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2021.10.27

【退任会見全文】ブルーノ・ガルシア監督ラストメッセージ。「誇らしさと感謝に尽きる」

PHOTO BYFIFA/Getty Images

日本サッカー協会(JFA)は25日、フットサル日本代表・ブルーノ・ガルシア監督の退任を発表した。報道陣に向けてオンラインで行われた記者会見に登場したブルーノ監督は、2016年10月の就任から、今年9月のFIFAフットサルワールドカップまで、日本を指揮した5年間の思いと感謝を語った。その全文を公開する。

5年間を要約するなら、誇らしさと感謝に尽きる

みなさんコンニチハ。

この5年間を私自身で要約するなら、「誇らしさ」と「感謝」に尽きます。

誇らしさは、2016年のW杯出場を逃したところから、再びその舞台に戻ってきて、列強であるスペイン、ブラジル、パラグアイと競り、力比べでがっつりと対抗できるゲームができたことを誇らしく感じています。

もう一つはレガシー。取り組みで残せたことも誇らしいです。代表のゲームモデルと、チースピリット。当初から、ナショナルチームのアイデンティを織り込みながらチームをつくってきました。それをもとに、Fリーグ各クラブのGM、監督、指導者と手を携え、取り組めたことはレガシーだと思っています。

私がサポートできたことがあったとしたら、それも誇らしいことです。指導者養成に関わるスタッフと一緒に、知恵を働かせながら、選手育成や養成にも携われました。この先、日本代表監督を日本人が率いるためにも、そこへ近づけるものであったと思います。

そして非常に大きな誇らしさを感じるのは、日本代表チームを筆頭に、年齢のバランスを保って強化できたことです。選手層の健全化を狙って取り組んできました。当初はバランスが良くなかった構造が健全化し、若手、中堅、ベテランがそろったことも、誇りに思っています。

感謝としては、まずは日本サッカー協会の職員のみなさま全員、この取り組みを陰ながら支えてくれた方々、直接関わっていなくてもサポートしてくださったみなさま、直接活動してきた仲間に、感謝を申し上げます。

Fリーグのスタッフ、クラブのGMのみなさま、クラブのみなさま、5年間のプロジェクトに大きな賛意をもって後押しし、協働してくださり、ありがとうございました。メディアのみなさま、この2年は(コロナ禍の)苦しい状況でも変わらずにサポートしてくださり、常に大きな力をくださいました。ありがとうございました。他部門という仕事の枠組みですが、指導者養成に関わったみなさま、審判活動に携わったみなさま、感謝を申し上げます。

そして最大のエネルギーをくださった、サポーター、ファンのみなさま。そこへ向けてプレーすることがすべてだという思いで取り組んできているなか、W杯でも、距離は慣れていても大きな力をくださっていることをひしひしと感じていました。2年間ゲームができない状況でも、常にエネルギーを送ってくださっていたことも感じていました。リトアニアでも感じていました。感謝を申し上げます。ありがとうございました。

最後に選手、スタッフのみなさま。

選手は、ともに大会や国際試合を戦ったメンバーだけではなく、これまでの道のりで強化に力をくれたすべての選手に感謝を申し上げます。今も、この先も、代表チームに入って公式試合を戦うことを目標に取り組んでいくことと思いますが、必ずそこへの努力は、なにかしらの形で実を結ぶと思います。引き続き頑張ってほしいです。

スタッフのみなさま、直接、一緒にチームを支え、動かしてきた仲間は、一人残らず、最大の貢献を添えてくれました。心から感謝を申し上げます。

そして本当の最後に、忘れてはいけない感謝があります。

日本のみなさまに、心から感謝を申し上げます。日本代表監督のブルーノ・ガルシアだけではなく、私個人と家族、人としての生活を日本でしている間に、多くの助けと、教えと、支えをいただきました。日本に滞在する間、心地良く、快適に過ごせたことはみなさまのおかげです。本当に、本当にありがとうございました。

※以下、質疑応答

ブルーノ監督から日本への「宿題」

──W杯での素晴らしい戦いをありがとうございました。あらためてお聞きしますが、W杯はやり切ったのか、それとも、もっとできたという思いがあるのか。1カ月が経った今の心境をお聞かせください。

