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作成日時:2020.12.24
更新日時:2020.12.24

「『なんでF1にいるんだ』という批判を乗り越えれば人間として強くなれる」【Fの主役は俺だ!全チームインタビュー|横澤直樹監督|ボアルース長野】

PHOTO BY高橋学

Fリーグ ディビジョン1、12チームの監督&注目選手を対象にした全チームインタビュー。題して「Fの主役は俺だ!」。コロナ禍を乗り越えてきた各チーム、各選手に、終盤戦への意気込みを聞く。

F2から昇格を果たした昨シーズン、ボアルース長野は初めて日本フットサル最高峰の舞台に参戦。横澤直樹監督は、F1を戦い抜くために招聘されたものの、結果は33戦勝ち星なし。苦しいシーズンを送ることになった。

F1で2シーズン目を戦う長野は、「F1定着」を達成するためにトップの舞台で戦ってきた経験値を持つ選手を補強。そしてついに10月25日、エスポラーダ北海道戦で悲願の初勝利をつかんだ。とは言え、これで最下位を抜け出したわけではない。チームにとって、この勝利はどんな意味を持つのか。そして、残留へ向け、横澤監督はどんなプランを描いているのか。

取材・文=本田好伸、舞野隼大
※インタビューは12月11日に実施しました


ボアルース長野|坂井佑駿選手のインタビューはこちら
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有江哲平は何か一つ抜きん出れば日本代表に選ばれる

──今シーズンの前半戦を振り返ってみていかがですか?

まず、我々が開幕から掲げている目標は「F1定着」です。(今シーズン昇格してきた)Y.S.C.C.横浜とボルクバレット北九州と残留争いをすると想定していました。北九州は外国人選手を補強しましたが、横浜と我々には外国人選手がいません。その点も、差がついている要因の一つではあると思います。ですが今は1巡目が終了して、相手のチーム状況を理解した上で2巡目に入っている状況です。

──長野は今シーズン、メンバーをかなり補強しました。ですが、新型コロナウイルスの影響を含めて、想定外も多かった。思い描いていた位置にはいないということですか?

勝負はどうなるか分からないですからね。試合中でも一つのプレーでリズムは変化しますから。ただ、10位、11位、12位のいずれかにいることは想定していました。

──北海道戦ではようやく初勝利を手にしましたね。

いろいろな人に感動を与えるような勝利を収められました。今シーズンはコロナ禍でフットサルできない状況が起きていますが、我々にとっては昨シーズン、台風19号の災害で、同じようなことが起きていました。今シーズンもまた、コロナによって当たり前の日常が、当たり前ではなくなっている。そうした経験からも、常に感謝の気持ちを持って戦うことは継続してきました。それが、長野県内の団結力を生み出しているとも感じています。みんなでつらい思いをして、それを乗り越えてつかんだ1勝でした。人それぞれ価値の大きさは違うと思いますが、下位のチームでも、あの1勝というのは誇りに思っていいと思います。

──終了間際の決勝ゴールという、劇的な展開でしたし、まるで優勝したかのような喜び方をしていました。あの勝利の経験は、チームに何か変化をもたらしましたか?

周りの笑顔が増えましたね。ただ、選手はさらにプレッシャーを感じるようになりました。僕らは2回、コロナの影響で試合が延期になっています。名古屋オーシャンズ、バサジィ大分と戦い、やれるという実感があり、調子が上向いているときにペスカドーラ町田に感染者が出てしまい、試合が延期に。その後、初勝利でリズムに乗っていた直後のシュライカー大阪戦もコロナの感染者が出てしまったことで延期となり、モチベーションが少し下がった面はありました。

──タイミングもよくなかった。

プレッシャーも、モチベーションの維持を考える上で難しさがありました。初勝利したことで「次の期待に応えられるか」というプレッシャー。(延期の後、連勝をかけて戦った)立川・府中アスレティックFC戦に負けた直後、ある一人の選手が「やっと解放された」と言ったんです。監督としては負けて解放されたという言葉は、勝者のメンタルを持ち合わせていないと痛感したのですが、一方で、そうした本音を聞けたことで、何を修正すべきかのヒントもつかめました。そうやって一つひとつのプレッシャーと向き合いながら、我々の置かれた状況を考えながらプレーするのは、選手としてもそうですし、人間としても成長するために必要なものなのかなと。

──横澤監督は、指導者としてどんなことにこだわっていますか?

