更新日時:2026.01.23
【日本代表】引退を控えた吉川智貴が貫く“自分らしさ”の真髄。アジア王座奪還へ、揺るがない覚悟「勝つために行動するだけ」

PHOTO BY伊藤千梅
フットサル日本代表は、1月27日から2月7日にかけてインドネシアのジャカルタで行われるAFCフットサルアジアカップインドネシア2026に臨む。
1月15日から18日は国内で活動した後、インドネシア入りして調整を継続。前回大会の予選敗退の雪辱および、2大会ぶりのアジア王座奪還に向け、健介ジャパンは準備に万全を期している。
今シーズン限りでの現役引退を表明している吉川智貴は、昨年10月に行われた国際親善試合のブラジル代表戦で日本代表復帰を果たすと、2大会ぶりのアジア制覇を目指すアジアカップのメンバーにも選出された。
周囲に“引退の花道”と想起されるような選出は、高橋健介監督はこれを否定。あくまで、現代表チームに不可欠な選手として“アジア最高の選手”と呼ばれた吉川を抜擢した。その意味を理解する彼自身もまた、「勝ちたい」「取り返したい」と、2年前のグループステージ敗退の雪辱戦となる今大会に向け、闘志を再燃させている。
引退発表後も「気持ちは変わらない」と、覚悟と責任を背負う勝負師は、その心境を語った。
取材=本田好伸
編集=柴山秀之
断って逃げるのも自分らしくない

──率直に、アジアカップのメンバーに選ばれた今はどんな心境ですか?
正直、“何を”ということは表せません。選ばれたことへのうれしさや、光栄に感じる気持ちはもちろんありますけど、ここに来る決断を下すことは簡単ではありませんでした。ただしそれは、ブラジル戦の時に呼ばれた時に思っていたことですし、その時から気持ちに変化はありません。
──高橋健介監督もブラジル戦での招集について「記念で呼んだわけではない」と話していました。このアジアカップを見据えたチームづくりを考えるなかでの決断だったわけですよね。
そうですね。呼ばれるにあたってはそういう話をされていますし、(メンバー入りが)決定ではないけれど、このアジアカップを目指すメンバーの枠に入っているいうことで呼ばれました。
逆に記念的な感じだったら、自分も行っていなかったと思います。その時はブラジル戦に集中していましたけど、アジアカップに向けてということも頭の中には入っていたので、その時から気持ちは変わっていないと言えるのかもしれないですね。
──引退発表後の代表復帰は、メンタルをもう一度つくり直す必要もあったのでは?
まったく考えていなかったところもあるので、そういうお話をもらった時には、自分の思っている気持ちをすべて健介さんに話しました。おっしゃるように、気持ちの部分からつくり直す必要はありました。もう1回、スイッチを入れるというか。
──引退の決断は、コンディションよりもむしろ気持ちの部分が大きかったと話していました。そこから今、アジアカップに臨むという心境はどういったものでしょうか。
正直、どうなんですかね。名古屋でも、負けられない状況は一緒だと思っています。引退するからといって、すべてにおいて責任がなくなるわけではなく、最後まで責任を負ってやらなきゃいけない。そういう仕事だと思うので、「名古屋だから」とか「代表だから」という分け方はしていません。最後まで、自分らしくやりきることにフォーカスしている感じです。
──引退を決めて、むしろ最後までやりきるという気持ちが強くなったとも?
いや、“よりそうなった”のかはわからないですが、本当に変わっていなくて。
正直、引退を決める前には、決断したらもっと楽になったり、いろいろな思いが出てきたりするのかなとも思っていましたけど、全然何も出てこないですし、何も変わらない。名古屋も負けられないし、この代表でも負けられない。「変わらない」ばっかり言ってしまうので、しょうもないインタビューになっちゃうかもしれないですけど(笑)。
──いえ、率直な心境をお話しいただきありがとうございます。ただもう一つだけ聞きたいのですが、最後のタイミングでさらに重いものを背負うことについてはどう感じていますか?
それも考えました。辞退すると言ったら変ですけど、やらないことによって、名古屋に集中できるのかもしれないですし、さまざまな捉え方があるとは思っています。
それでも「何が一番自分らしいかな」と考えました。与えられたものにはしっかりと返さなきゃいけない、それ以上のことをやらなきゃいけないと、今までもずっと思ってきました。そういう意味では、最後に代表のお話をもらったので、断って逃げるようなことをするのも嫌だなって。それは自分らしくないだろうなという思いがあったからこその決断でした。
自分が最後だからは関係ない

──2年前、連覇どころかワールドカップの出場権も逃してしまった舞台に戻ってきたという意味では、次に進めるチャンスを得られたという、その巡り合わせについてはどうですか?
本当にありがたいですよね。誰しもがこういうチャンスを与えられるわけではないので、感謝しかありません。だからこそ、「勝ちたい」「取り返したい」と、強く思っています。
──吉川選手自身、この舞台で「最後は絶対に勝つ」と気負うような感覚は?
気負いは正直、あまりなくて。代表チームはあるべきところに行かなきゃいけないと思っているので、「自分が最後だから」ということはまったくありません。代表がもう一度、いるべきところに戻るということだけを考えています。
「最後だから」ということはけっこう聞かれるんですけど、自分でも最後というのがあんまりわかっていないんですよね。最後だとわかっているんですけど、その感覚がない。
──あまり意識していない。
もしかしたら、余裕がないのかもしれません。勝つことに頭が向いている感じですね。
──なるほど。では、月並みですけど、最後に意気込みをお聞かせください。
もう、チームが優勝することだけだと思います。目標は「優勝」と言っていますけど、それは決して簡単なことではないと思いますし、アジアのレベルも上がっています。
2年前はグループリーグ敗退という結果なので、難しいとは思いますが、「やらなきゃいけない」「勝たなきゃいけない」と思っています。1試合、1試合、目の前の試合で勝ち点3を取っていくことに集中するだけですし、そのために自分ができることをすべてやろうと思っています。
それが何なのかと言われたら、もう全部だと思っています。「何を」というのは難しいですが、気づいたことは言わなきゃいけないですし、勝つために行動するだけですね。
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