以前にお話しした感覚が、さらに強まったという感情です。大会後も、多方から、いろんなメッセージをいただき続けました。ポジティブなフィードバックが多かった。終わった直後は、その印象が内側にありましたが、この1カ月で新たな声をいただき、それを聞くにつれて、いかに列強に対抗できるようになったか、力をつけるようになったかを冷静に見ることができたので、大会後にお話しした心象が強まりました。

──世界的に見ても、非常に優れたスタッフ陣と仕事を重ねてきたのではないかと思います。先ほど感謝の言葉もありましたが、隣にいる通訳の小森さんを含め、プロフェッショナルなメンバーとの日々はどのようなものでしたか?

私が監督をするときには、リーダーシップのスタイルとして、チームワークを最大限にするにことを主旨にしてきました。細かいところでは、試合を戦う上でゲームプランを描き、そこに向けて対策し、どんなことを選手に落とし込むかを、それぞれのスタッフが役割をもって担い、つくっていくことを継続した時間でした。

コミットメントのレベルも高いですが、役割の質を向上してもらえるように仕向け、コーチングすることにも取り組み、徐々に、それぞれが自立してきました。私は「エンパワーメント」をキーワードに取り組み、最後にあのようなチームワークができました。スタッフは、非常に大きな貢献心をもって取り組んでいただきました。

──大会を経て、選手の口からも海外に出ていく必要性が聞こえてきます。これからのFリーグに期待することは?

そうしたコメントには同意します。スペインやブラジルは、それぞれ選手が世界最高レベルのリーグでプレーし、日常から切磋琢磨しています。対して日本代表は、日常の国内リーグは、世界の競争環境ということでは、まだトップオブトップにはいたっていません。私としては、引き続きFリーグの競争環境が高まること、そして海外クラブで活躍する選手が出てくることを期待しています。そのためには戦略的に計画を立てて取りむべきだと思っています。

──ブルーノ監督は振る舞いも紳士的で、こうして引き受けてくださったことが誇らしいと感じています。日本代表の課題。この先どうすべきか。監督からの宿題と言いますか、どういうことを目指していくべきでしょうか。

ありがとうございます。宿題ということですが、今回のW杯で、道、進むべき方向性は定まったと思っています。その上で取り組むべきことは、指導者について。指導者が自己研鑽していくだけではなく、選手と同じように海外に進出していくこと。海外の競争環境のなかで采配できるところに出ていくことも考えていくべきかと思います。

また、選手もそうですが、若い年代から、国内の競争環境に身を置き、なるべく若いうちに世界の競争環境を求めていくことが必要ではないかと思います。

もう一つは、協会、リーグに関わるみなさまへの宿題になると思います。選手の環境がプロになること。「プロ」は多くの背景をもつ表現であることは認識していますが、選手が自分たちの時間を100%フットサルに向けられる環境をつくっていくこと。列強の国内リーグはそれができているので、そこに追いつけ追い越せを考えないといけません。直接、代表チームで活動してきたスタッフのみんなは、正しい取り組みをし、研鑽の道を進んでいますから、帯を緩めず、気を引き締めてトライ&エラーをどんどん進めていく。それを「宿題」と表現したいです。

残念な気持ちよりも、誇らしい気持ちでの退任

──日本代表監督は、ブルーノ監督のキャリアにおいてどのようなものになりましたか?

これから先の生涯、心に刻みつけていくべき時間だったと思います。ご縁があり、日本という国でみなさんと仕事をしてくことになったとき、直感的に、素晴らしい仕事ができると感じましたし、実際に歩みを始めてからも、その感覚をたしかめる時間でした。最近の2年間は難しいところもありました。しかしそれは、私たちだけではなく、世界的な難しさがありました。そのなかでも、個人としても、私の家族にとっても、すごく心に刻みつけるべき、これから先、人っとしても、指導者としても成長する上で重要なポイントになる5年間を過ごせたと思います。

──どのような思い出がよみがえってきますか?

