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ブルーノ・ジャパンの挑戦
2021.01.25

「久光の意志と共に戦っていくことが、これからクラブとしてやっていくべきこと」【Fの主役は俺だ!全チームインタビュー|奥村敬人監督|湘南ベルマーレ】

PHOTO BY高橋学

Fリーグ ディビジョン1、12チームの監督&注目選手を対象にした全チームインタビュー。題して「Fの主役は俺だ!」。コロナ禍を乗り越えてきた各チーム、各選手に、終盤戦への意気込みを聞く。

昨シーズンを終えて、刈込真人、植松晃都、中島孝が現役を退き、マルロンが退団。若い新戦力と共に今シーズンをスタートした湘南ベルマーレは、序盤戦は勝ち負けを繰り返し、波に乗り切れない時期を過ごした。しかし、12月は4戦全勝。19日の名古屋オーシャンズ戦にも逆転勝利を収め、開幕から続いた彼らの連勝記録を10で食い止めた。ホーム・小田原アリーナでのその戦いは、彼らの魂のゲームだった。

その日は、特別な1日となった。

長年、がん治療を続け、闘病しながらピッチに立ち続けた“湘南の番長”久光重貴さんが逝去。それまでも「ヒサと共に」を合言葉に戦ってきたが、名古屋に打ち勝った試合はまさに、久光の想いも乗っていたようでもあった。試合後に久光の訃報を聞いた選手、スタッフたち。クラブに関わる全員は、その現実とどのようにこの現実と向き合ったのか。「ヒサと共に」戦うとは、どういうことなのか。

盟友・奥村敬人監督が、ヒサと共に過ごしてきた湘南の今を、リアルに伝える。

取材・文=本田好伸、舞野隼大
※インタビューは1月14日に実施しました


湘南ベルマーレ|高溝黎磨選手のインタビューはこちら
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人と違っていい。平均点の高い選手ではなくていい

──今シーズンのここまでの戦いを振り返っていかがでしょうか?

良くもなく悪くもなく、ですね。スタートダッシュに失敗してしまいました。「たられば」ですが、勝てていれば2位につけられていたと思います。ただ、プレシーズンでは、多摩大学を相手に負けたこともありましたし、若手と中堅、ベテランとの融合がうまくいかず、苦戦するだろうとは思っていました。

──融合がうまく進まなかったんですね。

若い選手にとっては、プレシーズンの大会がなく、Fリーグの強度やスピードに慣れないままシーズンが始まりました。開幕戦のボルクバレット北九州はプレスがすごく強くバタバタしてしまいました。それに、浦上(浩生)が出場できなかった影響もあったと思います。

──出場停止でしたよね。

はい、昨シーズン最終節の退場が持ち越されてしまいました。本来なら全日本選手権やオーシャンカップで出場停止処分を消化できていたはずなので。フィクソとして欠かせない選手の不在は痛かったですね。

──試合を重ねながら、若い選手も存在感を放つようになりました。

籔内(涼也)と牧野(謙心)は小学生から(育成組織の)ロンドリーナでプレーしてきたので、フットサルに対する順応もスムーズです。荒木(辰文)は、多摩大に在学中なのですが、去年、一昨年と練習試合をしていて、湘南でプレーすることを臨んでいるという話を福角(有紘)監督からも聞いていました。

──湘南でプレーしたい、と。

そうです。うちでプレーしたいと思ってくれる選手と一緒に仕事をすることは理想でもありますし、実際に練習参加してもらったときのパフォーマンスがよかったので、そのままトップチーム登録しました。靏谷(春人)は、関東リーグのバディランツァーレでプレーしていたのですが、ロンドリーナと対戦した練習試合の映像を見たときに「この選手を見てみたい!」と感じて、練習に来てもらいました。左利きなのですが、ピヴォ当てやドリブルのタイミングなど独特の感性をもっていて、今のフットサル界では珍しいタイプだなと。以前はそういった選手もいたのですが、どこか“フットサルっぽい”なと。

──最近の湘南は特に、個性の強い選手が際立っています。どういった選考基準があるのでしょうか?

人と違うところがあるというか、決して平均点の高い選手ではなくても、何か一つのことに特出している選手のほうが面白いと思っています。もちろん、あらゆるバランスが取れた選手も必要ですが、将来を考えたときにどう伸びていくか。そこが良い意味で見えないような選手を育てていきたいと思っています。

久光の訃報を受けて、正直、試合ができないと思った

──名古屋戦の勝利は劇的でした。試合前はどのようなメンタリティで臨んでいたのでしょうか?