実は、尊敬する小学生時代の恩師が、初勝利した北海道戦の4日前に亡くなってしまいました。湘南ベルマーレを指導する際に、「選手に何を教えているか」を聞きました。そうしたら「俺はサッカーを教えてるんじゃない。サッカーを通して人間を育てているんだ」と。その言葉を胸に刻みました。

──人間を育てている。

フットサルを通して一緒に成長していけるかが重要なんです。今、弱いと言われているチームにいますが、どん底での生き方を一緒に学こともできます。様々な批判もあると思います。でも、そのなかでどうやって必死に、楽しみながら生きていくか。それを乗り越えていきたい。やはり、楽しい方向にばかり行きたくなりますが、それだけでは耐えられません。そうした意味でも、長野の選手たちは本当に貴重なキャリアを過ごしていると思います。F1という日本フットサル最高峰にいるのに、これだけ大差で負けている。昨シーズンは1勝もできないで「なんでF1にいるんだ」と批判を受けている。それでもここで頑張ろうとしている。どうやって乗り越えられるか。それを共有することで、一人の人間として強くなれたら、フットサル以外でも活躍できるのではないかと思っています。

──では、ピッチ内でのこだわりはありますか?

戦い方はバリエーションがたくさんあります。そこから何を選かは選手が決めるものです。一つのことだけに集中して、たとえば「俺はドリブルだけで戦っていくんだ!」というのもアリかもしれないですが、物事は一つだけではありません。いろいろな選択肢があるなかで、何が最適なのかを選ばなければいけない。僕がいろいろな情報を与えて、選手はそこからどれを選ぶか。自分で決断して、理解して乗り越えていくことが重要だと考えています。

──「物事は一つだけでない」と話された直後に申し訳ないのですが……後半戦のキーマンを1人挙げとするなら……?

僕は、メンバー外の選手も含めて全員がキーマンだと思っています。メンバーに入れない選手がいるからこそ、ピッチの選手たちはその想いを背負って戦えるわけですからね。ただ、チームの中で一番成長しているということで挙げるなら……初勝利の試合で決勝点を決めた有江哲平ですね。

──有江選手!フットサルを始めるまでは長野パルセイロU-18でプレーしていましたよね。

そうですね。私が長野の監督に就任した1年目は戦い方にバリエーションを与えたために、悩んだ時期があったと思います。ですが今シーズンは少しずつ慣れてきて、吸収も早くなり、ピッチで体現してくれています。もう一つ何か抜きん出れば、それこそ日本代表に入れると思っています。

──すごく期待値が高いですね。

ただし、「何か一つ抜きん出れば」です。シュートが上手いとか、ディフェンス力がもうちょっと上がるとか。そうしたら間違いなく代表に入れると思います。

──現状ではアタッカータイプの選手。

ディフェンスもできます。基本はアラですが、フィクソもピヴォもできます。状況を理解できる選手なのでバランスも取れる。本人も代表入りを目指していますし、バランスのいい選手ですね。

──今シーズンは、荒牧太郎選手の加入も大きかったと思います。

彼はチームに大きな経験を持ってきてくれました。僕の言っていることをチームに伝えてくれますし、キャプテン(西巻広直)もその思いに応じながら、チームをまとめてくれています。

──では、F1定着に向けたシーズン後半戦への意気込みをお願いします。

大きな目標かもしれないですが、それを達成するには日々努力して、ひたすら邁進して没頭すること。それが目標達成につながると思っています。とにかく我々がすべきは、精神を鍛え、プレーの質を高めていくこと。自分にフォーカスしながら必死に乗り越えていく姿を見てもらいたいです。

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