2016年の着任は、年の暮れに近いタイミングでしたから、2018年2月のアジア選手権へ向けたチームビルディングは十分な時間をかけられていない状況でしたが、限られた時間で積み上げ、当初の目標としていた表彰台に返り咲き、決勝戦を戦えたことは思い出に残っています。

もう一つは、2017年のアジアインドアゲームズ。その大会は、年齢を超えたフル代表ではなく、平均年齢が約23際以下で構成して臨みました。戦略的にも、世代間の強化のギャップを狙った施策の一つです。最終的に銅メダルを獲得しましたが、準決勝はいいゲームをしてPKで敗れ、3位決定戦で勝ちました。大会を通して成長したチームも印象に残っています。

あとはW杯。大会期間中も素晴らしい戦いができたと振り返っていますが、その前の段階から、1年半の間、対外試合をできていないなか、直前合宿をプランニングし、埋め合わせをしながら、最後に磨き上げていく。何度もプラン変更しないければならない難しい状況でも惑わされず、目の前の状況に取り組むことに集中しました。チーム全員で集中できたからこそ、大会であのような結果を残せたと思っています。

それとパーソナルなコメントになってしまいますが、個人名を挙げます。2020年の開催予定から1年延期になったことで、プラスになった選手ととマイナスに働いた選手がリストにいます。森岡薫選手や滝田学選手は、直接的に変化を被り、期待していた大会に出られませんでした。私としては、痛みを感じながらの決断でした。

もう1人は、パラグアイ戦の前に出場できなくなった吉川智貴選手。ここまで、チームをけん引する非常に大きな働きをしてきた選手が途中で出られなくなったことは心が痛む出来事でした。

──監督の下で共に指導にあたった木暮賢一郎コーチ、鈴木隆二コーチへの思いは?

下地達朗フィジカルコーチ、内山慶太郎GKコーチとも協働してきて、彼らは息子たちのような存在だと感じていて、そのように付き合ってきました。彼らの貢献性は非常に高いものでした。メディカルスタッフも、チームマネージャーも、ダイレクターも高いコミットで取り組んでくれた。特に4人のコーチは息子たちという特別な位置付けです。

──2018年のアジア選手権は決勝でイランを追い詰めながら結果を出せず、W杯もいい試合をしながら結果を出せず。無念や、喉に引っかかるものがあるなかでの退任。次の大会で実った果実を収穫することも考えたいたのではないかと思います。監督のなかで、悔しさが残っているのではないでしょうか。

残念な気持ちがあるとすれば、まずは、2020年のアジア選手権が中止となったことです。勝つ自信がありましたし、チャンピオンに返り咲く準備をしていたので、なくなったことは残念でした。

W杯では、スペインやブラジルと肩を並べる戦いをできたことが誇らしいものでした。次のステップは、彼らを上回り、実ったものを刈り取るところへ向かいますが、そこは次の監督の仕事だと感じています。

自分の感触としては、そこまで引き上げることができた誇らしさに、より大きな感情をもっています。

──次はどんな挑戦をしたいですか?

まだどことも、なにとも決まっていません。オファーはいくつかいただいています。今は次のステップへ向けてよく考える時期です。いろんな側面から、オプションを検討していますが、監督の仕事は継続したいと思っています。アジアか、欧州か、複数のオファーから冷静に判断して決断していこうと思います。

ブルーノ監督からのラストメッセージ

前任の監督みなさんに、敬意と感謝を申し上げます。私が受け継ぐまでに非常に力を入れ、日本フットサルを向上させていただきました。日本代表は日本人が指揮するための段階的なレベルアップを、手を携えながら取り組んできているという覚で捉えています。

この後を継がれる監督には、大きな幸運を祈っています。その方に幸運が起これば、それは日本代表の幸運にもつながります。後任者も、大きな幸運に恵まれますように。

最後に、サポーターのみなさまにもう一度。この2年は、少し距離感が生まれざるを得ない環境でしたが、最後にあらためて素晴らしいサポートを力に変え、あのような戦いができました。その力は絶大で、間違いないもので、なくてはならないパワーです。引き続き、日本のフットサルに力を貸し続けてもらえたらと思います。

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