更新日時:2024.07.18
松井大輔は、日本フットサルをどう変えるのか?新理事長が掲げる5つのミッション【記者会見全文掲載】
PHOTO BY伊藤千梅
7月18日、日本フットサルトップリーグの理事長に松井大輔氏が就任することが決定。同日、高円宮記念JFA夢フィールドにて記者会見が行われた。
松井新理事長の任期は2年間
現役時代、サッカー日本代表屈指のテクニシャンとして活躍してきた松井大輔氏は、2022-2023シーズンにFリーグのY.S.C.C.横浜に加入。J3のY.S.C.C.横浜の両チームに所属し、サッカーとフットサルの“二刀流プレーヤー”に挑戦し大きな話題を呼んだ。
松井氏はその後、2023-2024シーズンにFリーグアンバサダーに就任し、フットサルおよびリーグの認知度向上に従事。5月に行われたFリーグキックオフカンファレンスでは「フットサルを広めるために、選手が輝いてプレーする場所を提供することが大切です。自分はそういった環境づくりに取り組んでいきたい」とコメントしていた。
なお日本フットサルトップリーグ理事長の任期は2024年7月から2026年6月末までの2年間。松井氏は記者会見にて、チェアズ・ミッションとして『プティ・タ・プティ(少しずつ)』を掲げ、「日本フットサルを取り巻く環境を少しずついい方向に変えるために5つのミッションを掲げて活動を進めていきたい」と、指針を語った。
日本フットサルを取り巻く環境を少しずついい方向に
■松井大輔新理事長コメント
新理事長に就任させていただく松井大輔です。
今回の就任にあたって、日本フットサルトップリーグ、自分としては危機感をもって、一人ではなく、全員が危機感をもってチームでやっていきたいです。
今のスポーツ界の流れは早いので、そこに対応しながら、土台となるいいところは残しつつ、変えるところは変えて、少しずつ方向を示していきたい。
フットサルのよさ、普及などありますが、自分の力を最大限に出しながらフットサルリーグ、育成年代など、全体への認知であるとか、いろんな形で自分の力を発揮できればいいと思っています。
■小野寺隆彦専務理事コメント
松井理事長はこれまで日本のサッカーだけではなく、世界で活躍されてきました。2021年からフットサルとサッカーの二刀流のチャレンジをしてきました。
昨年度からはアンバサダーとして、会場でのクリニックやエキシビジョンへの参加などの活動をしてきました。
そして今回、当法人の改選にあたり、Fリーグ、女子Fリーグをより発展させていくために、フットサルへの理解が深く、かつフットサルブランドを広く発信できる方が理事長にふさわしいということから、松井大輔氏が理事長に選任されました。サッカー界を含む多くの方と交流し、日本のフットサル界をよりよい形にできるように活動を進めてくれるでしょう。
■チェアズ・ミッション「プティ・タ・プティ」と5つのミッション
松井大輔新理事長:「プティ・ダ・プティ」。これはフランス語で「少しずつ」という言葉です。日本フットサルを取り巻く環境を少しずついい方向に変えるために、5つのミッションを掲げて活動を進めていきます。
<任期2年で取り組むミッション>
クロスボーダー:世代、地域、カテゴリー、サッカー、フットサルの垣根を越えて交流します
グローバルマインド:日頃から世界との接触機会を増やすことに挑戦します
ネクストジェネレーション:小中学生年代にアプローチし、次世代にフットサルを普及します
ファンビルド:ファンマーケティングの取り組みを始めます
ソーシャルグッド:社会に対して役に立つリーグであることを目指します。
新理事長への質疑応答
──「プティ・タ・プティ」という言葉に込めた思いを、詳しく聞かせてください。
「プティ・タ・プティ」というのは、「少しずつ進んでいこう」という意味があります。とは言っても、2年しかありません。しっかりと将来を見据えてやりたいです。先ほども話したとおり、いいものは残しつつ新しいもので変えて、フットサルリーグをもっと認知してもらえる形を模索したい。
あとはちょっと(ロゴが)丸くなっていますが、関わる人たちはみんな人間なので尖ったものがあるようなところもあるかと思いますが、そこを削って少しずつ丸くして、フットサルリーグが全体的に円になれるようにという気持ちを込めました。
──「少しずつ」というこの言葉は、現役のときから大事にしていたものなんでしょうか。
最初の監督がよく言っていた言葉でもあります。自分も当時フランス語を覚えることが難しかったように、いろんなことへの挑戦はいきなりできません。いろんな方の力を借りて、みんなで前進することが大事です。自分ができることは少ししかないかもしれませんが、一人ひとりに得意なところを任せることでいろんな相乗効果が生まれると思うので、少しずつ全員で前に進みたいです。
──副理事長の上田浩一氏は、2019年に行われたラグビーワールドカップにも携わられていますが、今回の就任にあたって何か話をしたことはありますか?
