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【バーモントカップ優勝監督インタビュー】古居俊平監督が明かす、ブリンカールが「愛知県9連覇」「全国優勝2回」の強豪チームになれた理由。

PHOTO BY本田好伸

OBの高校生に勇気を与えられる小学生

──愛知県代表として9年間連続で出場してきて、全国でも常にトップクラスで戦ってきました。そういうチームづくりの秘訣はどういったものなのでしょうか?

(スタンドに詰め掛けたたくさんの親御さんやスクール生の子どもたち、OBの選手などを見ながら)僕はこれだと思っています。チーム愛ではないですけど、みんなの想いや熱量。低学年やOBなども含めてずっと応援に来てくれていて、選手を後押ししてくれているからこそ頑張れる。世代を超えた人と人とのつながりですね。本当にすごいと思うのが、今年1月のU-15の大会で中学生が優勝して、この夏は小学生が優勝したということ。選手はこのプレッシャーのなかで戦って、勝ってしまうことがすごい。彼らが大会に臨むなかで成長していって、こういう舞台で勝てることは、日々どれだけやってきたんだろうって。トレーニングは相当きついですからね(苦笑)。でもそこはみんな試合に出たいので、諦めることなく競争を続けていました。

──今大会の場合はという前置きがありますが、主軸として出場するFPの選手は4、5人でした。

そうです。

──そこも所属する選手によって変わってくる。

そうです。でも、だいたいいつも6人くらいまでしか主軸として出ることはないですね。(試合に出られない選手がいることは)それが悪いとは思っていません。決勝の前に選手にも伝えていましたが、メンバーを外れてしまった選手もいるし、出るかわからない選手もいるけど、優勝できたとしても、もし試合に出られていないのであれば、それは「悔しい」と感じてほしいと。優勝はうれしいけど、自分も出たい、トップでやるんだという気持ちがないと成長は止まってしまいますから。優勝しても出場できていないのであれば、そのことを自覚して、頑張らないといけない。でも、目標は目の前にたくさんいるから、そいつらを追い越せば出られる。いい判断基準となる選手が近くにいるから頑張ろうと。スポーツである以上、競争の世界なので、出られない選手がいるのは仕方のないことだと思います。

──練習で激しくぶつかり合っているからこそ、出られなかったとしても相手を認めることができるし、ピッチに立つ仲間を応援できる。

そうです。でも優しいですよね。決勝で点を取って、メンバー外になった6番の選手に手で「6」を作って見せていましたからね。彼も泣いていました。昔からブリンカールでやってきて、ずっと見ている選手ですしメンバーに入れてあげたい気持ちはありましたが、コンディションが上がっていませんでした。入れることが彼にとってプラスになるのかも考えましたし、本当の実力で選ぼうと。そこは難しい判断でもあります。

──育成年代の指導者は特に、そういった厳しい立場にありますよね。

シビアな世界ではありますから。でも僕らがきっちり決断しないといけない。誤った判断で選手の成長を止めてはいけない。選手の好き嫌いでやっているわけではなくて、勝つためにいろんなことを犠牲にして追求してやってきていますからね。

──キャプテンで10番の宮川陸斗選手も、ケガを抱えた万全の状態ではありませんでした。

そうですね。だからパフォーマンスを出し切ってはいませんでした。

──それであのプレーを見せてしまうとは……。去年も出場していました。

少しだけ出ました。彼は4年生からメンバーに入れてきました。本来、5、6年生しかやらない(クラブのスクールの選抜チームとして大会には出ない)ですけど、彼には個人技術と、競争を勝ち抜くことなど、いろんなものを身につけさせたいと。性格的にも特異なところがありましたから、4年生でも6年生に交じってできるだろうなと。彼からすれば、ようやく自分が主力としてこの舞台に立てたわけです。

──宮川選手もずっとスタンドで応援して、この舞台を目指してきたわけですよね。

そうです。彼は(2015年の)小2のときにスタンドで応援したチームが全国で優勝したのですが、決勝で点を取った9番の選手が2日目に応援に来てくれました。応援される立場が今度は(OBとして)応援する立場になった。その高校1年生の選手は、千葉県の全国の常連の高校でプレーしていて、国体のメンバーにも選ばれているのですが、小学生の後輩のプレーを見て「マジうめー、マジすげー、俺も頑張る!」って言っていました(笑)。宮川は先輩の応援で勇気をもらっていましたが、先輩自身も、宮川のプレーに刺激をもらっている。「Bチームに落ちちゃったから、俺ももっと頑張らないとダメだな」って。そのつながりが大きい。そうやって連鎖していくものが、僕らのクラブの強さの理由だと思っています。

──でもどうしてそんなにつながるのでしょうか。

ありがたいことに、年長さんからずっと続けてくれるんですよね。でもそれはやはり「結果がすべて」だということ。何かにトライして、いいと思ってやってきたものに対して、結果がともなえば信じてついてきてもらえます。結果が出なければ、もし他にいいものに出会えたらそっちに行ってしまうこともある。だから、僕らのようなスクールで仕事をしている指導者たちは、結果を常に求められる世界にいると思っています。

──全国にはいろんな環境・形態のクラブがあります。ブリンカールは、どういった立ち位置でしょうか?

僕らはサッカースクールです。そこでやっていることが本当にいいものかどうかを証明するために、フットサルの大会でやってみようというところでもあります。子どもたちの可能性を含めて、評価されていない選手でも評価されるものを持っているかもしれないですから。“セカンドオピニオン”みたいなことかもしれないですね。もっと幅広く選手を見てあげる必要があるなと。そうやって選手を引き上げていくサイクルを作り続けていけたらいいなと思っています。それで地元が盛り上がって、競技力が高まって、みんなが楽しめたらいいと思います。親御さんとしても、大人になってから(子どもの応援で)こんなにハラハラ・ドキドキできることって喜ばしいですよね。子どもたちのことを考えて取り組んでいるのに、逆に自分たちが勇気をもらえている。こんなにいいことはないですよね。勇気をもらって、与えて、その連鎖があります。

──クラブとしては、サッカーもフットサルもあえて分けて考えているわけではないと。自分たちの取り組みや、可能性を持った選手たちが結果で証明するための手段の一つという捉え方。

そうです。(選手の価値を証明するには)フットサルも必要になってくる。「いいことをしている」と主張しても、結果が出てなければ自己満足で終わってしまう。誰も見向きもしてくれないですから。逆に言えば、全くいいことをしていなかったとしても、勝ってしまえばそれがいいことになってしまうかもしれない。白が黒になり、黒が白になることは実際に起こり得ること。僕らは内容と結果を求めています。いつも「いい練習をしていれば、絶対に勝てるから」と言っています。「練習がすべて」だと思っています。

──日々、積み重ねてきた結果がこの舞台につながっているんですね。

正直なところ、結果はどうなるかわからないなかでやっています。それで結果が出ればオンリーワンになれる。チャレンジをしないと成長が止まると思っていますからね。そういう思いで、この舞台に来たからには何かを吸収して、次に落とし込んで、どんどん成長していった上での9年目の全国です。北澤豪さんには、「(前回優勝したときのフットサルと)似ているね」って言われましたが、まさにそう。あの世代のパススピードや最後の仕掛け、ピヴォ当ては全く同じです。それを見て育った選手たちなので。それがあったから勝てた。優勝はつながっているということですよね。先輩が教えてくれたものなんです。

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