試合前のミーティングでは、昨シーズン、ホームで勝ったときの再現をしようと話しました。昨シーズンも第1ピリオドは0-2で負けていて、第2ピリオドに4点を決めて4-3で逆転勝利しました。名古屋に3点差をつけられたら厳しいので、とにかく2点差以内で粘ろうと。「ヒサと共に」という想いは、選手一人ひとりがずっと持ってくれたし、僕以上に選手同士でも彼と接していたと思うので、いろいろなお想いがあるなかで戦っていたと思います。亡くなったことは試合が終わってから聞きましたが、選手たちはよく戦ってくれました。「最後の0秒まで全力で戦う」というクラブのコンセプトを体現してくれました。

──久光さんは、病気が発覚してから毎年出場を続けてきました。彼を選手登録して、いつでも出場できるように待つことは、ずっとチームのなかで確認して決めてきたことなのでしょうか。

そうですね。彼がプレーできる状況であれば一緒に戦う準備をしていました。

──今シーズンも5番を用意して、いつでも戻れる状態でした。

はい。実際に練習にも参加していました。ただ治療の繰り返しでしたし、コンディションが上がったと思ったらまた治療に入る……というなかで、タイミングが合わないと試合には出られない難しさがありました。

──この数年、ピッチに戻ってくると、かなり時間の制約があるなかでプレーしていましたよね。それでも、その姿に多くの人が勇気をもらっていたはずです。

おおよそ1分くらいで体力が切れてしまうので、その制限のなかで送り出してきました。ただ、昨シーズンのヴォスクオーレ仙台戦では3回くらい出場しました。それが最後の公式戦となってしまいましたが、そのときは本当にコンディションが良かった。短い時間でしたが彼の気力も充実していましたし、問題なくプレーできていたので「いくか!」という話をしてピッチに送り出していました。

──改めて、久光さんが周りに与える影響はどのようなものだったのでしょうか。

治療でつらいはずなのに、チームや選手、地域のことをいつも考えていました。紅白戦でも全力を出し切っていましたね。若い選手が諦めたり、一瞬、気を抜いたりしたときには、「久光が頑張っているのに、それでいいのか?」という話にもなりますし、彼の存在はいつでも大きすぎましたね。

──久光さんが亡くなった後、湘南でもプレーされた弟の邦明さんから「ベルマーレがなければ、兄も家族もここまで頑張れなかった」というお話を伺いました。湘南は、人を大事にしてきたクラブですよね。

ヒューマンパワーと言いますか、僕が好きなのは『スクール☆ウォーズ』なので(笑)。全員が本気でぶつかり合える熱いクラブであることで、人の心を打てると信じています。華麗なテクニックは「すごいな」と思わせられますが、それだけで人を感動させることはできない。顔面ブロックでピンチを止めたり、スライディングして、ギリギリで防いだりする場面にも、人は感動するはずです。全員がそういうプレーを体現できたらいいなと、常に思っています。鍛代元気や浦上なんかは、まさに先頭に立って体現していますよね。

──安藤良平選手は、名古屋に移籍する前に、湘南では “出ずっぱり”でしたが、どんなにキツいときでも、「ヒサさんを見ているから、そんなことでキツいとは言えない」と話していました。

自分は、ヒサと同じ病気になったことがないですから、どれくらいキツいのかもわからないし、想像しかできないですけど、きっと想像以上にキツいと思います。僕の母親も51歳のときにがんで亡くなりましたが、本当に壮絶な闘病生活でした。どんどん体力が奪われて痩せていきましたから。でも、ヒサは亡くなる2週間くらい前までアリーナに来ていました。信じられないというか、とてつもない精神力だなと。と同時に、それくらいクラブを愛してくれていたんだと思います。

──その姿勢は、本当にたくさんの人に伝わっていたと思います。

そうですね。「フットサルリボン」の活動で小児がんを抱えている子どもの親御さんからも「久光さんから元気をもらった」というメッセージをいただいたことがあります。その度に僕は、自分は久光のことを知っていたようで全然知らなかったなと。本当にすごいことをしていた男だったと、改めて思いました。

──偉大ですね。

偉大すぎますよね。だからこそ、その意志と共に戦っていくことが、これからクラブとしてやっていくべきことだと思います。久光と共に戦うというのは、これからもずっと続くものです。

──久光さんの訃報を受けて、みなさんで何か話し合う機会はあったのでしょうか。

お通夜には、全員で会い行きました。その週はすごく難しくて、正直、試合をしていいのか、試合はできないんじゃないかという思いもありました。亡くなった19日の名古屋戦は土曜日で、日曜日がオフ。通常通り月曜に練習に集まりましたが、泣いている選手もいました。その状況で、選手に「やれよ!」という言葉もかけられません。スタッフと話した結果、いずれ自発的にやってくれると信じて、その週の練習は選手に任せることにしました。でも、25日の大阪戦では、第1ピリオドから相手を圧倒していて、「たくましい選手たちだな。すごいな」と感じながら見ていました。その姿がうれしかったですね。

──ありがとうございます。クラブはこの先も、久光さんの想いを背負いながら戦っていきます。まずは今シーズンの残りの試合は、どこを目指していきますか?

選手には、「最後の0秒まで全力で戦う」という姿勢を貫いて、全試合に勝って過去最高の順位で終えたいと伝えました。名古屋の勝ち点が抜けているので優勝は難しいですが、2位は十分に狙えますからね。

──では、その2位を狙うためのキーマンは誰でしょうか?

ジャッピーニャ(本田真琉虎洲)ですね。彼は、(町田の前身クラブの)カスカヴェウ時代から久光と一緒に戦ってきましたし、口数は多くないですが、プレーですべてを示してくれています。10月1日が僕の誕生日だったのですが、2日後の北海道戦では、ゴール後にわざわざベンチまで寄ってきて「ゴールはプレゼントね。おめでとう」と言ってくれました。大事なときにやってくれる男です。強い相手に対して誰よりも戦える。もちろん全員の力が必要ですが、ジャッピーニャのそういう部分には期待したいですね。

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