更新日時:2025.04.24
【独占インタビュー】「問題だらけだった」主将・吉川智貴が明かした“絶対王者”名古屋V逸の真実
PHOTO BY伊藤千梅、本田好伸
去る2024-2025シーズン。シュライカー大阪から覇権を奪還して以来続いていた名古屋オーシャンズのF1連覇が、7で途絶えた。監督交代、それに伴うスタイルの変化、外国籍選手の不発……。要因として挙げられそうな要素はいくつもあるが、長くこのクラブをけん引してきたキャプテン・吉川智貴は、「原因はそこではない」と断言する。辛くも王座を守った前シーズンから始まっていた、V逸の予兆。「このままではまずい」とわかっていながら、止められなかった流れ──。
なぜ、名古屋の連覇は潰えたのだろうか。絶対王者のプライドを背負い続けてきた主将の言葉から、その真相を探る。
新監督の戦術が悪かったわけではない
──Fリーグ・F1の2024-2025シーズン、名古屋オーシャンズとしては実に8季ぶりに優勝を逃す結果となりました。2月14日に小牧で行われた第26節対バルドラール浦安戦が事実上の優勝決定戦でしたが、試合終了の瞬間はどんな思いでしたか?
正直に言うと、やっぱりこうなったかと……。やっぱり無理だったんだなという。その瞬間は悔しさどうこうよりも、なるべくしてなったなという気持ちでした。悔しさというのは、そのずっと前の段階で過ぎ去っていたな、というのが本音です。
──“やっぱり”という言葉がとても重く響きます。それまでの過程に、吉川選手自身が問題を感じていたということでしょうか?
そうですね、はい……。問題だらけだったなと。
──問題だらけだった?
もしかしたら少し言い過ぎかもしれないですが、そう思うくらいのチーム状態でした。正直、優勝できる状態ではなかったなと思います。
──フエンテス前監督が退任し、イマノル新監督が就任しました。吉川選手にとってはかつてスペインのマグナ・グルペア(現ショタFS=スペイン1部)で2シーズンを共にした間柄でしたよね。(今シーズンの名古屋が)どうなっていく未来を描いていましたか?
ええと……。ちょっと難しい質問かもしれないですが。良い方向に行くのだろうなとは思っていました。ただ、当然ながら監督交代はチームにとってマイナスに出る場合もあります。選手たちが適応に苦労する可能性もありますし、難しい部分もある。でも、最終的には良くなるんだろうなと思っていたのと、そういう願望がありました。
──イマノル監督は22年間ショタ一筋で監督を務めていた、いわゆる“ワンクラブマン”でした。その方が初めて他のクラブ、しかも海外のクラブを率いるということで、適応するのは大変だろうなというのは吉川選手としても感じていましたか?
正直それは感じていました。スペインの1部リーグでそれだけ長く監督を続けるのはすごいことですし、誰しもができることではないので、特別な経歴だと思います。しかしこれが実際、違う環境になった時には、今までやってきた通りに全てがいくわけではないのだろうなという気持ちもありました。
──スペイン時代、イマノル監督のもとでプレーしていた時はどのような印象を持っていましたか?
ショタはスペインのなかで特別お金があるクラブではありません。スーパーな外国人を集められるわけではないので、若い選手が中心で、外国人選手もやはり若いブラジル人などを連れてきて、自分たちで育てていくようなクラブでした。そういった環境面も含めて、決して恵まれているチームではなかったと思います。それでも、毎年プレーオフに行ったり、コパ・デ・エスパーニャ(スペイン1部でシーズンの折り返し地点の上位チームが出場)に出たり、上位8チームに常に入れるようなチームではあったので、中堅クラブのなかでも戦えるチームを作っていたなという印象です。
──リーグのなかでの立ち位置も、名古屋オーシャンズとは異なるチームということですよね。新しい環境であることに加え、チームとしてはチャレンジャーで育成型のチームから、“絶対王者”であり優勝を義務付けられたチームにやってきた。やはりその難しさはあったのでしょうか?
そうですね。それは本人もわかっていて、「自分はこれまで常に勝たなきゃいけないチームにいたわけではない」ということは言っていました。
──イマノル監督からしたら、吉川智貴がいるというのは大きな心の支えだったのではないかと思います。キャプテンにも就任されたなかで、2人の間ではどのようにコミュニケーションを取っていましたか?
