【ネクスト・ヒーローはオレだ!】試合を決められる選手に──。苦労人・伊藤圭汰が歩み始めたサクセスストーリー
PHOTO BY軍記ひろし
試合を決められる選手に
──レベルアップという話がありましたが、そういう思いがあったからこそベトナムに武者修行へ行かれたんですか?
そうですね。それこそ言葉も何もわからない状況でした。英語に関しても自分はそんなに話せないですし、チームメートに1人だけ英語を話せる選手がいたんですが、コミュニケーションも曖昧でした。ボードやジェスチャーで伝えるんですが、お互いに伝えたいことの全てを理解しきれていません。その中で助っ人としてプレーする。そういう責任感がありましたし、僕にとって良い経験でした。
──そういう経験は、行ってみないとできないですからね。
本当に行ってよかったと思っています。本当は、最初は迷っていたんです。外国籍選手という立場を考えて、自分が助っ人として活躍できるのか。言葉もわからない中でフットサルをできるのか。いろいろな葛藤がありましたが、海外に行ってみたい気持ちもありました。欧州などの強豪の国ではないですが、それでも海外でプレーするという経験をしてみたかったので、行く決断しました。
──そうした経験を積んだ中で、町田に残ってプレーするのではなく今季から創設されたFリーグ選抜でのプレーを選択しました。今季は残り2試合になりましたが、ここまで振り返るといかがですか?
最初はバラバラで、正直に言って勝てないんじゃないかと思いながらプレーしていました。でも浜松に勝てたことで自信になって「僕たちもやれるんだ」とみんなで感じて。そのあとは町田に勝ちましたし、名古屋にも引き分けました。発足した当時は本当に不安でしたが、みんな「上に行きたい」という思いは強いです。それがある選手が集まっていますし、何よりも環境が良いです。フットサルに集中できているので、成長できたと思います。
──伊藤選手自身は代表経験があり、海外経験もありますが、Fリーグ選抜に入る前はFリーグの試合で4試合しかプレーしていませんでしたよね。
去年は特別指定という形でトップチームとして4試合に出場しました。一応、Fリーグは経験しましたが、長い時間プレーしていたわけではないですし、ポイントで起用されていました。なので、経験がほぼない状況でFリーグ選抜に入りましたね。
──その中で、今季は主力としてプレーして手応えを感じている部分はどこですか?
スピード感の部分です。それはみんなですが、スピードに慣れていなくてボールを離してしまう場面があります。その部分に慣れが出てくると持ち味、周りを活かすプレーが出せるようになりました。なので、Fリーグのスピードに慣れることが大事ですね。地域リーグや関東リーグとは全く違うスピード感で、このスピードを感じてプレーすることが大事ですね。
──伊藤選手自身も最初は戸惑いがありましたか?
多少ですね。町田のトレーニングは強度も高く、スピード感もありました。そういう意味で、慣れてはいましたが試合は別でした。スピードの部分で感じていることはあります。
──より自分のことをアピールしなければいけない立場であるFリーグ選抜のなかで、伊藤選手自身は自分のストロングポイントを出せていますか?
最近は少しずつ周りを活かしながら、自分でいけるときは行くことができているように思います。でも第1クールで5点取っていながら、第3クールは点が取れていません。周りのことを考えている余裕もないですし、自分で行く部分をもっと増やさないと上ではやれないのかなと思っています。
──代表を目指して行く上でもゴールという結果を残し続けないといけませんね。
周りを活かしつつも、自分を出す。そういうプレーを目指していますが、まだまだ足りないです。特に自分で行く部分や点に絡む部分は足りないです。
やはり試合を決められる選手にならないと代表には呼ばれません。良いプレーをしているだけではダメで、結果を出せる選手が上に残ると思っています。そこは意識していやっています。
──とはいえ、代表のカテゴリーも順調にステップアップして、いまはフル代表にも選出されるようになりました。フル代表でプレーはいかがですか?
本当に楽しいですよ。スピード感がFリーグよりもさらに上のレベルですし、その中でプレーを見て、判断して、早く決断する。そういう部分で楽しさはありますし、自分はまだまだだなと感じています。いろいろなことを考えながらプレーしていますし、楽しみながらもっと多くのことを伸ばしていかなければいけません。
──今回のタイ遠征では何か爪痕を残したいですね。
僕はU-19の時にタイランド5に参加して、フル代表の出場歴があります。ただ、本当のフル代表のメンバーとして行くのは初めてです。それこそ結果を求めて、貪欲に。負けて良い試合はないので、勝って、そこでゴールを決められるように頑張りたいです。
──ちなみに、今のポジションはフィクソですが、以前からフィクソでしたか?
今はフィクソとしてプレーしていますが、町田の時はフィクソでプレーすることは考えていなくてアラで勝負しようと思っていました。しかし選抜に入ってからフィクソは2人いましたが、3セットで回すときに僕のセットにはフィクソがいませんでした。そこからプレーするようになって、今はなんでもできるフィクソを目指しています。
──アラからフィクソにポジションを変えるのは見え方も違いますし難しさがあるのでは?
ありますよ。フィクソは周りをもっと見なければいけないポジションです。ただ、見え方の部分で言えば全く違いますが、アラをやっていたからこそわかることもあるので。周りがスムーズに攻撃できるようにと意識しています。また、日本を見てもフィクソが足りません。なんでもできるフィクソを目指しています。
──なんでもできるフィクソとのことですが、具体的に目標としている選手はいますか?
Fリーグだと(立川・府中アスレティックFCの皆本)晃さんです。最近は意識してプレーしています。晃さんはピヴォも抑えますし、行く時は行ってアシストして得点も決める。そういう攻撃も守備もできて、結果を出せる選手になりたいです。試合を決められる選手になりたいと思っています。
──インタビューをしていてすごく真面目な受け答えをしてくれているのですが、伊藤選手は普段からおとなしく真面目な性格ですか?
おとなしい…。冷静とも違いますし、ただ試合中は結構(感情が)入ってしまいます。普段の自分を自分の口で言うのも難しいですが、仲良くなればふざけたりするような感じです。
──今は同じ世代の選手たちと一緒に生活していますが楽しいですか?
楽しいですね。でも嫌になるときもありますよ(笑)。一緒にい過ぎますからね。朝から夜まで一緒で、家に帰ってもいますから。正直に1人の時間が欲しくなることもあります。けど、本当にフットサルに集中できる環境は日本では数少ない中で、ここにいられることは素晴らしいことだと思っています。
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