9月13日、高橋健介監督が就任してから初めての活動がスタートした。代表チームは13日のみ国内でトレーニングを行い、14日からキルギスへ移動。同国代表と2試合の国際親善試合を戦う。

新たに始動した“健介ジャパン”の注目株として外せないのが、Y.S.C.C.横浜の樋口岳志。

183cmと恵まれた体格を武器にＦリーグでも重宝されてきた“ピヴォ兼フィクソ”は、スペインでアラとしてのプレー経験を重ね、2年ぶりに日本に戻ってきた。

高橋監督はそんな樋口を、どのポジションもこなすことができる「UNIVERSAL（ウニベルサーレ）」として招集。

フットサル界では限られた超一流プレーヤーをこう表現していることもあり、メンバー発表時には大きな話題を呼んだ。

「与えられたことをしっかりやる」と、2年前の日本代表候補合宿と同じ言葉を口にする樋口だが、もちろん“器用貧乏”で終わるつもりはない。

長年代表チームが抱えてきた「体格差」でも、世界と引けを取らないポテンシャルをもつ万能プレーヤーは、日本の新たなヒーローとなり得るか。

キルギス遠征前の国内トレーニングを終えた樋口に、話を聞いた。

気負うものはないし、与えられたポジションをしっかりやる

──久しぶりの招集になりましたが、お気持ちを聞かせてください。

2年ぶりなので、また新鮮な気持ちです。

──スペイン挑戦を経てＦリーグに戻ってきて、また日本代表に戻ってきました。まず、海外でどういった力をつけられたと感じていますか？

やはりフィジカルの部分ですかね。そこが日本の課題だということは理解していて、海外に行ってその力がつけられたんじゃないかなと感じています。

その反面、小柄で速い選手が多い日本に戻ってきて、前よりもできなくなったなと感じる部分もあります。ただ、フィジカルに関しては負ける気はないです。

──そして今回は「ウニベルサーレ」という特殊なポジションを与えられましたが……。

びっくりしました。

でも2年前も話をしましたが、気負うものないし、与えられたポジションをしっかりやるということは変わらないです。

──もともとピヴォでフットサルを初めて、2年前の代表候補合宿はフィクソで招集されていました。そして現在、Y.S.C.C.横浜ではアラを務めていますが、アラのプレーはどこで習得したんでしょうか？

スペインでアラをやり始めました。もともとピヴォとフィクソ希望でスペインに行ったんですが、優秀なピヴォとフィクソの選手も多かったこともあって、人生で初めてアラをやることになりました。

海外で新しいポジションをやることになるとは思わなかったですけど、楽しかったですね。
なので、今回のウニベルサーレでの招集も驚きはしましたが、やれなくはないかなと思っています。

──樋口選手のプレーは、今まで日本の強みだったスピードや小柄な選手でも小回りが効くプレーとは、また違った迫力と面白さがあります。これまでとは違った特徴のある選手が招集されることは「新しい日本代表になっていくぞ」というメッセージとも捉えられるのかなと感じているのですが、ご本人としてはどうでしょう？

いろんなポジションができる選手も少ないし、どれも全部高次元でできればいいですけど、そんなに甘いものではありません。

各ポジションのスペシャリストがいるのが日本代表チームで、そこに入り込んでいくのはどのポジションでも高いレベルが要求されると思います。

それでも、先ほども話したとおりフィジカルで戦うところは負けたくない。

機敏な選手に対する守備のところでは、今日のトレーニングでも課題が出ました。フィジカルレベルは上がってはいるんですが、アラでのディフェンスの時にステップをするところのレベルは、もっと上げなきゃなと思っています。

──新体制一発目から招集され、今後も日本代表の中心のなっていくことへの思いや意気込みを聞かせてください。

僕は前体制で最初だけ呼ばれて、そのあとメンバーから外れる形になりました。でも、いちお客さんとして代表の活動を見ていたわけではないし、アジアカップに負けてしまったときもものすごく悔しかった。

だけど終わってしまったことは仕方がないので、新しいスタートになりますが、自分は与えられた仕事をやるだけです。