もうたくさん喋りました。たくさんどころじゃないですね。毎日常に喋っていましたし、どういうコミュニケーションかと言われたら、すべてのコミュニケーションを取ったなというぐらい取りました。そんななかで、もちろんぶつかることや意見の食い違いもありました。喧嘩ではないですけど、互いの意見を伝えるなかで言い合いになることもありました。まあ、それぐらいコミュニケーションを取った、ということです。
──イマノル監督の就任に伴いプレーモデルが変化したことで、名古屋自体がチームとして少し変わったように見えました。そこの変化はチームにとってプラスになったのかあるいはマイナスになったのか、どのように感じていますか?
そこに関しては僕自身、決してマイナスではなかったと思っています。ただ感覚的には、名古屋が今までやってきたやり方はすべて無くなり、新しい名古屋になったという感じでした。
それが良いのか悪いのかは、監督が代わったタイミングでは判断がつかないことですし、悪いという感覚は必ずしもなかったです。ただ、「このまま続けていてもしっかり結果が出るのだろうか?」という不安感も少しありました。
──もともとあったチームの土台の上に新しいものを積み上げていくのではなく、土台そのものを無くしてしまった感じですか?
そうですね。1回全部ぶち壊したという感じです。本当にすべてが変わりました。
──すべてが変わったというのは、例えばどういう部分が変わりましたか?
まずディフェンスのやり方もそうですし、キックイン、コーナーキックのディフェンスのやり方、あとは攻撃のやり方などです。わかりやすい部分としては、ピヴォを置くシーンが少なくなりましたね。(清水)和也がいる時はピヴォを置くやり方もしましたが、それでも和也は(ボールを受けに)落ちてくることも多いです。
今までの名古屋は、前線に1人絶対的なピヴォが構えていて、そこにどれだけボールを当てられるかでしたが、それではなくなって。4枚でしっかりボールをつないでゴールを目指そうというフットサルに変わりました。
──いわゆるクアトロと言われる戦術がメインになりましたよね。今の名古屋のメンバーを見ると、吉川選手を初め、決して適応できないメンバーではなかったと思います。
そうですね。むしろ日本人には合っているとも思いますし、みんなしっかり走れて、頑張る能力はあるので、今いるメンバーに合ってはいました。
――合ってはいるけど、結果が出るとは限らないと。
はい。ただ、優勝を逃したとはいえ、そのやり方が悪かったというわけではないと思います。4-0(クアトロ)が悪いから負けたという風には全然思っていません。そこは違うのかなと。
戦い方が変わったことで、シーズンの最初の方はたしかに苦労しましたし、そこで失った勝ち点もありました。だけどそこはある程度想定内だったと思うので。それくらい大きく変わったので、仕方ないかなという部分もありつつ、チームとして戦術的なものも浸透していったなかで、(リーグ終盤の)勝負所で勝ち切れなかったことは決して僕は戦術が原因だとは思っていません。やってきたフットサルのすべてが悪いとは思わないです。
“たまたま”優勝できてしまった前シーズン
──もう一つ、今年の名古屋を見ていて気になったのが、新しく加入したブラジル人選手たちのクオリティです。ブラジル人が試合を決めた場面は、これまでに在籍していたペピータ(元ブラジル代表。2017-2022在籍)やアルトゥール(日本代表。2020-2023在籍)に比べて少なかったように思います。
それはその通りだとは思います。今までの名古屋は、最終的には外国人がなんとかして試合を決めてきたところはたしかにありました。今年はそうではなかったし、監督も多分そこまでそれを求めていなかったというのもあります。このメンバーでできる最善を尽くそうとしていたのかなと思います。
──外国人頼みと言われるのは、日本人選手として嫌なところはありませんでしたか?
もちろん、それはずっとありました。だけど、実際に彼らは結果を出していたので、そこはもう折り合いをつけるしかなかったですね。だからこそ、自分は違うところで仕事をしてきたつもりです。
──結果を出すという部分において外国人選手たちはもちろん頼りになるし、実際それでリーグを連覇し続けてきました。外国人頼みの名古屋から日本人選手に合ったプレーモデルを構築して勝っていくチームへと、生まれ変わろうとしていたのでしょうか?
