更新日時:2024.05.20
【Fリーグオーシャンカップ2024|ミックス/立川vs町田】黄金の左足でハットトリック!町田をファイナルへ導いたクレパウジ・ヴィニシウス「僕は若手のようには走れないけれど……」
PHOTO BY本田好伸
5月18日、名古屋金城ふ頭アリーナにてFリーグオーシャンカップ2024の準決勝が行われ、立川アスレティックFCとペスカドーラが対戦。町田は5-2で立川に勝利し、名古屋オーシャンズとの決勝戦に臨む。
ハットトリックの大活躍で勝利に導いた町田のクレパウジ・ヴィニシウスが試合を振り返った。
「悔しいけれどお前に夢中」はずっと忘れない
──オーシャンカップ準決勝の立川アスレティックFC戦でハットトリック(3得点)で勝利に導きました。最後にハットトリックをしたのはいつだったか覚えていますか?
そうですね……前回のハットトリックは正直、覚えてないです。2年前、3年前かな。本当に久しぶりです。
──3得点のシーンを振り返っていただけますか。
それぞれのゴールが違うパターンでした。1点目は(右奥の高い位置で)ピヴォに入ってから縦パスを受けてターンしました。GKが前に移動するタイミングで手と足の間を通しました。
2点目は(磯貝)飛那大が縦突破した瞬間にセカンドポストがあるなと走り込んで。シュートは狙ったコースではなかったけど、ダイレクトで蹴ったから反応が難しかったと思います。
3点目は相手が1人退場した後のフリーキックでチャンスが来ると思っていました。1、2点目はニアだったから、立川GKの檜山(昇吾)選手が読んでくると思って、ファーの上に蹴りました。
(フリーキックでアシストした森岡)薫が良いパスを出してくれて、コースを狙うことだけを考えました。
──町田は若い選手が増えています。その中で、37歳のヴィニシウス選手はどのようにコンディションをつくっていますか?
年齢は上がっていますが、毎年毎年いいコンディションをつくりたいと思っています。もちろん、25歳の時のほうが走れますが、僕が走れない分は若手が走ってくれるし、僕は年齢を重ねて若手よりも経験があるから、良いコンビになればよいなと。
甲斐(修侍)さんの前、ルイス・ベルナット監督から「フィクソでやってほしい」と言われました。僕は“ディフェンスの選手”じゃないですけど、パスカット、インターセプトは結構狙っているから。そこから、僕の役割は変わったと思います。
もちろんゴールは決めたい。日本に来てからはずっとゴールを決めることが一番の仕事でしたから。でも、チームのために戦わないといけない。フィクソになって、何をやったほうがいいとか、どこに動かすかとか、どんな声をかけるか、すごく考えるようになりました。
今日のように3点とってチームが勝てばうれしいし、明日もハットトリックを決められるなら決めたい。その気持ちは変わらないけど、自分の役割は変わるし、年齢も重ねているから。
僕は若手のように走れないけど、若手と比べたら、走るタイミング、走る場所、走るコースは考えています。そういうところでチームに貢献していきたいです。
──45歳の森岡選手が町田に戻ってきました。どんなコミュニケーションをとっていますか?
僕が薫と話しているのは、ピヴォに入ったらそんなに動かなくていいよと。後ろの3人はボールを入れて、もしも失ってもカバーをする。僕も1試合で何回もスプリントすることはできないから(笑)。
薫は4年ぶりに町田に戻ってきて、今の若手の特徴はわかっていないから、これが得意とか、何ができるとかを教えています。例えば、三宅(悠斗)と一緒に出ている時は、三宅はシュート意識が強いからセカンドポストを狙おうとか、そういう話はしています。
──オーシャンカップ前に町田はブラジル遠征に行っていました。ヴィニシウス選手にとっては母国ですが、どんな経験になりましたか?
本当に楽しかったです。さまざまな理由があって、ブラジルには3年間ぐらい帰れなかったんです。コロナがあって、日本代表活動があって、これは個人的な理由ですけど娘が小学生で僕がオフの3月、4月に学校があったから。
チームとしてブラジルに行って、僕にとっては帰ることができて、久しぶりに家族にも会えました。それは甲斐さんに本当に感謝です。活動がない時や試合がない時は実家に帰っていいと言ってもらえたんです。
もう一つは、久しぶりにブラジルで家族にプレーを見せられたこと。本当に幸せな時間だったし、帰る時は10日間は短いな、もっと残りたいなという気持ちになりました。
ブラジルリーグ、サンパウロ州リーグのチームと試合をして、ボールの持ち方、駆け引きとか、ブラジル人選手はうまいから、本当にチームにとって大きな経験になったと思います。
フットサルでは状況判断がすごく大事です。若手にいつも言っているのは、自分が誰と出ているのか、誰が相手なのかを考えないといけないと。ずっと同じプレーをするのではなく、味方の特徴や、相手の特徴によって、プレーを変えなければ、結果を出し続けることはできません。
──ブラジルでは練習や試合だけじゃなく、日常生活を一緒に過ごしたと思いますが、それも大きかったでしょうか?
町田では練習が終わった後、すぐに仕事に行く選手もいるから、ずっと一緒に過ごすことは今はできません。例えば、名古屋だったら2部練があるし、練習場もあるし、食事の時間もコミュニケーションをとれる。だから、みんなで10日間ずっと過ごせたのはよかったです。
普段はできない話、フットサルだけじゃなく、1人1人の気持ちとかを聞ける。今回の宿泊施設は4〜5人部屋だったのですが、甲斐さんがコミュニケーションをとるために、わざとそうしたそうです。チームを作るのは、プレーだけじゃなく、気持ちを合わせることが大事なので、ブラジルに行っている間にできたし、一つになれたと思います。
──試合後にゴール裏のサポーターから歌を贈られていましたが。
あれは僕がゴールを決めた時に歌ってくれます。「悔しいけれどお前に夢中」と。ゴールを決めるのは、サッカーもフットサルも一番うれしい、感動するところ。サポーターが僕のために歌ってくれるのは忘れられないし、引退した後も頭に残ります。このサポーターのために、町田のために誇りを持って戦って、またゴールを決めたいです。
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