副理事長に限らず、理事の方たちにもご協力をいただきたいと思っています。自分もそうですが、それぞれなにが一番強いのか。Fリーグの1チームずつにもアンケートをとって、どう変わるべきか、ニーズとして何が必要なのか。アンケートや意見をもらって、その人にあった能力でしてもらうこともあります。
フットサルは室内でできますし、サッカーでも必要な技術がたくさんあります。幼少期に取り入れていかないといけない。最近は暑い日が続いていますが、たとえばプロのサッカーリーグでも室内でできる環境があってもいいと思いますし、Jリーグとも連携しながら、僕ができることもやれたらと思います。ただ一方で、フットサルのトップリーグが自分の足で立つことも大事なので、その2つに取り組んでいければと思います。
──ミッションのうちの「ソーシャルグッド」に関わる部分でもありますが、リーグに関わるスタッフの労働環境の改善について、考えを教えてください。
いろんな問題が出てくると思います。そうした問題は吸い上げていかないといけません。僕は、ピラミッド(型の組織)はもういいと思っています。ピラミッドではなく、ボールのように丸にしたい。自分は(理事長という立場的に)上にいますけど、いろんな人の考えを取り入れて、丸になることで意思疎通を図ることが大事だと思うので、そういう組織をつくっていきたいです。理想ですし、問題はあると思いますけど、いろんな人の力で解決できたらと思います。
──改めて、理事長を引き受けようと思った経緯を教えてください。
まずはフットサルはサッカーにも還元できる。サッカーもフットサルも両方とも大事な部分があると感じています。世界ではフットサルを取り入れた戦術も見受けられますし、ブラジルをはじめ、いろんな地域、国でフットサルからサッカー選手になっていることも多い。自分も実際に選手としてプレーをしてみても、もう少しフットサルをやっていたらよかったなと思いました。知っている技術はプレーに出せますけど、知らないことは出せないので、まずは(フットサルを)知ってもらうことは大事です。
あとはこうして暑くなってきて、外で昼間に練習ができなくなった時に、フットサルであれば体育館でもできますよね。
(理事長に就任することも)僕にとってはチャレンジで、人生においてチャレンジし続けようというのは、自分自身で掲げています。人と違う道をいきたいし自分自身でしか歩めない道をいきたいと思っているなかで、この役割は自分自身にしかできないんじゃないかなと。サッカーとフットサルの“二刀流”の第一人者として、力になれると思って引き受けさせていただきました。
──Fリーグに関わってみて感じたことや、問題点については?
認知もそうですし、観客数もそうですね。バスケが流行っているように、体育館の中でできるイベントもこれからできればいいと思っています。
海外の選手やチームとの交流も、おもしろいのかなと個人的には考えています。東南アジアとか、タイとかのベトナムのチームを呼んでくる。あるいは日本の選手がタイ、ベトナムなどに行く。そうした取り組みもできたらいいなとか。認知というところでは、もっと地域密着型でできたらと思いますし、Jリーグとも連携もしていきたいです。
──日本サッカー協会の組織図が刷新され、フットサルだけの技術グループがなくなってしまいました。そのぶん日本のフットサルの発展において、Fリーグの存在意義や役割が重要になってくるかと思いますが。
本当に危機感しかないですし、僕はFリーグに関わる人全員がその危機感をもってほしいし、全員で考えて、フットサルトップリーグをよくしていきたい。あとは宮本恒靖会長にもお会いして、「よろしくお願いします」と言っておいたので、協力してもらえるように期待しております。
──日本が世界で戦っていくために、リーグとして取り組んでいきたいことは?
先ほども少し触れましたが、海外の選手との交流もそうですし、ブラジルやポルトガルなどいろんなチームと関わりながら戦っていけたらと思います。選手一人ひとりが能力を上げるために大事なのは、幼少期からフットサルに触れること。できれば「フットサッカー」みたいなこともできたらおもしろいと思うので、自分が先頭に立っていければと思います。
──子どもたちに対して、リーグとして見せていきたい姿はありますか?
子どもたちにもフットサルが楽しいことや、「ああいう選手になりたい」と目指すところになってもらえるようなリーグにできたらと思います。
──残念ながら日本代表は今年開催するワールドカップに出場できません。今後の“リベンジ”について、思いを教えてください。
日本代表は残念でしたが、これからもっと強くなっていかないといけません。代表チームとしても、取り組むべきことを、監督を含めてやってほしい。なかなか世界で勝つことができなかったですけど、選手たちにはこれから所属チームで頑張ってもらい、世界で戦えるように。言うことは簡単ですけど、チーム単位で(海外)遠征などもできたらと思います。
▼ 関連リンク ▼
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