それもあるんじゃないのかなと思いますけどね。それもあると思いますけど……どうですかね。
──どちらがチームにとっていい状態だったのでしょうか。これまでのようにスーパーな外国人選手を軸に戦うのか、どんな選手でも良さを出せるような戦い方をしながら勝っていくのかという。理想としては後者かなとは思いますが。
もちろん理想は後者ですし、決してそれができないわけではなかったと思います。全員がしっかり戦えていれば優勝できたと思っています。
今まではスーパーな外国人がたくさんいましたが、実際それを支えていたのは日本人選手でした。外国人はたしかにゴールという結果を生んでいたかもしれませんが、決してそれだけで勝ってきたわけではありません。そこを支える日本人選手がいたからこそ、チームとして成り立っていて、そして勝ってきた。そのチームの基礎となる部分が、昨シーズンからは失われてしまっていました。
──リーグ最終戦後に、GKの篠田龍馬選手にお話を聞きました。そこでは名古屋オーシャンズに相応しくない選手がいたというニュアンスの発言もありました。それに関してシーズン中も、ずっと吉川選手と篠田選手の間で話をしてきたけど、チームを変えるには至らなかったと。その内容は今回のインタビューでも、核心に触れるところになると思いますがいかがでしょうか?
それはもう、その通りだと思います。日本人、外国人関係なく、もう全員の選手が確実に足りなかったです。極端な言い方をすれば、名古屋に相応しくない選手もいたと思いますし、それは事実だと思います。誰がとかではなく、全員の問題だったと思いますね。
──名古屋オーシャンズにふさわしくない選手というのは、具体的にどういうことでしょうか。ピッチ上でのパフォーマンスなのか、ピッチ外の姿勢なのか。
すべてですね。ピッチ内に関しては、結果が出る時もあれば出ない時もあって、それはみんなそうだと思うんです。いいプレーができる時もあれば、悪いプレーをしてしまう時もある。どんなに素晴らしい選手であっても、永遠にいいプレーをし続けることは不可能です。その時々によって、試合のなかでうまくプレーできていない選手がいたとしても、他の選手が支えてあげるのがチームであり、それが当たり前のことです。
ピッチ内の部分や試合での戦い方だけではなく、ピッチ外も含めて日々の取り組みから足りていなかった部分はかなりあるんじゃないのかなと思います。
──サテライトから昇格してきた選手は別として、名古屋は他クラブで実績を残して移籍してくる選手がほとんどで、日本代表選手もいます。その選手たちが戦う上で、自覚が足りなかったとか、練習への姿勢が良くなかったみたいなことが実際に起こりうるのかなという疑問があります。
練習への取り組みが悪いとかはないです。みんなめっちゃ練習してますし、一人ひとり100%でトレーニングしてはいると思います。“だけど”、というところですね。
──例えば試合に出られないとか、あまり使ってもらえない時に、ネガティブな感情が出てしまっていたのを見たことはありますか?
いや、そういうのはありませんでしたし、だから逆にそこはみんなすごいなって思います。僕が若い頃、そんなことはできなかったなというような振る舞いをする選手もいたので、そこは正直ほんとにすごいなと。
──チームは監督を中心に構築されていくと思います。ズバリ聞くと、チームがうまくいかなくなることの大きな要因として、監督の求心力なのかなという1つの推測はあります。
監督云々というのも、もちろん数ある要因の一つとして考えられるとは思います。ただ、それだけが明らかに大きかったかというと、決してそうではなかったはずです。冷静に考えて、起こっていたことは1つ前のシーズン(2023-2024シーズン)、つまり監督が代わる前と全く同じだったと僕は思っていて。昨シーズンはたまたま優勝という結果が出た。だけど、内容的にはすでに今シーズンと同じ部分も多く出始めていたわけなんです。
去年は、開幕から6連勝して、シュライカー大阪に1つ負けて、その後はほぼ連勝が無かったですからね。1つ勝って引き分けて、2連勝したと思ったらまた2つ引き分けてとかで、今年と何ら変わらない。
自分は去年からそういうチームの状態に気づいていて。去年に関しては、そこのアプローチを全部が全部したわけではないですが、足りないものは伝えて、最終的にたまたま優勝できてしまった。本当に、僕の感覚としては「優勝できちゃった」なんですよね。たまたまうまくいった、みたいな。優勝するべくしてしたのかと言えば、去年もそうではなかったと思っています。
──優勝できなかったのは今シーズンだったけれども、問題自体は昨シーズンから発生していたと。もしかしたら、このインタビューが1年早く行われていてもおかしくなかった。
そうですね。だからどこかで痛い思いをしなきゃいけなかったのかなとは思います。本来なら去年、シーズン途中から苦しんで、それでも何とか優勝できたその時点で、自分たちに何が足りないのかを肝に銘じて、今年チームとして変わらなければいけなかったんです。結局それができずに、また振り出しに戻ってしまった。そしてリーグタイトルを逃す結果につながってしまいました。
どれだけ時代が変わろうと、変えてはいけない基準がある
──結局最後は名古屋が勝つのがこれまでのFリーグでした。それがここ2シーズンは、その名古屋の地力が徐々に下がってきているなとは感じていて、他クラブも「今の名古屋なら勝てるんじゃないか」という雰囲気で向かってくるようになりましたよね。
そうですね。もうその通りだと思います。
──原因はどういった部分にあったのでしょうか?
