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作成日時:2024.04.18
更新日時:2024.04.18

【今日が初戦】木暮ジャパンはどう戦う?負傷離脱3人の緊急事態、W杯出場は?アジア連覇は?|アジアカップ直前プレビュー

PHOTO BY本田好伸、軍記ひろし、FIFA/Getty Images

 

至上命題は「準決勝進出=W杯出場」

日本代表が参加するAFCフットサルアジアカップ2024は4月17日に開幕し、日本は18日に初戦を迎える。今大会は予選を勝ち上がった16カ国が4チームずつ4グループに分かれてグループステージを行い、勝ち上がった8チームがノックアウトステージを戦う。日本はグループCで、キルギス、韓国、タジキスタンと同組になった。

前回、2022年大会で優勝した日本の連覇がかかると同時に、今大会は今年9月に開催されるFIFAフットサルワールドカップ2024ウズベキスタンの出場権を争う予選を兼ねた戦いとなる。アジアには開催国ウズベキスタンを含めた「5枠」の出場枠が与えられているため、準決勝に進んだ時点でW杯出場が決定する。

加えて、ウズベキスタンが準決勝以上に勝ち上がった場合のみ、もう1枠の座を懸けて、準々決勝敗退の4チームによるプレーオフが行われるレギュレーションだ。

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つまり、木暮賢一郎監督率いる日本代表が最初に目指す目標は「準決勝進出=W杯出場権獲得」であり、その後、大会連覇を狙う。この点については、木暮監督も常々「まずはW杯出場を決めること」と話してきた。

大会が行われる開催地タイは、2012年のワールドカップで日本が初めてラウンド16へ進出した思い出の場所だ。当時、ミゲル・ロドリゴ監督が三浦知良を抜擢して大きな話題を集めたが、その時に木暮賢一郎監督は、キャプテンとしてチームを率いていた。キング・カズと戦った思い出の地・バンコク──。ポジティブな感情が蘇る場所だ。

予選敗退という想定外への準備

過去16回目のアジアカップにおいて、イランは12回、日本は4回と、優勝国は2チームしかない。この事実が物語るように、アジアはイランと日本が覇権を争う2強であることは間違いない。とは言え、精力的な強化を見せる国もあるなど、アジアフットサルの勢力図は、この十数年で変化を見せ始めている。

具体的には、イランとタイに続くのがタイやウズベキスタンの2カ国で、そこに追随するのがベトナムやインドネシア(今大会は予選で敗退)、サウジアラビア、カザフスタン、アフガニスタン、クウェートあたりが力を伸ばしてきている。

アジアの勢力図の大枠をまとめると、2強がいて、そこに迫る2チームを加えた4カ国が第1グループで、追随する4〜8チームが第2、第3グループというイメージ。日本がベスト4に入ることは、当然の義務のようでもある。

だが、その力関係が盲点を生むことがある。2016年、今回と同じくW杯出場権を懸けたアジアカップにおいて、日本は準々決勝でベトナムに敗退し、翌日、最後の1枠をかけたプレーオフにも敗れるという“失態”を犯した。出場選手やスタッフの証言をたどっても彼らに油断や慢心はないように思えたが、唯一「W杯に出られないという想定」をしている人物が皆無だった。上述の勢力図が示すとおり、日本がアジアで5枠を逃す想像をできなかったのだ。

当時の最大のテーマは「アジア連覇でW杯を決められるか」であり、準決勝進出を「通過点」としか捉えていなかった。現在、日本はこの反省を踏まえ、準決勝進出に目標を定めた。つまり、現状では想定しづらいような「予選敗退」さえも頭のなかでイメージし、仮にグループステージで危機的な状況に陥っても慌てることなく対処し、“想定済みの想定外”を乗り越える準備はできているはずだ。木暮監督が思い描くプランに抜かりはないだろう。

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アルトゥールと清水、2人のキーマンが離脱

だが、日本は大会開幕前に2つの「想定外」に直面してしまった。

大黒柱のオリベイラ・アルトゥールと、エース・清水和也の負傷離脱だ。2人は共に3月末の国内合宿からトレーニングに参加し、開催地タイでも調整を続けていたなか、開幕直前にチームを離れることになった。

間違いなく想定外の事態だろう。

現在の代表チームは、乱暴に言ってしまえば「アルトゥールのチーム」だ。フィクソとして守備のキーマンであり、これまで35試合で21得点を挙げているように攻撃のキーマンでもある。正確無比なFKの精度と決定率は半端ではなく、相手からすれば脅威でしかない。アルトゥールのいる、いないで、日本のパラメーターは大きく変化する。

存在自体が不可欠な選手を失ってしまったのだ。

清水も違いを生み出せる選手だ。10代の頃から将来を嘱望され、木暮監督の現役時代はもちろんのこと、歴代の代表キーマンたちから日本代表の魂を受け継いできた。2021年、初出場したW杯リトアニア大会では、アルトゥールや吉川、前主将の星翔太らと共にピッチに立ち、世界を舞台に経験を積み上げた。

抽象的な表現ではあるが、清水がいることでチームに芯が通る。ピヴォとして前線のキーマンになると同時に、その背中を見せることでチームメートを鼓舞するような存在なのだ。

戦術的にも、清水はフィニッシャーとして重責を担う。チームが苦しい時にゴールで救う役割は彼の専売特許であり、通算80試合で30得点。ゴール数は現チーム最多だ。木暮ジャパンにおける3-1システム、4-0システムのどちらにも対応できる戦術的、技術的な能力、アジアの相手を圧倒できるフィジカルが欠ける損失は大きい。

これまで、彼らなしで戦った試合はあれども、重要な大会で不在のことはない。1stセットを任される2人の離脱はどこまで影響するだろうか。システム、選手の組み合わせ、ゲームプラン、あらゆる点が変更になるだろう。

