更新日時:2024.08.15
【U-18全日本選手権】作陽学園・渡邉知晃監督が語る、サッカーvsフットサルの相乗効果「高めあうことで、大会や競技のレベルも上がっていくはず」
PHOTO BY伊藤千梅
8月1日から4日にかけて、浜松アリーナにて行われた第11回U-18フットサル全日本選手権。
大会3日目の8月3日、決勝ラウンドの初戦でフウガドールすみだと作陽学園高校が対戦し、作陽学園高校は2-6で敗戦。前回王者に果敢に挑み、ベスト8という結果で今大会の幕を閉じた。
チームを率いたのは2025年に新設される、くらしき作陽大学フットサル部で監督を務めることが決まっている、元日本代表の渡邉知晃氏。“1期生”の選手育成を図る狙いもあり、併設校の作陽学園高校で指揮を務めた。
自身にとって初のU-18年代の全国大会に携わり、“サッカーチーム”に、短い時間で「フットサルのいろは」を注ぎ込んだ渡邉知晃監督に、3日間にわたる激闘を終えた率直な思いを聞いた。
楽しさを知って、フットサルの道に進む選手が増えてくれたら
──今大会はベスト8という結果でしたが、振り返ってどうでしたか?
フウガドールすみだに負けたのは、ある程度仕方ない部分もあります。こちらがミスをして負けたのではなくて、セットプレーやフットサル特有の切り替えの速さで第2ピリオドは失点してしまった。作陽学園はサッカーとフットサルを両立してやっていますけど、すみだの選手たちはこの大会にかける思いが本当に強いチーム。日頃からフットサルだけをやっている専門チームに、セットプレーのクオリティで勝つのは難しかったですし、そこの強みを生かしてきたなという印象です。命を懸けてフットサルをやっている選手たちとの違いを見せられました。実力差があったなかで、うちはうちなりの戦い方でなんとかできればなと思っていました。
──そのなかでも一戦一戦積み重ねるごとに、ディフェンスがうまくなっている感じがしました。
僕自身が教える機会が少ないなかで、唯一重点的に着手したのがディフェンスでした。フットサルとサッカーでは大きくディフェンスの仕方の違いがあるので、そこに関してはかなり時間をかけてやってきました。公式戦でもサッカー選手である強み、その対人の強さとか体力がある、走れる部分を最大限に生かしたディフェンスをしようとしていて、それが試合を重ねるごとによくなったので、その部分は通用していたかなと思います。
──まさにすみだ戦の第1ピリオドは、そういったディフェンスの強さがすごく見られたのかなと思います。
第1ピリオドは理想的な展開で、リードして終われました。うちのサッカーならではの良さ、勢いのなかでしっかりリードして終われたところまでは本当にプラン通りでした。ただ第2ピリオドが20分あるなかで、より早い段階で3-1にできたら、相手に焦りを生むことができたと思います。けれど2-1の時間が長かったので、すみだもおそらく1点差であればパワープレーで取れるという算段もあっただろうし、その点で落ち着いてやらせてしまいました。そこを3-1にできていたら、もっと違った展開にできたと思います。そこで取り切れなかったのは悔やまれるところです。
──このチームのポテンシャルを感じられた大会になりましたか?
そうですね。彼らはサッカーでもいいところに行けるぐらいの力を持った子たちなので、彼らの個の強さを生かしたチームにできたとは思います。ただフットサルチームの壁を打ち破っていくには、もう1つ、2つ、セットプレーやクオリティを上げていかないと、全国で優勝するのは難しいと感じました。僕自身、U-18の大会を見たことがなかったので、レベル感というのは今回初めて見てわかりました。そういったところの差を埋めていかないと上位にはいけないと感じています。
──同じグループにいた帝京長岡高校がベスト4に進出しました。
うちが帝京長岡に勝っていれば1位抜けできましたけど、彼らに負けているのでそこへの悔しさはないです。
僕らより名古屋オーシャンズのほうが悔しいと思います。フットサルチームとサッカーチームのプライドのぶつかり合いのなかで、サッカーチームが勝ったというところは、いい部分もあり悪い部分もあります。
ただ両者が切磋琢磨していくことによって、フットサルチームだけで大会をやるよりも、間違いなく相乗効果はあると思います。お互いが高め合っていけば、競技自体のレベルも上がるんじゃないかなと。サッカー選手に対してフットサル選手がどう戦っていくかは、今後の成長につながるんじゃないかなと思います。
──作陽学園のGK・竹内暖人選手もたくさん止めていましたね。
彼は本当にいいキーパーで、高校卒業後はフットサルの道に行くというのを決めている選手です。ここから成長して、この悔しさをバネに大学で活躍して、その先のFリーグとか代表に絡んでいけるようになってほしいなと思っています。
──パワープレーの練習もしていたのでしょうか?
パワープレーの練習は2回だけやりました。ディフェンスのところはよくできていたので自信はありましたし、そこは良かったです。オフェンスはできていなくて、公式戦でやるのは今日が初めてでした。最後、点が決まりそうなシーンが2本ぐらいありましたし、初めてにしてはチャンスをつくれていたかなと思います。
──大会をとおして、選手たちも楽しそうにプレーしていましたね。
本気で日本一を目標にやっていたので、彼らなりに悔しさもあると思います。ただ、真剣勝負のフットサルの全国大会を初めてプレーして、得たものや自信になったものもあるのかなと。彼らはまだサッカーの選手権も残っていますし、高校生活は続いていくので、この経験をまずはサッカーに戻って生かしてほしいです。その上で、全国大会でフットサルの楽しさを知った選手たちには、卒業後うちの大学含めてフットサルという進路を取ってくれる選手が増えたらいいなと思っています。
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