「今まで名古屋で当たり前だったことが、当たり前ではなくなった」という、それがすべてなのかなと。これは言い出したらキリがないですが、「当たり前にやることの基準がその程度じゃ、はっきり言って低いよ」と。もうそこですね。とにかくそこに尽きます。
そのなかで、自分や篠田といったベテランがその「当たり前の基準」を引き上げなければいけなかった。それができなかったのは完全に僕の責任でもありますし、篠田の責任でもありますし、ベテラン勢全員の責任でもあります。もっといろんなアプローチをしていかなきゃいけなかったのだろうと思います。「自分たちが思っている100%は100%じゃないよ」っていうところですね。繰り返しになりますが、とにかくそこです。
──今までFリーグが開幕してからずっと名古屋が名古屋であり続けてきたものが、なぜ失われてしまったのか。それは個人のこの選手がいなくなったからとか、例えば練習場が変わったからとかではないということですね。
全く関係無いですね。環境の要因なんて絶対にないです。今なんてめちゃくちゃいい環境ですよ。文句一つ言う権利もないくらい、本当に素晴らしい環境です。それだけ最高の環境を用意してもらっているからこそ、僕たち選手はもっとやらなきゃいけいけないはずです。環境(が原因)ってのは絶対に言っちゃダメですね。そんなのはありえないです。さすがにいないとは思いますが、仮にそれを言っている選手がいたとしたら、はっきり言って論外ですね。
──となると、これまで代々伝承してきた名古屋オーシャンズというクラブの伝統や空気感を継承するのが難しくなってきたと。
はい、もうそういうことです。これは時代の流れもあると思います。自分が若かった時とも違いますし、どんどん環境が変わっていて。フットサルの世界だけでなくて、社会全体で見てもそうじゃないですか。それが今の世の流れなので仕方ないと思いますし、そこに対して不満があるわけでもなく、僕たちも順応していかなきゃいけないことだと思います。合わせていくことも重要です。
決して若い選手がダメと言っているのではなくて、中堅とかも僕らが中堅だった頃とはちょっとずつ変わってくるじゃないですか。世代が少しズレるだけで、ちょっとずつ変わっていくので、それが10歳離れたら、今の時代はいろんな物事に対する感覚が相当変わっているのだと思います。
例えば20歳と30歳の選手がいたとして、僕たちが若い頃の10歳差のギャップと、現代の10歳差のギャップは、もう比べ物にならないくらい広がっていると感じています。だからこそ、いろいろ伝え続けていくのが難しくなってきているのだろうなと。それに対する自分自身の折り合いのつけ方も、間違えたなと思っています。
──伝えるべき場面では、もっと強く言っても良かったという後悔もあるのでしょうか?
