更新日時:2019.03.09
【全日本選手権準々決勝/すみだ×大阪】難敵・大阪に食らいつくも延長で散る。「選手権特有のフウガらしさを出せましたが……」(すみだ 栗本博生)
PHOTO BY軍記ひろし
3月8日、JFA 第24回全日本フットサル選手権大会準々決勝が駒沢オリンピック公園総合運動場 屋内球技場で行われ、フウガドールすみだはシュライカー大阪に2-4で敗れた。
すみだは4分、セットプレーから左サイドの栗本博生が強烈なシュートを決めて先制に成功したものの、10分に失点すると、18分には逆転を許して試合を折り返した。
しかし後半、前半とは異なるセット構成で戦いながらペースを呼び込むと、26分に丹羽脩人が同点弾。その後も攻勢を強めたすみだは、34分に相手が5ファウルとなってさらなるチャンスを迎えたが好機を生かせず。試合は2-2のまま、前後半5分ずつの延長戦へと突入した。
延長に入ってもペースを落とさないすみだは、今シーズン限りの退団が決まっているボラのシュートがクロスバーをたたくなど惜しいシーンを見せたがゴールを奪えず。逆に延長後半、残り3分を切ったところで勝ち越されると、すみだは岡村康平をゴレイロに代えてパワープレーを開始。しかし、チャンスを作ったものの同点に追いつくことができず、終了間際には相手ゴレイロにパワープレー返しを決められ万事休す。
試合は2-4で終了し、すみだはシーズン最後の公式戦で2大会ぶりのファイナリストになることはできなかった。
以下、キャプテンとして戦った栗本博生の試合後ミックス取材コメント。
薄れてきたフウガ・イズムを取り戻していきたい
栗本博生(フウガドールすみだ)
──今日がシーズン最後の試合となってしまいました。
シーズンを通してもそうですし、ここ何年かで大阪にビハインドから追いつくことができていなかったので、2-2までは選手権特有のフウガらしさも出せていました。ですがその後、相手が(34分に)5ファウルたまってから延長も含めた残り15分でチャンスを作り切れなかったことが、結果的に痛かったかなと思います。
──相手もファウルを考えながらパワープレーをしてきましたが、ファウルをもらう狙いもあった?
ファウルを取りにいこうというか、攻め気でいって、そのなかでファウルをもらえたらという感じでした。もちろんそのなかでピヴォを前に張らせることもありましたが、明らかに狙うということではありませんでした。
──選手権でフウガらしさというか、今大会に懸ける思いはすみだの方が強いように感じた立ち上がりでした。栗本博生選手が先制点を決めてさらに盛り上がっていけるかなと思ったのですが。
ボラがチームを離れるということで、クラブの歴史を見ても、彼は初めての海外の選手でした。クラブの新たな一歩を刻んでくれましたし、みんなと仲の良い選手なので、そういうことも含めて気持ちは入っていました。ただ大阪には淡々と点を取られていたイメージがあるので、先制できてもうまくゲームを運べなかった印象がありました。
──逆転されても、丹羽脩人選手が同点弾を決めるなど、普段からあまり決めていたわけではない選手が決めるあたりも勢いづく理由になったのかなと。
フウガらしさの一つに「ベンチ力」があると思うのですが、たとえメンバー外になっても、前半で試合に出られなくても常に準備をしようというのは須賀(雄大)監督も言っていますし、選手一人ひとりが感じています。そのなかで丹羽は前半はあまり出番がなかったのですが、フウガらしく前半から準備していたからこそああいう結果につながったのかなと思います。なのでベンチはかなり盛り上がっていましたね。
──後半に入って、それまで出場がなかった選手が出るなど、前半とはセットの組み方が変わりました。
もともと、今大会に向けて、諸江(剣語)が(ケガで)難しいかもしれない、ガリンシャもどこまでやれるかということもありましたから、いろんなセットを試していました。なので試合中に、監督から「(交代は)誰と誰」って言われても、ある程度はその狙いをみんなが感じていました。細かい指示はありましたが、大枠として攻めにいくんだなとか、守るんだなといったことはわかりました。
──諸江選手のコンディションが難しいなかでキャプテンを任されましたが、栗本選手自身はどんな決意で今大会に臨んでいたのでしょうか?
僕は、諸江さんみたいに存在感があるわけではないですし、言葉でみんなを引っ張っていくタイプでもないので、普段どおりというか、みんなに助けてもらいながら。僕が何かをするというよりかは、みんなで諸江さんの穴を埋めようという気持ちでいました。その分、僕に負担があったということもないですし、一人ひとりの意識があってピッチで躍動できていたのかなと思います。
──栗本選手から見て、諸江選手はどんなキャプテンですか?
背中で語るタイプです。言葉で言うよりかは、常に行動やプレーで示してくれる選手。Fリーグの他のキャプテンより、どっしりと構えている印象があります。
──栗本選手がすみだでプレーを始めた頃は、金川武司テンションコーチが現役で、キャプテンでしたよね。
そうですね。そのときに入って、次のキャプテンが諸江さんでした。昨シーズンは、諸江さんが不在のときに清水和也が巻くことはありましたけど。
──金川さんはどんなキャプテンでした?
「言葉」ですね。言葉でどんどんチームを引っ張っていくし、盛り上げていく。もちろんプレーの献身性もあって、常に体を張っているというところもありましたが、タイプとしてはどっしりと構えてとかではなく、いっぱいしゃべって、いろんな人とコミュニケーションを図っていく。それで献身的なプレーも見せて、「こんな感じでやるんだぞ」と示してくれるような「これぞキャプテン」みたいな感じでした。
──そんな対照的な2人を見てきて、栗本選手はどんなキャプテン像をイメージしていますか?
そうですね……僕は本当に2人の真似はできないと思っています。なかなか難しいですけど、僕は後輩からもいじられますし、先輩からもいじられますし。逆に言えば、みんなが寄ってきやすいという意味では、プレー以外で、オフなどでもなるべくいろんなコミュニケーションを取って、僕がどうこうするというよりかは、みんなが一つになれるように裏で舵を取れたらいいなと思います。
──ピッチ内でもピッチ外でもみんなをつなぐような役割がありますね。
そうかもしれないですね。年齢的にも中堅ということもあるので、必然的にそこは求められているかなと。それに僕のキャラクター的にもそういう側面があるのかなと思います。
──次のキャプテンと決まっているわけではないと思いますが、監督からの期待もあってのキャプテンだと思います。まだ終わったばかりですが、今後どんな意識でプレーして、どんなチームにしたいと思いますか?
今、チームがかなり若返っていて、今シーズンに関しては、練習が午前中になったり、自分たちでボールを蹴れる時間が長くなっているのですが、限られた時間でやっていた一昨年と比べて、練習中の競争力などが薄れてきていることも少し感じています。そういったところを、言うというか、僕が練習から強度を高めて、雰囲気を盛り上げていけたらと思います。そういう部分がリーグの順位に少なからず影響しているという気もしているので。
──それがいわゆる、先輩たちから受け継いできた「フウガ・イズム」ですよね。
やっぱり、フウガといえば、練習の強度、切り替え、メリハリ。僕が入ったときの印象もそれでした。今この環境になって、少し薄くなっていると思うので、そこを取り戻していきたいと思います。
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