SAL

MENU

作成日時:2024.09.05
更新日時:2024.09.10

【U-18日本代表】新指揮官が考える“育成強化”に必要なこととは?「育成年代から世界と戦う経験を積めば、世界との実力差も縮まる」(高橋健介監督/U-18日本代表監督)

PHOTO BY伊藤千梅

高橋健介監督就任後初の日本代表活動として、9月3日よりU-18フットサル日本代表候補国内合宿がスタートした。

今回の活動は、10月に控えるフランス遠征を見据えた強化合宿。会場の高円宮記念JFA夢フィールドには、8月に行われた全日本U-18フットサル選手権大会で活躍した選手を中心に、計20名が集まった。

日本フットサルの未来をを担う“原石”たちは、3日間にわたるトレーニングをこなしたのち、4日目の最終日に栃木シティフットサルクラブとのトレーニングマッチに臨む。

日本代表監督就任後の「初仕事」に取り組む高橋健介新監督に、今後の選手育成の方針や、数年ぶりに再開したアンダーカテゴリーの代表活動の狙いを語ってもらった。

<U-18日本代表>合宿中インタビュー



サッカー組も混ざり、フットサルにもいい影響を

──Fリーグや地域リーグの育成組織はもちろん、サッカーの強豪校からも選出されていますが、チームや合宿の雰囲気はどうですか?

ピッチを離れると高校生らしさも垣間見えますが、最初のミーティングで、この日本代表を背負う責任や覚悟の話をしたので、初日のトレーニング中は若干堅い雰囲気が漂っていたのかな、と。

ただ、改めてこのエンブレムの意味を選手それぞれが考えて、表現をしてくれ始めているのかなと感じています。

“サッカー組”は特に戸惑っている様子も見えますが、彼らがもっているよさを生かすことでフットサルにもいい影響があると考えてるので、その相乗効果でよりよいチームになればいいなと思います。

──8月に開催されたU-18選手権大会で活躍した選手が主なメンバーに選ばれています。高橋監督にとってこの大会の位置づけを、どう考えていますか?

全国大会ということは各地域の代表として、出場している。そこでの活躍が日本代表につながる流れを作ることで、この大会自体が、U-18世代の選手たちとって夢に一歩近づくための重要な機会になると捉えています。

ただ、アピールの場所はこの大会だけではありません。各地域で行われる予選や選抜大会のスタッフ、各クラブの指導者の方に協力してもらって、それぞれの選手のパフォーマンスをチェックさせてもらっているので、選手権に出ていなくても、いい選手がいればメンバーに選んでいます。

たとえばU-18の主要大会で結果を残せていなかったとしても、社会人のトップチームでプレーしているという場合もある。あとは、ガット2008の木原悠吾のように過去に(ナショナル)トレセンにも参加してもらって、継続的にウォッチしてきて招集している選手もいます。

地域クラブとの連携も深まってきているなかで、選手権のようなサッカーとフットサルが混じり合う大会もでき、これまで以上にいい選手が発掘しやすくなってきているなと感じています。

そこからさらにこのU-18の代表活動によって、より育成や強化が加速していくきっかけにしていければと思っています。

──佐賀東高校の秀島逸太選手はU-18選手権大会で得点王になったものの、幼少期にフットサルをプレーした経験がないとのことで、この合宿ではかなり戸惑っている様子も伺えました。

ロールモデルになっているのは今シーズン、ペスカドーラ町田に加入した三宅悠斗ですね。ちょうど1年前、藤井学園寒川高校サッカー部の一員として、U-18選手権大会に出場していた彼をナショナルトレセンに呼びました。そこで本格的にフットサルに触れ、そこから今、Fリーグで活躍をしてくれている。

フットサルに進む道を今後もつくりながら、日本代表に選ぶに値するパフォーマンスを発揮してくれる選手にはチャンスがあって然るべきだと思っています。秀島に関しては、ポテンシャルがあるという判断をして今回招集しました。

