更新日時:2026.08.17
【バーモントカップ優勝インタビュー】フットサル日本一に輝いた指揮官が語る、フットボール選手の育成年代で一番大事なこと「僕たちの目的は日本一になることじゃない」(若山聖祐監督/FCトリアネーロ町田)

PHOTO BY本田好伸
8月9日から11日の3日間、東京都・駒沢オリンピック公園総合運動場でJFA バーモントカップ 第36回全日本U-12フットサル選手権大会が行われた。栄冠を手にしたのは東京都代表・FCトリアネーロ町田。11日の決勝では神奈川県代表・FCポルタとの死闘を6-5で制して、前年の準優勝の雪辱を果たし悲願の初優勝に輝いた。
大会を通して無類の強さを誇ったトリアネーロは、どの試合でも終始、自陣からボールをつなぎ、フィールドプレーヤーが各々の個性と技術を生かしながらゴールに迫るスタイルを貫いた。いわゆる“フットサル的”なスタイルで頂点にたどり着いたその哲学とは何か。試合後、万感の表情を見せる若山聖祐監督に話を聞いた。
取材・文=本田好伸
怖さから逃げずにトライすること

──優勝おめでとうございます!今のお気持ちはいかがですか?
もう、最高としか言いようがないんですけど、この学年はなかなか結果がついてこなかったので、この子たちが結果を出したことは本当にその頑張りを称えたいですし、クラブとしても非常に大きいですね。
──昨年準優勝の悔しさもあったと思います。その想いを受け継いで頂点にたどり着いたことも大きいですね。
昨年はスタンドから先輩たちが決勝で敗れた姿を見ていたので、彼らも悔しい思いをずっともっていました。自分たちが絶対に成し遂げてやろうという気持ちで決勝戦を戦ってくれたと思います。最後までリードされる展開が続きましたが、あきらめずに戦えたのは、やはり思いの強さが体を動かしていたのかなと思います。
──大会を通して強さを見せてきた選手たちの戦いぶりをどのように見ていましたか?
正直、大会前は不安な気持ちもありました。グループリーグ初戦は、岩手県代表のヴェルディSS岩手U-12さんに勝てましたが、内容はよくありませんでした。それでも、大会を通して彼らがものすごい成長を遂げました。
ラウンド16で茨城県代表の鹿島アントラーズジュニアさんに4-3で勝ちきり、最後まで粘り強く戦えたことはキーポイントだったと思います。それがあったからこそ、準決勝でも愛知県代表のブリンカールFCさんに勝つことができて決勝に進めました。子どもたちは本当にすごくて、一つの大会だけでとてつもなく成長してくれたと思います。

──準決勝と決勝では、終盤に出場した田島伊織選手がラッキーボーイでした。準決勝では決勝点を決め、決勝でもピッチに立った最初のプレーで最後のゴールの起点となりました。
彼はずっとフットサルのスタイルに苦しんでいましたが、それでも下を向かず、腐らずにやってくれました。その頑張りを見ていて、彼のことを信頼していますし、どこかで起用したいと決めていました。ブリンカール戦でも結果を残してくれて、そうした期待感もあって、勝負をかける時に田島を入れることは考えていました。
13番の菅野(真之介)もピヴォで出して、彼には彼の良さがあり、田島には田島の良さがあります。タイプが異なるので、相手もその対応で混乱するかなと考えて、彼らを使い分けながらどこで勝負をかけるかを狙っていました。
──田島選手のキープからの反転がハマりましたね。
そうですね。
──それと、風貌や立ち姿がまるで元日本代表の森本貴幸さんのような(笑)。
そうなんですよ。なので「トリアネーロの森本」と呼んでいます。本人は「誰?」みたいな感じですが(笑)。

──菅野選手は5年生ながらものすごい活躍でした。体はまだ小さいですが、フィジカル的にも強く、技術の高さを含めて将来が楽しみな選手の一人ですね。
サイズはまだ大きくはないですけど、母親も大きいですから、これから伸びるはずです。それに、自分よりも大きな6年生を相手にしても非常に体の使い方がうまいですし、彼の天性のものだと思います。

──フットサル大会に出場する意義をどう捉えていますか?チームのスタイルを見ても、フットボールの原理原則を踏まえてフットサルに適応し、サッカーにも生きるような相互関係を意識されているように感じました。
まさにその通りです。選手はフットサル選手になっても、サッカー選手になってもいいと思いますし、フットボールがうまくなることが一番大事なことです。フットサルは、フットボールがうまくなるための一つの手段だと思います。
もちろん、こうして日本一になれたらうれしいですけど、僕たちの目的はそこではありません。サッカーがうまくなることやジュニア年代で子どもたちが成長すること。ただし、結果的に優勝できなければ、うまさが足りない、技術が足りない、判断能力が足りないということだと思うので、日本一になることにこだわるのではなく、うまくなることにフォーカスすることが大前提にあるチームです。その上で結果が出ればいいなと考えて取り組んでいます。
──結果が出たことで選手たちも大きな自信をもってこの先へと進んでいけると思います。大会を戦い抜いた選手たちにどんな声をかけたいですか?
試合中のハーフタイムにも話していたのですが、「これは人生の一部だよ」と。「キミたちの人生はこれからも続いていくから、この大会でうまくなろう。だから、逃げずに強気でプレーしよう」と。
ボールをつなぐのは怖いことかもしれません。相手に引っ掛けてしまえば失点につながるかもしれない。でもまた点を取ればいいわけですから、そこは逃げずに、臆せずにやろうと。将来につながるような試合ができたと思います。
──選手たちは底辺からつないで、本当に勇気あるプレーをしていました。
そうですね。かなり怖がって、失敗して失点もしましたけど、僕はそれでもいいと思っています。あそこで「怖い」という感覚をもつことも必要ですし、その怖さから逃げることなく、目を背けずにトライすることが大事。それこそが選手が成長していく秘訣なんじゃないかと思います。















