──つまり、リトアニアに対する知識もないままリトアニアに向かったということですね。

なかったですね。ラトビアに関してはギリギリ知っていました。エストニアには和久井（秀俊）さんがいました。でもリトアニアは何も知らなくて、それこそバスケの国だってことも知りませんでした。あとから調べると杉原千畝さんという方がいらっしゃったようで、「東洋のシンドラー」と言われる外交官の方です。それもあとから知りました。

僕は国旗の色がダサいなとかそんなことばかり思っていましたから。アフリカのような。せっかくスリランカから出て来たので、ヨーロッパっぽい色がいいのになとかどうでも良いことを考えていましたね（笑）。

──リトアニア2部のレベルはいかがでしたか。

関東リーグくらいですかね。海外に行きたい選手の相談に乗る際に言うのですが、例えば1部だからって他の国と1部と同じわけはなくて、リトアニアの2部だから他の国の2部と同じではないです。ドイツもブンデスリーガから下は6部など様々なカテゴリーがあります。それで言う、3部の下から6部の強さのグラデーションがリトアニアの2部に凝縮されているイメージです。

──リトアニアの中でもかなり力の差があると言うことですか？

そうですね。また、上のチームの試合だとお客さんも入るのですが、下のチームだと入りません。スタジアムも立派なものから芝がボコボコのような場所もあります。なので、点差が大差となる試合も結構あります。

──所属されていたFKタウラス・タウラゲは2部で何位でしたか。

18チーム中16位くらいです。そして先ほど適当に契約書にサインしたと言ったんですが、あの契約内容が家とビザと勝利給と出場給の待遇についてでした。出場給は昼飯代くらいの金額だったので、何よりもやっぱり勝たなければいけません。リトアニアの平均月収は8万円くらいで、物価は安いです。その中で1試合勝つと大体で2万円くらいもらえます。1週間に1試合あって4試合勝てば人並みの生活ができるんですが、全然勝てません（笑）。それは僕だけでなくチームメイト全員がそうで、イタリア人、セネガル人も（同じ契約）です。

その中で、ブックメーカーのようなものもあって、「行くな」とは言われているんですが、行ってコパ・アメリカとかに賭けて「ドグラス・コスタやったー」とか言いながら小銭稼いで飯代にするようなことをしていましたね。途中はギャンブルしていました（笑）。

──丸山さんのポジションはどこだったのですか。

僕は監督に言われた通りにやる選手で、右サイドバック、右サイドハーフ、右ウィング、センタフォワードやってトップ下やって、左サイドハーフ、左サイドバック。守備するときはフォワードとして使ってもらって、攻めたい時はサイドバックで使われるような感じでした。シーズンで監督も2回ほど代わりましたしね。なので、ボランチとセンターバック以外は全てやりました。