更新日時:2024.04.23
【アジアカップ2024|ミックス/日本vsタジキスタン】日本代表、史上初のグループリーグ敗退に木暮賢一郎監督も意気消沈「人間的にも素晴らしい17名が集まったからこそ、勝たせてあげたかった」
PHOTO BY本田好伸
4月22日、日本代表はタイ・バンコクアリーナでAFCフットサルアジアカップ2024グループステージ第3節・タジキスタン代表戦に臨み、1-1で引き分けた。この結果、グループステージ敗退が決定すると同時に、今年9月にウズベキスタンで開催されるFIFAフットサルワールドカップの出場権を逃した。
2021年11月よりフル代表の指揮官に就任した木暮賢一郎監督は、この2年半でメンバーの世代交代、若手選手の育成、戦術のアップデートに取り組み、世界の強豪と戦うための準備を入念に整えてきた。
しかし、結果は史上初のアジアカップグループステージ敗退。
大黒柱が相次いで負傷離脱した影響は大きく、大会期間中にチーム再編にも取り組んだものの、大会連覇を狙えるチームに仕上げることはできなかった。
試合後、取材エリアに現れた木暮監督は、重い口を開き胸の内を語った。
■タジキスタン戦 ハイライト(グループC第3戦)
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言い訳をするつもりはない
──試合をどう振り返っていますか?
結果に象徴される試合で、誰もがわかるような細いところを、自分たちがモノにできなかった。なにか一つというよりは、ちょっとしたハマりが悪いというか……。そこが大きなダメージになってしまったと思います。
──同点に追いつかれてから、もう1点、もう2点と奪っていくために監督としてはどのような決断や判断があったんでしょうか?
1-0のままだと最後に相手がパワープレーをして残り1秒でも追いつかれてしまうこともあるので、焦らず2点目を取りにいく姿勢を忘れずに進めていこうとハーフタイムにはしました。ゲームプランも選手には伝えて、チャンスもありましたが、逆に追いつかれてしまった。時間はありましたし、選手を入れ替えて努力はしましたが、届きませんでした。パワープレーでもポストに当たったシュートもありましたが、あれが入っていればとか、あれを防げればというのは、言い出したらキリがない。自分たちがやるべき、試合を優位に進めるという部分が足りなかったなと感じています。
──前回のアジアカップでも苦戦したからこそ、このグループステージを軽視することはなかったはず。それでも、コンディショニングやモチベーションの点でこうしておくべきだったんじゃないか、ということは?
言い訳を挙げればいくらでもあると思いますが、我々が戦ってる世界は言い訳より戦う理由を探さないといけないし、ベストを尽くした上で、この結果が起きてしまったと思っています。
誰がいなかったからということではなく、アルトゥールと(清水)和也、フィウーザも入れて本当に素晴らしい人間性を持った17名だったと思います。自分が見てきた歴史でも、これだけ人間的に素晴らしい選手が集まったことはないのかな、と。だからこそ、勝たせてあげたかったし、彼らが評価される世界でありたいと思っていましたが、結果として伴わなかった。こういう場所でたらればを言うつもりはありません。
これまでのプロセスの価値が下がるわけではない
──2016年大会のプレーオフ敗退から8年。取り組んできたことや方向性は間違ってなかったと思いますが、あと一歩なにかが足りなかったのか?
選手にも話しましたが、物事には見えるところと見えないところに価値があります。見える部分の価値に関しては、当然結果が問われる世界なので、「ワールドカップの切符を取れなかった」ということがすべてです。
一方で、見えない取り組みというところに関しては、外には見えないからこそ、なにが正しかったかどうかということをジャッジすることが難しいものですが、この2年半のプロセスにおいての、選手の努力や取り組み、いろんなものを犠牲にしてきたことは、今日負けてしまったことで価値が下がるものだとは思っていません。
もちろん代表選手なので、結果に対して評価されて、関わった人全員がこの責任や苦しい思いをこの先、背負っていくことは間違いないと思います。ただ、自分から伝えたいのは、それが人の価値を下げるのではないということ。これからも胸を張って、見えないものの価値と見えるものの価値が合わさって評価されたり、これ以上の成果を出す努力を続けてほしいなと思います。
──大会前に日本には男女の全国リーグがあり指導者も育っていて、その実力を見せれば勝てるという話をしていましたが、それでもこの結果になってしまったのは、競技力がまだまだ足りないということなのか、それとも本来の力を出し切ることができなかったのか。
たしかにそういう話をしましたが、今でもその気持ちは変わっていないですし、先ほどの話とも被りますが、この負けでこれまでの取り組みや努力、価値が下がるとは思っていません。負けたから育成がよくないとか、Fリーグのレベルがというのも違うと思います。ただ、負けたことには理由がある。見つめ直してダメージを乗り越えて、もっと日本のフットサルが強く良くなるきっかけにしていくしかないです。
──勝つためにいろんな難しい決断を迫られ、最後は自分の信念を曲げて3セット回しを取り入れたりと最善を尽くした結果だと思うのですが、「自分の信念貫けばよかった」という思いはありますか?
それはないです。とった決断が負けたから正しくないと言われればそういう側面もあるかもしれませんが、それも“たられば”なので誰にもわかりません。監督の仕事は、目の前の課題を解決して、1パーセントでも勝つ確率を上げていくこと。そのために最善を尽くしたことに対して、恥じることはないですが、選手を次のステージに送り届けられなかったことは力不足だと感じています。
──ワールドカップ出場を一つのノルマに置きながら、達成することはできませんでした。少し聞きづらいことですが、木暮監督としてご自身の立場的なものも含め、この結果をどう受け止めて、どう先につなげていくのか。
この代表チームのリーダーは監督である私ですし、ワールドカップに出場するという目標をクリアできなかったことは自分に責任があると思っています。
ただ、もちろん批判はあると思いますが、選手にも話したように、自分のフットサル人生や指導者として過ごしてきたここまでの時間に対して、ここで負けたから悪い監督だとも思わないし、もちろん勝ったからいい監督であるとも思いません。この先(去就について)どうするか、どうなるかは今考えてもいないですし全く分からないですが、事実やリーダーとしての結果は、真摯に受け止めて、こういったことが今後起きないようになにかしらの形ではフットサルに貢献して、伝えていく機会があればとは思います。
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