自分にとって当たり前ではないことも受け入れることで、逆に見逃してきたところが多すぎたなというのがあります。だからこそ、自分に腹立たしいですし、伝えきれなかった僕の責任も大きいと感じているんです。
このスポーツの世界において、どれだけ時代が変わろうと不変の、当たり前の部分。ブレてはいけない部分はやはりあるんだなというのがよくわかりました。いろんな意見があると思いますし、別に僕の意見が正しいとも思わないですけど、自分のなかでの答えはそこです。
当たり前の感覚が違いすぎて、言い方は悪いかもしれないですけど、僕自身がチーム全体に求める当たり前の水準を下げすぎたなと思っています。
──以前の名古屋は、例えばたった1敗しただけでも、試合後のロッカールームはタイトルを逃したかのような重たい空気になっていたと聞きます。それがいつしか、「こういうこともあるよな」という雰囲気になってしまっていたのでしょうか。
はい。そうですね。ただ、みんな頭ではわかっているはずで、現に体現できている試合もあったんです。例えば、年末に行われたホーム浦安戦(第20節。12月29日に開催され、名古屋が2-0で勝利)。あの試合で、チームはめちゃくちゃ変わったと思うんです。僕は「今日のような重要な試合でこの戦いができるなら、最終的に優勝できるチームになるかもしれない」「いや、むしろこれを続けていければ絶対に逆転優勝できる」という感覚すら覚えていました。それはチームのみんなにも話しましたし、これを続けていかなきゃいけないとも伝えました。
──その後年明け最初の試合では北九州に6-0と完勝。続く第22節の大阪戦でも勝利を収めて、いい流れでファイナルシーズン上位リーグに入っていきました。北九州ラウンドの初戦は町田に7-3で勝利。ただ、2戦目のしながわ戦で3-3と引き分けました。
あのしながわ戦で、すべてを放棄してしまったんです。「やっぱりそうか」「結局ここに戻ってきてしまうのか」と。浦安戦で見せた戦い方を続けていけば必ず勝てるのに、やっぱりそこに戻っちゃうんだなという。そこで僕は初めて、「いよいよ今年はけっこうな確率で連覇は厳しい」と感じました。もちろん、最後まで諦めずにプレーしましたけど、優勝を逃す可能性の方が高いなと感じてしまった試合です。
本来であれば、あのしながわ戦はチームとして一つ上に行けるはずの試合でした。僕たちの一つ前の試合で浦安が湘南に負けて、すべての条件が揃いました。前日に僕らは町田相手に苦しみましたが、パワープレーも使いながら最終的には点差をつけて、強い時の名古屋の戦い方で勝つことができていました。
それだけ条件が揃って、「逆転優勝に向けてさあここでもう一つ!行くしかないだろう!」というところで、上に行けない。逆に下がってしまう。原因はいろいろあると思いますが、あの結果こそが、今季のチームの実力だったんだと思います。
──しかし、その後の岸和田ラウンドで浦安が町田に敗れ、名古屋は湘南に競り勝ちました。再度逆転優勝の芽が出てきたなかで迎えたのが、冒頭でもうかがった第26節の浦安戦でしたね。
はい。またチャンスが巡ってきたにも関わらず、浦安戦でまたしてもああいう試合をしてしまった。あの大事な一戦で、序盤に0-3のビハインドを負うなんてあり得ないですから。
はっきり言ってそんなものは名古屋オーシャンズではないですし、しながわ戦にしても浦安戦にしても、大事なところで全部落としているわけで、それが今季の僕たちの実力だったということです。変えなければならないことを、最後まで変えられなかった。言い訳のしようもない、当然の結果だったのだと思います。
強い名古屋オーシャンズを、必ず取り戻す
──吉川選手にとって2024-2025シーズンは、日本代表のAFCフットサルアジアカップ(兼ワールドカップ予選)敗退もあり、Fリーグの結果も含めて、個人としても思い描いた結果ではなかったのかなと思います。私はアジアカップも現地で取材させてもらっていますが、いろいろな面で責任を感じているのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?
自分はキャプテンとして2つとも失っていますし、それは紛れもなく自分の責任だと思います。そこに対しては何の言い訳もないです。これが結果なので、そうですね……。なかなかうまく言葉が出てきません。
──ただ、吉川智貴というフットサル選手がこのまま終わってしまうということは、吉川選手ご自身が絶対に許せないんじゃないかなとも思います。
もちろんそうですね。仮に引退するシーズンが来たとしても、やはり最後は勝って終わりたいです。というよりも、このチームでずっとお世話になっていますから、“勝って終わらせなければいけない”という、責任を果たさなければならない気持ちの方が強いです。
──個人としての勝ちたい気持ち。それと同時に、名古屋オーシャンズが常勝クラブであり続けること。その2つに対する思いが吉川選手のなかに強くあるのだということを、改めて感じました。
はっきり言って、このチームは勝ってなんぼなので。勝つこと以外に意味はないんです。もちろん、来てくださるお客さんやサポーター、いろんな方にいいフットサルを見せたいという気持ちもあります。でも、いいフットサルを見せるのは、勝つことの次だと思っています。自分はこれまでそう思いながらこのクラブでプレーしてきましたし、このクラブは勝ってこそ存在意義があると思っているので。もう一度、勝てるチームにならなければいけない。
本当に難しい戦いになると思いますが、今季の反省を踏まえてどう行動していこうかというのは、自分のなかでも決めているので。とにかく優勝を目指して、やれることは全部やる。強い名古屋オーシャンズを、必ず取り戻す。その覚悟を持って、新シーズンに向かいたいと思います。
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