います。前半のラストで追いつかれましたが、ロッカールームで「何も焦ることはない」というのはチームで共有していて、僕らの時間は絶対に来ると監督からも話がありました。チーム一丸となって戦えたことが、今日の結果になったと思います。
──この2日間を通して、どんなところを高めていかないといけないと感じましたか。
昨日、今日と戦った北海道さんは(リーグ戦で)名古屋さんや町田さんにも勝っていますし、決してレベルが低いチームではないですし、F1の強度は高いと感じました。F2を優勝できしたが、もっとギアを上げていかないといけません。1年でF2に戻ることは許されないので、もう1回立ち返って、自分たちがつけてきた自信は持ちつつ、次の高い壁に臨んでいたいです。
──「戻るべき場所に戻りたい」と話していたが。
Fリーグを退いた最後のシーズンも個人としては(仙台の)サテライトにいました。悔しい思いをしてきて、それからずっとヴォスクオーレでプレーしてきましたが、「東北の地にFリーグのチームを戻すという」目標に向けて、僕たちだけだけじゃなく、地域の方や、スポンサーの方、サポーターの方などは離れずに、僕らを信じてついてきてくれたので。F1という、いるべき場所に戻れたことはうれしく思っています。
──F1でどんなプレーを見せたいですか。
現実はそんなに簡単なものではないと感じています。気持ちの面もそうですが、技術の面は本当に高めていかないといけないのは最低限のラインです。あとは僕たちらしく戦っていきたいなと思っています。
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