更新日時:2024.12.02
【F1第17節|記者会見/浦安vs大阪】選手の決断を尊重する指揮官が、唯一譲らなかった勝負所。大阪・高橋優介監督「コーナーキックからの得点は今節の大きなテーマだった」
PHOTO BY伊藤千梅
【Fリーグ】バルドラール浦安 3-4 シュライカー大阪(11月30日/バルドラール浦安アリーナ)
11月30日、バルドラール浦安アリーナにてFリーグ2024-2025 ディビジョン1の第17節が行われ、バルドラール浦安とシュライカー大阪が対戦。大阪が4-3で勝利し、6連勝を含む10試合負けなしの首位・浦安から、残り15秒のゴールで勝ち点3をもぎ取った。
今シーズン、大阪に招へいされた高橋優介監督は、これまで名古屋オーシャンズの育成組織やFリーグ選抜、アグレミーナ浜松の監督を歴任し、選手育成に定評のある指導者の一人だ。
「いつも選手に選択肢をもてるように、促している」
選手たちに“考えさせる”フットサルを展開する指揮官は、大阪にどんな変革をもたらし、また今節に向けてどんな準備を整えて臨んだのか。
試合を終え、高橋優介監督が記者会見に出席した。
不安定な状態でゲームをこなしている印象
●高橋優介監督|シュライカー大阪
──試合を振り返って。
今日はとにかく積極的に「やり合うゲームをしよう」という話をしてゲームに入りましたが、立ち上がりが悪く、 2、3分嫌な時間が続きました。そこから落ち着きを取り戻して自分たちが試合を動かせる状態にはなったものの、相手のイゴールの存在が大きく、攻守両面で苦戦しました。特にGK攻撃についてはしっかり対策をして臨みましたが、あまりうまくいかず苦しい第1ピリオドになりました。第2ピリオドについては、ハーフタイムに「もう少し積極的に前に出よう」と共有し、修正することができたのかなと思います。
──首位の浦安相手に勝利できたことについては、どう捉えていますか?
守備は細かいところで良くない部分がありましたし、今日だけではなく、不安定な状態でゲームをこなしている印象がまだあります。このチームの監督に就任してしばらく経ちましたが、「戦う」という意識が思っていたよりも薄れる時があると感じます。
戦術については論理立てていろいろ落とし込むことはしますけど、それを超えるものとして「戦う」意識は必要ですし、「みんなそれはわかっているよね?」とゲームの前に話をしていました。
ただ、それでも1試合ずっとできているかと言われたらそうではありません。逆にやりすぎて不安定な部分を生んでいることも、今日のゲームに関してはあったと思います。ただ勝利できたことだけ考えれば、いい方向に転がったと感じています。
──その「不安定さ」ということを含め、就任1年目で感じている大阪の印象やここまでの戦いへの手応えを教えてください。
プレーの質に関しては、若い選手も含め全員がいいものをもっていると思います。ただ、フィジカルが不足していますね。1試合をとおして、強度を保ったままいいプレーを続けることには、まだまだ難しさがあります。そうした課題に対して、昨シーズンは戦い方を選んでいるところがあったのではないかな、と。ただ今シーズンからはその壁を取り払いたいという狙いがあり、少しずつバリエーションが出てきたと思っています。
結果だけ言えば、もちろん満足はしていません。いくら新しいチャレンジをしていても、もう少し勝たなければいけないですし、勝てたはずの試合もいくつか思い浮かびます。特にリーグ前半戦はセットプレーの得点が少なかったので、そこは開幕から力を出せていたらよかったなと感じています。
「こうやってくれ」は限られた場面しかない
──清水寛治選手に話を聞いた時に、「高橋監督は、フットサルやフットボールの原理原則を落とし込んでくれている」という話をしていました。具体的には、どういった話を選手に伝えていますか?
正直、僕が伝えている原理原則をうまく理解できていない選手もいるかもしれません。簡単に言えば、攻撃は「得点を奪うためにプレーをする」ことであり、守備は「ボールを奪うためにプレーする」ことです。特に守備は「ゴールを守る」という考え方ではありません。
攻撃は、3-1でも4-0でもどちらでもよくて、ゴールにつながればそれでいい。ただし、大阪にはいいピヴォがいますから、自ずと3-1をベースにしたほうがいいという判断になります。
チームとして「こうやろう」というベースはありつつも、選手が自分で決められる範囲が広い。ですから、それができない選手は苦しいでしょうし、選手が別々の選択をしすぎると崩壊してしまいます。それでも、うまくまとまれば、コンセプトはありつつも捉えどころのないチームとして、相手もやりづらいと思います。
今日の試合で言えば、浦安のプレッシングに対して、2人組でパスを出しながらサイドレーンを使って突破していく目標がありました。そこで選手たちに「ワンツーじゃなきゃダメ」という話はしません。運んでから一拍、相手を待って飛び出したり、パラレラをしたり、その選択肢をもてるように促しています。
少し変な例えですが、サッカーで言えば、バルセロナではなくレアル・マドリードですね。レアル・マドリードは、選手が入れ替わったらやることが変わりますよね。僕が名古屋で指導者を始めた時に、個々に能力があり、クオリティの高い選手たちへの指導をずっと見てきたからこそ、そういう傾向があるのかなと思っています。
──選手が判断する領域が広いということですよね。
選手からすると「もう(監督が)決めてくれよ!」という意見もあるはずです。でも僕はあまり決めたくはない。僕が「こうやってくれ」というのは、本当に限られた場面しかないかもしれません。
例えば、今日の(加藤)翼のコーナーキックからの得点は、「今日の試合のどこかで入れてくれ」と伝えました。それは自分の狙いとして、明確にお願いした部分ですね。
浦安はコーナーキックからほとんど失点していないので、その攻略が今節の大きなテーマでした。だからこそ、あのゴールは相手に相当なダメージを与えることができたと思います。
と言いつつ、次にやることを説明していたら失点したので、なかなかうまくいかないなと思いました(笑)。
──レギュラーシーズンも終盤に向かっていきますが、今後の戦い方の狙いはありますか?
そろそろ結果を残さないと上位リーグに進出できなくなってしまうので、もう少しだけ選択肢を限定して、こちらが介入する度合いを強めようと思っています。でも、選手たちと一緒にトレーニングして、日々成長を見られるのは楽しいですし、自分のフィロソフィーも大事にしながら、勝利をつかんでいければと思います。
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