仁部屋と安藤に求められるタスク

木暮監督はアルトゥールの代わりに仁部屋和弘を、清水の代わりに安藤良平を追加招集した。どちらも日本代表キャリアをもつベテランだが、これまで木暮ジャパンの強化路線には表立って入ってこなかった選手だ。

選考意図とはなにか。

仁部屋は10年以上前から「10番」を背負い、ミゲル・ロドリゴ監督時代のエースを任され、吉川智貴と共に2016年のアジアカップ経験者でもある。ただし、木暮ジャパン以降の選出はなく、今年2月のポルトガル遠征で約3年ぶりにメンバー入りした。昨シーズンのFリーグで得点王を争いを演じ、木暮監督が一貫して「Fリーグのパフォーマンスを重視する」と話してきた基準を満たす形で選ばれた。と同時に、指揮官は「同等の実力があればまずは若い選手を選ぶ」と明言してきたなかで仁部屋が選ばれたことが、彼に対する評価の高さを示している。

アルトゥールに代わる選手として追加されたものの、仁部屋の役割は「得点力」ではないだろうか。フィクソでのゲームメイクも、ドリブルでのチャンスメイクも、前線でのフィニッシュワークも高水準でこなせるだけにタスクを増やすことも考えられるが、清水の離脱と併せて考えると、仁部屋が前線のキーマンとなる可能性は高い。

もう一人、安藤良平は、今回が木暮ジャパン初招集という驚きだ。昨季、名古屋で3冠達成をフィクソとして支えた実力に疑いようはなく、ブルーノ・ガルシア前監督時代も、強度の高い守備を評価されてきた。

木暮ジャパンでその役割を担っていたのが内村俊太であり、優勝した2022年のアジアカップでも、決勝でイランの屈強なピヴォを封じ込めるタスクを遂行した。もともと、大会に向けた25名のラージリストに内村も安藤も名を連ねていたが、日本フットサル的にはオフシーズンの間、どこまで想定外を想定して、準備できていただろうか。

リーグのパフォーマンスや現在のコンディションを鑑みて、安藤が選ばれた可能性が高い。

仁部屋はどのポジションでもこなし、安藤も体の強さを生かしてピヴォを任せるプランがあるかもしれないが、明確にするのであれば、2人のベテランには、仁部屋は「得点力」、安藤には「守備力」が求められるだろう。

木暮ジャパン最新の最適解は?

アジアにおいて、日本の強さは際立っている。2023年10月、台湾で行われたアジアカップ一次予選は、オーストラリアに4-0、チャイニーズ・タイペイに3-0で勝利し、無失点で勝ち上がった。11月にはW杯開催地、ウズベキスタンで同国と2試合の国際親善試合を戦って連勝で帰国。12月には2016年のW杯王者アルゼンチンと国内で2試合を戦って連続ドローと接戦を演じ、2月には2021年のW杯王者ポルトガルとアウェイで連戦。現世界王者に土をつけることはできなかったものの、ここまで強化の道のりは順調に進んできた。

世界を相手にボールを保持しながらチャンスメイクできる4-0システムの精度はレベルアップを遂げ、同時に、前線の屈強な相手に必ずしも勝利できないなかでは3-1システムを重用しない。理に適った戦術モデルを構築した。

さらには、対世界へのチャレンジャー・スタイルと並行して、守備を固めてくる対アジアの戦いを想定した相手を釣り出すようなボール回しも精度を高めている。だが「ピヴォ」「ミドル」「セットプレー」といった大会を勝ち抜くためのキーワードとなる戦略において、最大の強さを出せる選手2人が離脱したことで、プランを練り直すことになる。

重要なのは初戦だ。キルギスは、2016年大会のプレーオフで敗れた因縁の相手だ。ただし、前日に準々決勝のベトナム戦に敗れた失意からメンタル的な回復ができないまま臨んだ試合は、参考にならない。この10年での対戦は2014年と2016年のいずれもアジアカップでの対戦だが、日本が、引いている相手をどのように攻略するかがカギを握るだろう。

その手段として、選手の組み合わせに注目だ。

1stセットはこれまで、清水、吉川(金澤空)、堤優太、アルトゥールが多いなか、ピヴォに平田ネトアントニオマサノリ、フィクソに吉川をずらして安定させ、堤優太と金澤空がサイドから切り崩していく形が考えられそうだ。

いきなり安藤を抜擢することは考えづらいため、フィクソの一番手に山田凱斗を登用するか。必然、2ndセットの組み合わせにも影響が出る。場合によってはピヴォを置かない、あるいは偽ピヴォと呼ばれる、位置的ピヴォに新井裕生か仁部屋を配置して、石田健太郎と長坂拓海、山中翔斗(甲斐稜人)のセットで切り崩していく形もあるかもしれない。

GKについては、フィウーザのコンディションの問題により、最終的には黒本ギレルメと、サポートメンバーとして帯同してきたピレス・イゴールが登録された。昨年10月のアジアカップ予選で守護神を託されたフィウーザの離脱も当然、痛いが、とは言えGKについては3人の能力値や信頼感に差はなく、緊急事態とは言えないだろう。

仮にグループステージを1位で突破した場合、準々決勝の相手はグループDの2位チーム。イランのグループであることを考えると、対戦相手はアフガニスタンあたりが順当だろうか。そこで勝ってW杯を決めれば、次はタイかウズベキスタン、そして決勝はイランとの2年ぶりの再戦──。だが、そんな皮算用をするべきではない。

吉川が話したように「1試合、1試合、勝ちを積み重ねるだけ」だ。結果は積み重ねた先にしかついてこない。2016年の教訓を、我々フットサルメディアも糧にしないといけない。今大会、余計な想定はやめておこう。

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