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作成日時:2024.05.23
更新日時:2024.05.23

【独占インタビュー】上村充哉はなぜ今、ファンクラブを立ち上げたのか?「自信をもって『俺はフットサル選手だ』と誇れるように」の言葉に込めた思い

PHOTO BY本田好伸

 

4月1日、新シーズンの幕開けと同時に、個人としても新しい活動を始めた選手がいる。

立川アスレティックFC・上村充哉だ。個人としてファンクラブを設立し、「ファンの方々に価値を提供する」「アスレの価値も高める」という2軸で活動を開始した。

上村はこれまでも自身のフットサルクリニックを開催するなど、ピッチ外の活動に積極的に取り組んできたが、なぜ今、新たな取り組みを始めたのか。

上村がファンクラブを通して伝えたいこととは。

ファンとのつながりで業界成長のきっかけをつくる

──上村選手は、4月1日にファンクラブを設立されました。ファンクラブを立ち上げようと思ったきっかけを教えてください。

まずはファンの方々に楽しんでもらう、フットサルを応援していて良かったと思ってほしいというところから始まりました。

賛否両論はあると思いますが、ファンとの距離が近いことは、僕はフットサルの強みだと思っています。だからこそ、ファンの方とのつながりをより強めて、フットサルが成長するきっかけをつくれたらと思って始めました。

──これまでもチームでフットサルクリニックを開催するなど、ピッチ外でも積極的に活動されていました。なぜ今、ファンクラブを設立したのでしょうか。

ふと「やろう」と思い立った感じです。前からファンクラブをつくれたらいいなと考えていて、その漠然とした思いが固まってきたので行動に移しました。

動き出したのは2月ぐらいで、設立までは1、2カ月ですね。ファンの方と距離が近い強みを生かして、直接ファンクラブの内容などを相談しながら進めました。

フットサル選手はすべてのクラブが全員プロ契約ではないし、なかなか稼げない状況のなかでやめていく選手も多い。でも今の時代、僕はいろんな稼ぎ方があると思うし、一つのモデルケースになれたらいいなと思ったのも、始めた理由です。

──実際にファンクラブを運営していくなかで、どんなことが大変でしたか?

ホームページ作成や決済の登録などは依頼したので僕はそんなに大変じゃなかったんですけど(笑)。でも特典と価格設定は大変でした。

特典はファンの方々と相談しながら、誰をターゲットにするかを決める部分は難しかったですね。経営者の知り合いに相談しながら進めています。

価格設定は、選手は稼げないというネガティブな状況を打破するために始めたので、比較的、高めの金額設定でやることはブレませんでした。

高く設定する分、特典も充実させていかないといけないですから、そこはかなり難しかったですね。ただお金もらうだけでは意味がないし、費用対効果が大事だと思うので、なにを提供するかは本当に悩みました。

──うれしかった反応などはありますか?

「行動力がすごい」と言ってくれる方が多くて、そこはいろいろとやってきて良かったと思います。

やりたいことはいっぱいあっても、実際に形にするのは難しかったり、自分の能力のなさを痛感したりすることもたくさんあります。でも、やらないとなにも始まらないというマインドなので、まずは動いてみることを大切にしていました。だからそういう印象をもってもらえたことはすごくうれしかったです。

■上村充哉ファンクラブ
https://atsuya8.club/

2000円でクリニックをやるのは反対

──上村選手は、フットサル界の現状に対してどんな課題を感じていますか?

僕も全部を把握しているわけではないのでえらそうなことは言えないですが、どのチームも新規顧客を集めようといろいろ施策を打っていると思います。

ただ、新規顧客を集めることを意識しすぎて、今いる人たちをないがしろにしていたら意味がないと思っていて。水は入れていても、栓が閉まっていなかったら抜けてしまいますよね。この、栓を閉める作業が大事だと思います。

──その一つとして、ファンクラブという形があるのですね。

そうですね。今応援してくれている人たちにどれだけ満足してもらえるかは大事だと思います。ファンクラブでなくとも、試合の後に少しでもコミュニケーションを取れたらファンの方はうれしいと思いますし、なにかしらできることはあると思います。

──先ほどのお話にあったように、Fリーグはまだまだプロではないチーム、選手もたくさんいますが、それについてはどのように考えていますか?

自分はプロ契約ですが、若い時はそうではなかったし、今もプロでない選手はたくさんいます。

そのなかで、今のアスレにいる選手たちに伝えたいのは、プロ契約、プロ契約じゃないに関わらず「フットサル選手」だという自覚をもってほしいということ。試合を見に来てくれる人たちからしたら、契約がどうかは関係なく、僕たちのことを一人のフットサル選手として見ています。自分たちはピッチで結果を出すのが一番の仕事なので、その自覚を強くもって、一緒に高いところを目指していきたいなと思います。

もう一つは、フットサル選手が自分自身で自分の価値を下げないでほしいです。

──それはどういうことでしょうか?

人それぞれ考え方はありますが、一言で言うと僕は、「価値」とはワクワクするものを提供できるかだと思っていて、それに対しての金額設定はしっかりしていきたいです。

例えば、フットサルクリニックを2000円くらいの価格でやるのは反対です。どれだけのワクワクを提供できるかを考えたら、Fリーガーの価値はそんなに低くないと思うし、もっと高い金額を設定していいと思います。

もちろんお金がすべてではないですし、それぞれやり方があると思うので難しいですけど、そういう考えです。

──今後、同じようにファンクラブを立ち上げる選手が出てくるかもしれないですね。

そうですね。すでに何人か他のチームの選手で「俺もファンクラブをつくりたい」「どうやってやるの?」と聞いてくる選手もいました。

──すでに流れを作っているのですね!

そんなパイオニアみたいな感じではないですが(笑)。一つのモデルケースをつくる意味で言うと、そうやって僕に聞いてくれる選手がいるのはいいことだと思います。選手はみんな、なにかしらの思いがあるので、まずはやってみてほしいですね。

アスレの試合が毎試合満員になるように

──スポーツ選手は「競技だけできればいい」という考えの選手も多いはずです。そのなかで、上村選手はなぜそんなにピッチ外のことを意識できるのでしょうか。

僕も、もともとは「プレーだけしていればいい」と思っていました。でも何年も選手として活動してきたなかで、お金の問題がネックで「Fリーガー」という存在にネガティブな感情をもってやめていく選手たちを何人も見てきました。それから少しずつ、そんなフットサル界を変えていけたらと思うようになりました。

──やはり、プロではない環境で競技を続けていくのは大変なことが多いですよね。

自分としては、「大変だ」という選手がいる状況は良くないと思っています。

ファンのみなさんが、「応援していて良かった」と思ってほしいのと同時に、選手たちにも「選手をやっていて良かった」と思ってほしいです。だからフットサル界をもっとよくしたいし、子どもたちに対しても夢を与えて、自信をもって「俺はフットサル選手だ」と誇れるようになっていきたい。そこが一番、根底にある気持ちです。

──今後、ファンクラブでどんなことをやっていきたいですか?

いろいろとありますが、まずはファンクラブの人数を増やして、ホームゲームに「上村充哉ファンクラブシート」を設置したいです。

──もうできそうですね!

いや、まだまだです(笑)。頑張ります。

これはありきたりかもしれないですが、僕の活動が広がって、アスレの試合が毎試合満員になるぐらいにしていきたいです。心の底から、上村充哉を、アスレを、そしてFリーグを応援していて良かったなと、一人でも多くの人に思ってほしいですね。

 

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