彼にとっては苦しいトレーニングがたくさんあると思いますが、そのなかでも彼自身のいいところを出していってほしい。ここまでも何度もコミュニケーションはとっていますが、いい意味で割り切ってプレーをしてほしいという話をしています。今日(2日目)の午後はゲーム形式のトレーニングを予定しているので、そこでより力を発揮してほしいです。



世界を「経験する」だけではなく「勝つ」ことが目標



──このU-18代表候補合宿の狙いを改めて教えてください。

大きく分けて3つあります。まずはこの合宿の最終日に控えている、栃木シティフットサルクラブさんとの練習試合で勝つための準備をすること。

2つ目は、その先にあるヨーロッパ遠征のため。そこで世界の強豪国と試合をする機会があるので、そこで勝つ可能性を少しでも上げるための準備がここから始まっています。

3つ目はさらにそのもう一つ先にある、フル代表につなげていくこと。それが2028年のワールドカップなのか、2032年なのか、2036年なのかは彼らの努力次第だと思いますが、そこにつながるように3つのフェーズを設定した活動だと考えています。

──高橋監督は先日の会見で「無理に(アンダー世代や若手を)入れることはしない」という話をしていました。前任の木暮賢一郎元監督は、アンダー世代の選手も積極的にフル代表の活動に参加してもらうという方針でしたが、新体制では育成に力を入れつつも、時間をかけて育てていくという方針なのでしょうか?

そこについては伝わり方が少し違ってしまったかなと思っていて、単純に「フル代表に値するパフォーマンスをしているか、否か」という基準で判断しているだけです。

前例で言うと、原田快が18歳の時にフル代表に選ばれたのは、すでに町田で中心選手として結果を残していたから。それは金澤空にしても、山中翔斗も同じです。

でも今はこの世代で、トップチームで活躍している選手はまだいません。このU-18やU-20での活動が充実していけば、無理にフル代表に呼ばなくても、若いうちから世界と戦う経験を積ませてあげることができる。年間でどれくらいできるかは未確定のところもありますが、継続した育成強化ができると考えています。

──代表チームとして選手育成を強化をすることで、具体的にはどんな効果が生まれることを期待していますか?

来週、キルギス遠征に向かうフル代表のメンバーのうち、16人中8人はU-20の代表を経験しています。育成年代のうちから世界と戦う経験を積んできた選手が増えれば増えるほど、そのぶん日本と世界との実力差を縮めることにつながってくるはず。それが一番の狙いとしてあります。

一方で、堤優太や南雲颯太は世代別代表の経験がありませんが、その悔しさをバネにして、より技術を磨いてフル代表に食い込んできてくれました。その2つの相乗効果が見込めるのかなと考えています。

──アンダーカテゴリーの選手育成にも定評がある高橋監督が、指導の上で心掛けていることなどはありますか?

特にトップカテゴリーだからとか、育成年代だからこうしようと言うのは考えていないですね。

キャラクターもどちらかというと後ろから支えていくようなタイプなので、どの選手ともそういった接し方で指導することを心がけています。

監督としてチームを導くとか、何かを決断するという役割は責任をもってやっていきますけど、上と下をはっきりさせるのではなく寄り添いながら。同じ仲間として、一緒に選手たちと成長していきたいです。

──最後に、合宿を終えた後のヨーロッパ遠征での目標を教えてください。

世界の強豪国と試合ができるのは、もちろん貴重な経験です。でも「経験するためだけ」に行くわけではない。この代表のエンブレムをつける以上、勝つためにやれることをすべてやるマインドをもってほしいという話をしました。

参加する他の代表チームに比べて始動したばかりで準備期間は短く、言い訳を探せばいくらでもあるとは思いますが、目標は強豪国に「勝つ」。それだけです。

▼ 関連リンク ▼

  • Fリーグ2024-2025 試合日程・結果/チケット情報/放送情報
  • Fリーグ2024-2025 最新移籍情報/加入・退団・引退
  • 【最新情報】FIFA フットサルワールドカップ|W杯|試合日程・結果・順位表|試合会場
  • 【最新情報】JFF 全国選抜フットサル大会|試合日程・結果・順位表|試合会場|日本フットサル連盟

▼ 関連記事 ▼