更新日時:2019.09.28
タシュケントの悲劇を経て。10年間、代表チームのリーダーであり続けた星翔太が見据える“悲願のW杯”。
PHOTO BY軍記ひろし
W杯4大会連続出場を、2年前に危惧していた
日本フットサルは2016年2月、どん底を味わった。確実視された4大会連続となるワールドカップ出場を逃してしまったのだ。「タシュケントの悲劇」。W杯予選を兼ねたアジア選手権の開催地・ウズベキスタンの都市の名前を取って、負の歴史はそう刻まれた。
あれから3年。ブルーノ・ガルシア監督と歩んできた。最優先事項を「2020年のW杯出場」と掲げて。
目標から逆算すると、チーム作りは必然的に手堅くなる。世代交代は必要だが、大きなリスクは背負えない。2016年のアジア選手権を経験した14人のうち、現在も召集されているのがオーバー30の8人。ベテラン傾倒は、否めない。
そのなかで、誰よりも責任を感じてきたのが、星翔太だ。前任のミゲル・ロドリゴ時代から10年、途中でキャプテンも務めながら、代表キャップは、仁部屋和弘、滝田学に続く3番目に多い81を数えている。
「このまま行くと危ないかもしれない」
そう話したのは2014年12月、クロアチアとの国際親善試合で勝利した後のことだった。欧州屈指の強豪チームを相手に5-2で勝利した戦いぶりは「完璧」であり、2016年のW杯出場へと順調に進んでいることをアピールしていた、まさにそのときだった。その後も、2015年にチェコ、2016年1月の壮行試合で、前回W杯で3位のコロンビアに連勝して、意気揚々と、アジア選手権に臨んだのだ。しかし──。
結果は、星が危惧した通りになった。アジアに与えられた5枠に入れなかったのだ。過去、13回の大会で4位以内を逃したことは一度もない。しかも、2012年、2014年と連覇中。メディアも含めて、「3連覇でW杯出場を決められるか」に注視していた。それは、油断や慢心以外の何物でもないだろう。
悲劇の渦中にいた星は、今回のタイとの連戦を終えて、こう話した。「心配は何もない」、「油断する選手は誰もいない」と。
「本来、実力的には勝たなければいけない相手に、1試合目で敗れた。これが本大会だったら終わっていたけど、それが今、出た。しかも、中1日で立て直せた。若い選手を含めて危機感がある。そこはいい意味で監視し合っている。『あいつがやっていない』と指をさすのではなく、馴れ合いでもなく、しっかりと尊重しながら進んでいくための準備ができている。だから、心配していない」
いいときも悪いときも、誰よりも責任を背負ってきた。だから誰よりも前を向いて、進んできた。星が導くチームの先に、今度こそW杯の舞台が待っているはずだ。
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