更新日時:2024.11.08
【F1第13節|ミックス/横浜vs大分】もう一度世界へ。帰って来た守護神・矢澤大夢の再挑戦「限界が来るまで、やれるところまでやる」
PHOTO BY伊藤千梅
11月4日、町田市立総合体育館にてFリーグ2024-2025 ディビジョン1の第13節が行われ、Y.S.C.C.横浜とバサジィ大分が対戦。3-0で横浜が勝利した。
右膝前十字靱帯断裂により伊藤玄が戦線を離脱し、北野聖夜、高橋響の欠場と「本職フィクソ」を欠く、Y.S.C.C.横浜。
球際の強さがウリの小林拓夢は、前節の名古屋オーシャンズ戦でのアクシデントからベンチに復帰したが、守備に不安を抱える状況は変わらず。それでも、順位を競る大分相手に攻守ともに力強いパフォーマンスを発揮し、5試合ぶりの勝利をつかんだ。
満身創痍なチーム状況で、クリーンシートの立役者となったのは、GK・矢澤大夢だ。
昨シーズン大怪我に見舞われ、一度は頭をよぎった「現役引退」。それでも決意を固め、ピッチに帰って来た“横浜の守護神”に、話を聞いた。
さらにチーム状況は良くなっていくはず
──試合を振り返って。
毎試合そうなんですが、立ち上がりはかなりバタバタしてしまいました。そこで失点せずに踏ん張れたから、勝ちにつながったと思います。
──怪我人を複数人抱え、キャプテンの高橋響選手をはじめ本職のフィクソがいない状況でも、無失点で勝利しました。GKから守備について話をしたことは?
僕も今シーズンずっと出場しているわけではないですが、横浜は良くも悪くもメンタルに左右されるチームだと感じています。第1ピリオドの序盤で(失点して)点差が開いてしまうとそこからパフォーマンスが下がってしまうし、逆にロースコアで折り返すことができれば、みんなも乗り気になって第2ピリオドはすごく良くなることが多いです。なので今日は簡単に失点しないように、いつも以上に入念にスカウティングをして、僕からディフェンスの決め事や気をつけたほうがいい点を共有させてもらいました。今日の試合は最初の10分がキーポイントで、今、お話ししたチームの特徴が出たゲームになったと思います。
──スカウティングについては、普段からチームとは別に自己分析をしているんでしょうか?
チームとしてももちろんやっていますけど、自分でもやらないとモヤモヤしてしまって試合に集中できないので、相手のセットプレーの型をはじめ、全部頭に入れて臨むようにしています。
──稲葉洸太郎監督も、そこは尊重してくれている?
そうですね。もともと、昨シーズンから守備の部分は全部任せてもらっていたんですが、今シーズンは監督が代わったので最初は大人しくしていました。
でもここ数試合で負けが続き、チーム内でもミーティングを重ねていくなかで「GK目線でも意見がほしい」と(監督からも)言ってもらいました。今GKコーチも兼任しているので、最近はその立場から少しずつでしゃばっています(笑)。特に相手のGK攻撃に対しては、僕の「こう守りたい」という要望を尊重してくれますし、ここからさらにチーム状況は良くなっていくはずです。
代表を諦めたら、おそらくすぐ辞める
──昨シーズンは右膝の前十字靱帯損傷し、長期離脱を余儀なくされました。以前、同じ時期に怪我をした北野聖夜選手に「大夢と一緒に、引退について話をしていた」と話を聞きましたが、もう一度ピッチに戻ろう思った理由やきっかけはあるんでしょうか?
怪我をした当初は、ちょうどチームとの契約も切れるタイミングだったし、もう引退しようと思っていました。でも、クラブ側も僕を必要としてくれていたし、今後のセカンドキャリアのことを考えて辞めるか続けるかを天秤にかけた時に、続けるという選択が上回りました。まだ30歳ですしね。
どうするか悩んだ時期もありましたが、「もう少しやろう」という短期的な気持ちではなく、「限界が来るまで、やれるところまでやる」という意識に変わっています。
──リハビリ中、「もうピッチに立てないのでは」という怖さや焦りはなかったですか?
攻撃に参加した時のフィールドの動き、たとえば長いパスを蹴ったりシュートを打ったりする時は少し気にしますけど、GKの動きって実は前十字にそんなに負担がかからないんですよ。
同じ怪我をしたこともあったし、ちゃんとコンディションを戻せることもわかっていたので、聖夜と比べるとそこまで深刻には考えていなかったのかな、と。この世界にいると、毎年気持ちは変わるので断言はできないですけど……。もう一度代表に入れるように精進していきたいです。
──やはり、もう一度日本代表としてプレーしたいという気持ちは強い?
もちろんです。代表を諦めたら、おそらくすぐ辞めると思います。そこを諦めていないからこそ、もっとプレー向上させようというモチベーションにになっているので、現役でいるうちはずっと目指していきます。
崩れないように、どれだけ後ろで支えられるか
──若手も増え、監督も代わってクラブはいろんな変遷を辿っています。在籍年数も長くなって来た矢澤選手から見て、このチームのいいところは?
仲がいいことですかね。練習の強度を上げるためには、もっと要求し合って、時には意見をぶつけ合わないといけないとも思うし、一長一短ではありますが……。あとはクラブが掲げている理念や、このチームをもっと発展させようという社長の姿勢も、すごく共感できるポイントです。
──これからより強いチームになるために、どういったことが必要だと感じますか?
最初の話に戻ってしまいますが、立ち上がりでもっと集中して入るというところからですかね。若い選手も多いので、どうしても気持ちの波がすごく上下してしてしまうし、それを一定にできるのって経験を重ねるしかないかな、と僕は思っています。そこは今すぐに改善できる問題ではない分、ベテラン組が落ち着いて、沈んでいる選手に声をかけカバーをしながら悪い部分を耐えつつ、ゲームの流れをつかんで若手につなげてあげる。それが徹底できれば自ずと底上げにもなるし、どのチームを相手にしても勝てるチャンスはあると思います。
僕も最近になってわかってきましたが、フットサルって本当に流れが大事なスポーツなんですよ。なので、そこが崩れないように、どれだけ後ろで支えられるかですね。
底辺でパスミスをして点を入れられてしまうような、どうしようもない失点をしてしまうと、そこですごくチーム全体のメンタルも落ちてしまうので、できるだけ止めるし、ミスが起きないように声をかけ続ける。そこはものすごく意識しています。そういったミスがどんどん減っていけば、このチームはもっともっと強くなると思います。
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