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【引退直前インタビュー】「たとえ1秒でも」。45歳、金山友紀が練習でも試合でも、ピッチに立つ限り全力で走り続けた意味

PHOTO BY高橋学

金山友紀のFリーグラストマッチを見逃すな!ABEMAで生配信!

「お前のプレーで何人呼べるんだ?」木村和司に学んだプロ意識

──今シーズンのオフに「なぜ、フットサルを続けているのか?」を聞こうと思っていたんです。昔は「なぜ、フットサルを始めたのか?」に興味があったんですが、自分の年齢のせいか「続けることの偉大さ」のほうに興味が出てきていて。

でも、その背景には、昔はフットサルを始める理由を作るほうが難しかった、というのがあるんじゃない?

──ああ、なるほど。

俺が始めた時なんて、Fリーグはもちろん東海リーグもなく、1年を通してフットサルができるのが関東しかないから関東に出てきて本格的に。そこまでしないと始まらなかった。でも今は、始まるキッカケでいうと、山中(翔斗)は幼稚園の時から町田のスクールに入っているし、「気がついたらペスカドーラがあって、スクールに入って始めていました」という世代が増えてきて、Fリーグの中心になってきている。で、まだそれに抗って現役を続けている俺がいる(笑)。

──いやいや、続けることって本当にすごいなと、しかもトップリーグですから。その原動力はどこから、モチベーションはなんで続くんだろうと?

どうだろう。一番はやっぱり、フットサルが好きだから、というのがあって。でもそれは、ただボールを蹴るというのではなくて、高いレベルで勝敗を分ける厳しい世界でプレーするのが楽しいというか、好きというか、そういうのがあるんだと思う。でもなんだろう、続ける理由は……。引退を決断した理由はあるけど「ここまで続けて来たことに理由はあんまりない」というのが正直なところかな。

──続けられる理由って、なんでもそうかもしれないですね。仕事もずっとスクールコーチを続けながらの現役生活でしたが、金山さんの「プロ論」を教えてください。

お金をもらっているから、お金をもらっていないから、じゃなくて、お金を払ってそのスポーツを見に来てくれる人たちがいるところにいる選手は、プロフェッショナルでなければならないと思う。自分たちのプレーを見に来るためにペイされているというのは、一番意識しなければいけないところ。さらにこの競技を良くしていくために、よりプロフェッショナルな意識、行動、活動をしていかないといけない、というのが前提としてあります。

──言わずもがなですが、Fリーグは「有料試合」です。

自分たちがフットサルを始めた頃は全国リーグさえも全く想像がつかないなかで、それでもプロリーグを作りたい、有料観客の中で試合をしたい、と思っていたからこそ意識を高く続けてきた。だから、Fリーグができたからとか、Fリーグはプロじゃないからとかは関係なく、そこへの意識は持つべきだと思う。

──見に来てくれる人への意識を。

そう。見に来てくれた人に喜んでもらうために、この競技を追求していく必要があるし、そういう試合やプレーをしないといけない。その結果お客さんに、コイツはすごい、コイツは次になにをするんだろう、コイツからは目が離せない、コイツを見たい、と思ってもらえる選手、それがプロフェッショナルなんだと思う。

──その考え方はいつから明確に?

関東に出てきてすぐに、当時の代表監督だった和司さんに初めて日本代表に呼んでもらって、そのまま和司さんの会社に務めることになったので、話をさせてもらう機会がすごく多かったんです。和司さんはサッカーがJSLからJリーグになる時期を過ごした方で、JSL時代にプロサッカー選手になる時に「お前のプレーで何人呼べるんだ?」と言われたそうで、その言葉をそのまま俺も言われて。フットサルを始めた直後、和司さんに、鮮明に突きつけられた「ユウキ、お前のプレーで何人呼べるんだ?」という言葉を意識してやってきました。

──金山さんを形成するマインドとして「負けず嫌い」という要素も大きいと思うのですが?

それがなかったらこの年齢でやっていなかっただろうな、というのはあるかな。自分はサッカーを始めたのが高校生からで遅いというのがあって、どんなことでも吸収したいという思いは、今でもあるから。町田の今のメンバーでは自分が一番長くフットサルをプレーしているけど、若い選手からはまだまだ学べることがあると思ってやっている。そういう、もっとうまくなりという思いはこの歳でもあるからね。できなくなっていることもあるけど、その分、できるようになったことも増やしたい。

──できなくなったこと、加齢もそうですが怪我で割り切らなきゃいけないこともあったと思います。

そのあたりの葛藤は、めちゃめちゃあったかな。割り切らなきゃいけないけど、割り切りたくない、みたいな。

──具体的なプレーで言うと、昔はもっとミドルレンジからトーキックでシュートを決めていましたよね?

それはもう、全然だね(笑)。シュート練習とかで打つけどやっぱり筋力も落ちているし、バネとか背筋とかそういう部分の衰えはあるから、難しいよ。スピードは、足の速さは落ちても走り出すタイミングとか予測でカバーできる部分があるけど、シュート力とかは身体もでかくないし元々の筋力が低いからね。まあ逆に、そこに長けている選手がいるのであれば任せて自分の得意分野を、となってきた。一緒に出る選手とのバランスを考えて、7、8年前は自分が後ろでパスをさばいてという組み合わせの時もあったからね。

──はい、一般的には加齢と共にポジションを下げるものです(笑)。

それが回り回っていまだに、ね(笑)。ゴール前に飛び込むような選手がチームにいれば、自分はそこに出すという役割になっていたかもしれない。でもドリブルできる選手とか、ボールをはたける選手はうちにはたくさんいるから、だったら自分は飛び込んでいったほうがいいかなと。

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