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2020.01.11

「最終戦は仲間に託す」。チーム消滅、F2降格……2度の悲劇に見舞われた藤山翔太が抱く、東北魂。

PHOTO BY軍記ひろし

「7年間を過ごした愛着のあるチーム。東北出身の自分にとって、仙台は第2の故郷」

ヴォスクオーレ仙台の藤山翔太は、人一倍、東北への愛情を持つ男。来シーズンのF2降格が決まっているなかで、駒沢セントラル初日の湘南ベルマーレ戦は、“最後の2試合”の1試合目だった。しかし藤山は、2試合目には出られない。2枚の警告で退場。最終節を前に、彼の戦いは幕を閉じてしまった。

ステラミーゴの悲劇が再び……

2019年11月。フットサル界に大きな衝撃が走った。

「ヴォスクオーレ仙台の来季2部降格が決定」

Fリーグは「2020/2021シーズンFリーグクラブライセンス審査の結果、ヴォスクオーレ仙台にディビジョン2ライセンスを付与し、2020/2021シーズンディビジョン2への降格を決定しました」と発表。その後、地元メディアなどでは「財務の問題」と報じていた。

この発表の前に、クラブの坂本理社長から話を聞いていた選手たちは、当然「ショックでした」(藤山)と気持ちを落とした。しかし、「これで選手がモチベーションをなくしてしまうのは違う。逆にバネにしようと切り替えました」と、チームが一丸となれる要因になっていったという。

事実、降格発表後の仙台は第3クールで白星を積み重ね、第31節終了時点で勝ち点32の9位。クラブ史上最高順位となる8位まで、勝ち点2ポイントまでと迫っている状況だった。

「来シーズンはF2に落ちてしまいますけど、僕たちには力があるんだと。みんなの記憶に残る、『ヴォスクオーレ仙台は強かった』と言われるような印象的な試合をしよう、と。そして、セントラルで2連勝してクラブ史上最高の8位で終ろう、と話していました」

F1では最後の試合となる、駒沢セントラルの目標は定まった。

迎えた湘南戦は押し込まれる場面が続くが、それぞれが魂の込もったプレーを見せて、ロースコアで前半を終える。清水誠監督も「このままでは終われない」と、後半の巻き返しを誓って選手を送り出した。

すると後半、藤山のゴールで1点差に詰め寄るなど、仙台が反撃を開始した。ところが、アクシンデントが起きてしまう。30分、藤山は相手のドリブル突破を阻止して2枚目の警告を受けて、まさかの退場。1人少なくなったチームは数的不利の状況で失点し、1-3で敗戦を喫してしまった。

「イエローをもらっているなかで使い続けた自分の責任。選手は一生懸命やってくれた」

清水監督は試合後、そう話して藤山をかばったが、反撃ムードのなかであのシーンがターニングポイントだったことは間違いない。しかも藤山は、この退場処分により12日のエスポラーダ北海道戦は出場停止。F1で最後となる試合を、ピッチで終えることはできなくなってしまった。

試合後、藤山はロッカールームで目を真っ赤に腫らしながら仲間を迎え入れたという。岩手県出身。藤山が「ヴォスクオーレ仙台」への特別な感情を抱くことには、理由がある。

19歳だった2011年当時、藤山はステラミーゴいわて花巻でFリーグデビューを果たした。しかしそのシーズン、チームは経営状態の悪化により、リーグから退会。チームを去った藤山は翌1年間、静岡のチームでプレー。その後、2013年に仙台(当時は準会員リーグ)に加入し、2014年に再デビューを飾った。

「もう一度、この舞台に戻ってくることができたときは、感慨深くて。自分たちの力だけではなく、周りの支えがあったからこそ成し遂げられたものでした。あのときの喜びは、今でも覚えています」

そんな藤山は、「当時は24歳で、日本代表に選ばれたいという想い強くて、もっと成長することを考えて移籍を決めました」と、2018/2019シーズンにデウソン神戸へと移籍。「でも、神戸を離れるときはまた仙台に戻る。学んだものを仙台に還元したい。そう思っていました」と、1シーズンで仙台に復帰した。

自分が生まれ育った、愛する東北のチームで2回の悲劇に遭ってしまった。「辛いし、本当に悔しい」。だからこそ、最後の戦いで結果を残して、恩返しをしたかった。そんななかでの、退場だった。

「悔いが残るプレーでしたね」

そう振り返る藤山は、その後も後悔の言葉を続ける。ステラミーゴ、ヴォスクオーレで、ともに辛い想いを共有した清水監督の力になれなかったこと。その悔しい気持ちを抑えることはできなかった。

「選手時代からマコさんにお世話になってきて、ヴォスクオーレに監督として戻ってきてくれたことがすごくうれしかったんです。そんなマコさんのために頑張りたい、勝ちたい、このチームをなんとかしたい。そういう気持ちを持っていましたが……。明日、出られないのは本当に申し訳ない」

悔しさに打ちひしがれながら、それでも藤山は前を向き、想いを仲間に託す。

「この悔しさをバネにして、プラスにしていきたいです。試合は仲間たちに託して、僕はケアや洗濯など、チームのためにやれることをやります。選手たちには『東北のチームのエンブレムを背負ってプレーしているので、東北魂を見せてほしい』と伝えます」

明日のピッチで藤山の姿を見ることはできない。しかし、彼の想いを受け止めた仲間たちがきっと、“共に闘う”姿を見せてくれるだろう。2014年に始まった仙台のF1での“第1章”は、残念ながら12日に幕を閉じる。「東北魂」を胸に闘う彼らの勇姿を、しっかりと見届けてほしい。

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