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作成日時:2024.10.09
更新日時:2024.10.10

【インタビュー】“諦め”を乗り越えて。中堅GKが6年間の葛藤の末に出した「北海道で勝つ」「日本代表に入りたい」という2つの答え(山本楓果/エスポラーダ北海道イルネーヴェ)

PHOTO BY伊藤千梅

開幕戦と第8節で勝利を挙げたものの、レギュラーシーズンで6連敗を喫していたエスポラーダ北海道イルネーヴェが、首位での上位リーグ進出を目指すバルドラール浦安ラス・ボニータスと第10節で対戦した。

この試合で目を引いたのが、北海道のGK・山本楓果だ。1試合を通して浦安が放ったシュートは42本にものぼった。しかし山本は失点を4に抑え、第2ピリオドでは女王相手に0失点。守備からリズムを作った北海道は2得点を返しており、結果は及ばずとも4カ月間で培った連係プレーを発揮した。

試合後、選手へ話を聞きに行く際、真っ先に頭に浮かんだのは山本の顔だった。それだけ浦安の猛攻に対してゴールを守り抜いた20分が印象的だった。

この日、好プレーを見せた山本は2018年に20歳で日本代表に選出されていた。しかし現在は代表チームから離れている。「代表を目指すことを諦めかけた」「移籍をするかを考えていた」と、さまざまな葛藤を抱えていたが、この6年間で2つの答えを導き出した。

「北海道で勝つ」「日本代表に入りたい」。

チームの結果を求めた先に、個人の結果を。両方を追い求めると決断し、迷いを捨てた山本が、ファイナルシーズンに挑む。

インタビュー・文=伊藤千梅



今もっている力は出せた

──女王・浦安との試合を振り返っていかがですか?

すごく楽しかったです。浦安は格上の相手なので自分たちに失うものはないですし、チャレンジャーの気持ちで挑んだ試合でした。

試合前に、守備の時間が長くなると思うから、ショートカウンターを狙っていこうという話はしていました。正直、練習の時は点を取るイメージが湧かなかったのですが、実際に練習した形で攻め込んで、そこから得られたフリーキックで得点することができました。

守備に関しては私のプレーが良かったというよりも、みんながゴール前で体を投げ出してシュートコースを限定してくれたから、私が止められたシーンが増えただけなので、みんなに感謝です。

──良い試合だったからこそ、悔しさもあるかと思います。

そうですね。第2ピリオドもチャンスが何回かあったのでいけるかなと思った部分もありました。

試合の入りで好きにやらせすぎてしまったことは反省点です。失点してもその流れを断ち切って得点できたことは良い部分ではありますが、第2ピリオドは0-0だったからこそ、最初から自分たちの流れをつくれたら良かったねという話は、試合後にみんなでしました。

悔しさはありますが、試合後のロッカールームでもみんな前向きでしたし、今もっている力を出せたと思うので、次につながる試合にできたと思います。

──レギュラーシーズン最後の試合はフウガドールすみだレディースとの対戦ですが、どんな気持ちで挑みますか?

下位リーグは決定してしまいましたが、勝って終わって次につなげようと思っています。誰も気持ちは落ちていなかったですし、明日に向けていい準備ができるかなと思います。

──去年のレギュラーシーズン最終節と同じカードで、すみだはリベンジを狙ってくると思います。

去年は1点差で勝つことができましたが、正直、内容としてどちらが勝ってもおかしくない試合でした。すみださんは今シーズン結果を残していますし、勢いがあるので、簡単に勝てるとは思っていません。ただ、だからといってこちらが臆する必要もないと思っています。今日の試合と同じように受け身にならずチャレンジャーの気持ちでいけば、絶対うまくいくと思います。私もしっかりとゴールを守りたいです。

※翌日行われたすみだvs北海道の試合は3-3の引き分けとなった。



北海道で結果を残して、代表に入りたい

──今シーズンは怪我からのスタートですか?

去年の冬に前十字靭帯を損傷してしまったので、今シーズンの最初の2試合は出られていません。ただ怪我の回復自体はすごく順調で、元々は8カ月くらいかかると言われていたところ、半年ほどで復帰できました。キーパーをやっていて筋力がある程度ついていたのが良かったみたいです。

ただ復帰後は、筋力が落ちて自分のパフォーマンスが落ちていることは感じていました。でも最近は少しずつ怪我前の状態に戻ってきて、今日の試合は自分でも出し切れたと思います。

──山本選手は2018年に日本代表にも選出されています。

そうですね。私が20歳だった時に選出されました。その後も数回候補合宿に呼ばれましたが、今は(須藤)優理亜と(井上)ねねさんが代表の中心選手です。2人は本当にレベルが高いので、そこに食い込むことは難しいと、一度は代表を目指すことを諦めかけた時もありました。それでもプレーしていると、どうしても代表に入りたいという気持ちが出てきます。中堅として私がそこに入れたらおもしろいし、日本のレベルも上がると思い、今は代表も見据えてプレーしています。

──須藤選手は7月にスペインに行かれましたが、山本選手は移籍を考えたことは?

移籍をするかどうかは、代表に入れなくなってからずっと考えていました。でも「北海道で勝ちたい」という思いが強かったので、移籍をせずにプレーしています。まだまだこのチームで頑張りたいですね。

今のチームは、私1人で戦っているわけではありません。試合後にも「よかったよ」「ナイス」と声をかけてくれます。味方が背中を押してくれるから、それに応えたいです。まずは北海道で結果を出して、その上で代表を目指していきたいと思います。

──北海道はどんなチームですか?

どこのチームよりも、動物園のようなチームかもしれません(笑)。個が強すぎるので、練習中は言い合いにもなります。でもプライベートでも集まるくらい仲がいい。まとまってなさそうで、意外とまとまっているおもしろいチームだと思います。

──言い合いとかもするんですね。

しますね。特に今シーズンは監督も変わって、チームとしてのやり方もガラッと変わりました。始めはなかなか馴染めなかった選手もいたのですが、みんなが意見を言い合いながら、支え合ってここまでやってきました。

──どんなところが変わりましたか?

去年までは、どちらかというと「相手に対してどう戦うか」という形だったので、自分たちのやり方はあまり固まっていませんでした。今シーズンから田辺陸監督に変わったことで、対戦相手の対策も頭の隅に入れつつ、自分たちのスタイルを作っていこうという形になりました。それがうまくハマって、今日のように相手の脅威になれたのは、これまでやってきたことの成果だと思います。

──確かに、北海道は試合を重ねるごとに強くなっている印象があります。

自分たちのスタイルを確立するなかで、最初は「どうやるんだろう?」という戸惑いもありましたし、ほぼ基礎練から始める感じでした。でも一人ひとりの技術も向上してきて、自分たちがやりたいことを体現できるまで技術レベルが上がってきています。だから、楽しいです。練習していても、試合をしていても、どんな結果であっても、みんな楽しいと言っていますし、それが一番かなと思います。

──ファイナルシーズンに向けての意気込みを教えてください。

強豪相手に2勝しないと、上位リーグに上がれないことはわかっていました。受け身で待っていても仕方がないと、全員が割り切ってプレーしていたと思います。なので、負けたけれど内容はすごく良かったし、相手も嫌がっていたので、こういった試合ができたことはこの先にもつながると思います。ここまで積み上げてきたものを、ファイナルシーズンでも発揮していきたいです。



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