更新日時:2024.07.13
【インタビュー】「このチームで、再挑戦したい」エース・上林快人が長野で叶える、F1へのリベンジ
PHOTO BY勝又寛晃、伊藤千梅
2023年6月。
2021シーズンにディビジョン1・2入替戦で“奇跡の逆転劇”を巻き起こす1ゴールを決め、F1残留の救世主となった上林快人が、ボアルース長野に帰ってきた。
立川アスレティックFCで出場機会を掴みきれず、長野に戻って再起を誓った2023シーズン。1年でのF1復帰はあと一歩で逃したものの、上林はチーム最多の14得点をマーク。ゴールのみならず、前線で体を張った強度の高いプレーを見せ、攻守においてチームをけん引した。
そして今シーズンは、自動昇格ができるまたとないチャンス。
目指すのは「奇跡」ではなく「手堅い」F2優勝のみだ。
「もう一度この長野で、F1を戦いたい」
チームとともに、リベンジに挑む上林に、その胸の内の思いを聞いた。
全勝優勝にはこだわりたい
──昨年6月、開幕直後に長野に復帰しましたが、改めてその思いを聞かせてください。
僕は2021年にも長野でプレーしていて、翌年に残念ながらチームが降格をしてしまいました。でも、退団してからも長野はF2でやっているようなチームではないはずだ、という思いがありました。あとは個人としても、立川でなかなか試合に出ることができなかったので、戻ってチームと一緒にF2から再挑戦したい、1年でチームを上げたいという思いでした。
ただ、結果的に昇格することはできなかった。そしたらもう今シーズン、全勝優勝で上がるしかないぞと。個人的にはそこにこだわって、開幕からここまでプレーしています。
──13勝2分1敗。あと「勝ち点2」の差での2位という昨年の結果をどう受け止めていた?
もう去年は去年、今年は今年と割り切っているので、思い出すのはちょっと難しいですね(笑)。
ただ上がれなかったからといって、また違うF1のチームに移籍しようとか、そういうことは一切考えませんでしたし、だったら次のシーズンで自分が開幕からチームを引っ張って昇格させなきゃなという気持ちでした。
まずは失点しないことが一番
──2021シーズンに在籍していた時との、チームの変化は?
監督も代わっているのでやることも全然違いますし、選手もかなり入れ替わっているので、単純に比較するのは難しいですけど……。今の長野はどんな時も走って、守備からゲームをつくるというところをベースにしているところは前にいた時と大きく違うところです。
──“堅守”が特徴の一方で、得点力の高い選手も多く、攻撃力も魅力的な印象ですが……。
もちろん点を取ることも考えていますが、まずは失点しないことが一番ですね。「自分たちがボールを持っていれば失点をしない」というのが、共通認識としてあって、僕のセットは特に米村(尚也)がボールを持てるので、そこに自分たちが絡んでいくのか。あとはセットプレーも、シュート力がある選手がそろっているので、そこが攻撃や得点につながっているのかなと思います。
──たくさん点を取ることよりも、ゼロで抑えて勝つことが、やはり重要なのでしょうか?
そうですね。今日の試合(第6節・アグレミーナ浜松戦)も6-0で勝ちましたけど、まず“ゼロ”で抑えられたことが評価すべきところなのかなと、個人的には感じています。
今度こそ、長野をF1で戦えるチームに
──6月30日にはエスポラーダ北海道戦にも勝ち、気が緩むことなく次の試合も完封勝利。チームの雰囲気を見ても、もう簡単には負けないという自信もあるように感じます。
緩まずにというところは、去年1つの負けと、2つの引き分けで昇格できなかったという経験が大きいですね。優勝という目標を見据えつつもまずは一戦一戦、「勝っていく」こと。目の前の試合に勝った先に優勝があるんだというのは、特に意識している部分です。
──その意識を全員が持っているからこそ、今の結果があるように思うのですが、開幕前に何かチーム全体で話をしたりしたのでしょうか?
特別に選手全員で集まって話をした、というのはないです。でも、選手一人ひとりが、去年の悔しさや1敗、1分の重みをわかっているのかなと。
──上林選手としては、自動昇格というチャンスを逃したくないという思いも強いのでは?
いやもう、優勝するしかないです。入替戦は本当に難しいので……。もちろん、F2を優勝するのも難しいですけど。でも、その次に入替戦があるかないかは、かなり大きな差があります。このチャンスを逃さないように、手堅くいきたいですね。
──先ほど言っていたように、個人としてF1への“リベンジ”を叶えるためにも、ですね。
そうですね。今度こそ、この長野をF1で戦えるチームにしたいし、そういうチームになった長野に自分もいたいです。
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