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2022.08.31

ブリンカールは、なぜ勝てたのか?「連覇してインパクトを与えたかった」フットサルの価値向上を願う古居俊平監督が子どもたちに伝えてきたこと【バーモントカップ優勝監督インタビュー】

PHOTO BY高橋学

「バーモントカップは次のステージ、そして夢につながる大会です」。そう話すのは、ブリンカールFCを2015年大会と2019年大会、そして今大会の3回、日本一へ導いた古居俊平監督だ。

大会史上初の連覇が懸かっていたなか、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で2020年大会、2021年大会が中止となり、「大会がなくなり、目標を失いかけた子もいた」という。以前から、育成年代にフットサルを取り入れ、将来活躍できるフットボール選手へと教え導くことを追求してきた古居監督は、“空白の2年間”、独自で大会開催などを行ってきた。

その日々を経て、こう話す。「バーモントカップに敵うものはない」。

ブリンカールが毎年、この大会にどれだけの思いで挑んできたかは、古居監督が語る言葉の端々に感じることができる。大会が2年間行われず、自分たちで戦う機会を作ったからこそ、育成年代における「バーモントカップの価値」を、改めて感じたのだろう。

この大会には主に、3つのスタイルのチームが参加する。

いわゆる、普段はサッカーしかしていない「サッカーチーム」、フットサルを専門にする「フットサルチーム」、両者を掛け合わせる「ハイブリッド型チーム」。ブリンカールはその3つ目に当てはまり、独自の“ブリンカールメソッド”を構築したハイブリッド型ではあるものの、さらに進化させた「ハイブリッド型チーム2.0」だとも言える。

日頃、ブリンカールのスクールでフットサルをして、他に所属するサッカーチームでプレーし、5、6年生になって初めて「フットサルチーム」として練習する彼らは、どこよりも「チーム」だ。早い子であればキッズ年代からスクールに通い始め、上級生が戦うバーモントカップを観戦し、その有志に胸を打たれ、「自分もあそこで戦いたい」と夢を見る。小学生年代のクラブチームで、そんな6年クラスの“縦関係”を築くクラブはなかなかお目にかかれない。バーモントカップを観戦したことがある人ならば、ブリンカールを応援するスタンドの一角が“黄色”に染まる光景を見たことがあるだろう。スクール生が声を張り上げる姿を。

だから今大会に臨んだ選手はみな「先輩たちの思いを背負って」戦ったのだ。普通、「同じスクールに通っているだけ」の1つ、2つ上の先輩の分までとは、思えないだろう。

技術、戦術だけではなく、「ブリンカールメソッド」とはそうした“つながりの強さ”によって得られる、小学生年代にしか味わえない、貴重で重要なものなのかもしれない。

ぜひとも、古居監督が優勝後に語った言葉に触れてもらいたい。


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バーモントカップに敵うものはないと改めて感じた

──優勝おめでとうございます。クラブとして3度目の日本一に輝きました。

子どもたちは本当にすごいと思いました。チームで目指していた「ゴールに向かう姿勢」を表現してくれて、勇気の持てる試合になりました。「全国にエネルギーを届けたい」と思っていたので、結果につながって良かった。少し、出来すぎですけどね。

──今大会は、3年ぶりの開催でした。どんな思いで臨んだのでしょうか?

大会が中止になった代の先輩たちや、全国各地で大会を望んでいた人たちの思いを背負って臨みました。バーモントカップでの経験は、次のステージ、そして夢につながると思っています。ですが、その素晴らしい大会が新型コロナウイルスの影響でなくなってしまったことで、失ったものが大きかった年代が2年も続いてしまいました。バーモントカップがなかった2年間は、僕らで全国大会(U-12地域フットサルチャンピオンズカップ)を自主開催して、なんとかフットサルの火を消さないようにずっと活動を続けてきました。協力していただいたメーカーさんや、各地のチームの関係者のみなさんと切磋琢磨しながら続けてきたことで、またこの舞台に戻って来ることができたと思っています。

──“空白の2年間”があったからこそ気づけたこともありましたか?

自主開催をしたことで得るものはありました。ですがこのバーモントカップの価値はすごく高いものですし、これに敵うものはないと改めて感じました。だからこそ、存続すべきだと思いますし、継続して開催していくべき大会だとより感じましたね。素晴らしい環境でフットサルができてうれしかったです。

──2020年大会で連覇を目指した当時の4年生、5年生にとっては、目標が一つなくなってしまいました。

うちは幼稚園から入団している子が多く、みんなこの舞台で活躍する先輩を見て、次のステージにつなげたいと思っていました。誰が悪いというわけではないですが、ずっと目指していた大会がなくなって泣いている子もいましたし、目標を見失いかけた子たちもいました。そういう姿を見ていたので、彼らの思いも背負って戦うことが僕たちのテーマでした。

──大会がなくなり、涙を流した選手たちにはどんな言葉をかけたのでしょうか?

「決まってしまったことなので、受け入れて、前に進まなければいけない」と伝えました。この大会は中学、高校、大学、そしてプロと次のステージにつなげるための通過点です。悔しい思いを糧に、自分で自分の扉を開いてほしいと話しました。

プレッシャーを受ける立場になって初めて一人前

──先輩の思いも背負う分、選手はプレッシャーも大きかったのではないですか?

「プレッシャーは大いに感じなさい」と伝えています。プレッシャーを感じられるほど応援されているわけですし、プレッシャーを感じられるほど自分たちは良くなっているということなので、そこで普段通りのプレーをできるかどうかが、上のステージにつながっていくと思っています。プレッシャーを受ける立場になって初めて、選手として一人前になったということなので、ここからが勝負ですね。

──決勝戦は中央を固めながら、連動したプレスでヴィッセル神戸U-12のピヴォを中心とした攻撃を封じていたように見えました。

「相手の良さを消そう」という共通理解を持って、決勝に臨みました。予選でピヴォに強い選手がいるエスペランサFCと戦って、その選手を止めるために、今までやっていなかった守り方をしました。エスペランサ戦で得たものをヴィッセル戦でも表現できたので、戦うごとに強くなれた感覚です。

──短期間で今までと別の戦い方を体現するのは簡単ではないと思います。なぜそれができたのでしょうか?

僕らには、「楽しさの追求」という理念があります。プレーをしているときの楽しさや、勝ったときの喜び、上達する喜び、困難を乗り越える喜び、選手たちがいろいろなものを楽しんで、技術を追求したいというところまでいけば、自然と吸収していけるんです。僕たちはフィジカルではなく、ゴールに向かうために、相手をかわす、外す、ズラすという技術を追求していて、それがうまくハマったと思います。でも本当、出来すぎですね(笑)。

──決勝戦が終わった後、選手たちにはどんな言葉をかけましたか?

「感謝しかない」と伝えました。要求の高い練習についてきてくれましたし、本当に素晴らしいものを見せてくれたので、ただただ良かったです。

──大会史上初の連覇という記録も、クラブにとって大きなものになったのでは?

久しぶりに開催されたバーモントカップで連覇をすれば、大きなインパクトを与え、よりフットサルのことを注目してもらえると思います。そこで「ブリンカールを倒したい!」というチームが立ち上がって、もっともっと競技力が上がり、全体の底上げにつながってほしいです。

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