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2021.05.11

【須賀雄大のこれから】指導者としての野心があるからクラブを離れる|The Turning Point

PHOTO BY高橋学

「フウガドールすみだ=須賀雄大」。それが過言ではないほどにチームを象徴していた。実際、トップチーム監督以外の仕事にも携わり、クラブの羅針盤でもあった。では、なぜ──。自ら下したクラブを去る決断。須賀雄大の「これから」とは。

取材・構成=高田宗太郎

3位に満足して”これでいいかな”で停滞しないように

──マンチェスター・ユナイテッドのファーガソン元監督のような長期政権になると勝手に思っていたので意外でした。クラブを離れる決断はどうして?

もともとFリーグに参入して3年目、2016−2017シーズンを終えたあたりから、いろいろなものが少しずつ見えてきたというのがあります。参入当初は、周囲からの期待値もあったし、がむしゃらにやって、とにかくFリーグを面白くしたい、変えたいと強く思っていました。それが、3年経っていい意味で周りが見えてきたし、周りからの見る目も変わっていった。自分たちがFリーグ側というか。

──フウガドールすみだは、もう、勢いある若手や半人前のお客さんではないと。

そうなったときに、自分が監督をやることに対しても、しっかりと向き合わないといけないな、と。強化部として選手を獲得したり、下部組織のバッファローズにも関わっていくなかで、自分が自分に一番厳しくしないといけない。自分が監督をやるメリット、デメリットを考えて「胸を張って、100%やるべきだ」と思えなくなった瞬間にやめようと。ここ数年はシーズン後に自問していました。

──クラブにとって、自分がメリットかデメリットか?

いえ。トップチームの監督として、という部分だけをくり抜いての判断です。

──では決断は、須賀さん自らが。いつ頃?

はい。2020年の5、6月くらいには自分の考えは固まっていました。大きかったのは、その直前の2019-2020シーズン、プレーオフでバサジィ大分に負けて3位になったことです。3位という成績は、クラブとしては一番良い成績で、それなりに満足感がないわけじゃない。名古屋や大分との環境や資金力と自分たちのリソースを比べれば、客観的に見ても悪くない結果です。選手にも「ハードワークした1年を誇りに思ってほしい、下を向かないでほしい」と伝えました。でも、Fリーグで優勝するという強い思いでやってきた自分が、監督をすることでベストな結果を目指し続けないといけないなかで、3位に満足してしまうことになっては、クラブは停滞してしまうだろう、と。みんなが“これでいいかな”と思ってしまう。この状態は当初、望んでいたものではないということを、自分が示していく必要があると思いました。

──今の環境や選手で3位なら上出来だし、来シーズンも須賀監督でいいんじゃない。という停滞を自分が招いてしまう。だからこそ自分に厳しく、ということですね。マンネリみたいなものは?

自分自身は全く感じていませんね。自分はすごくプレッシャーを受けながら、監督の仕事以外にも、いろんなうれしいこと、辛いことが起きるので、1年を通して同じ年はないので、マンネリはなかった。選手にも、同じモデルで同じフットサルを続けたとは思っていない。ブレないというところを大事にしながら、土台を保ちながら、自分が面白いと思った戦術を加えたり、新しい概念でフットサルを捉えたり、選手にも幅を持って要求した。同じ監督が同じモデルで毎年続けてきた、という感じではないと思ってまいます。

──ただ、外から見ている人間は慣れる。残酷ですが。ボツワナ時代からだと15年以上になる須賀政権に対する外部からの“飽き”みたいなものについては?

難しいところですね。変わらなくてはいけないところと、変わってはいけないところがあると思うんです。お客さんが楽しみにしているものとして、変わらず、そこに常にいる存在はかなり大事。たとえば、奥さんが急に劇的に変わったら、嫌だなってなりますよね。地元の人が、フウガドールすみだに求めるのはエキセントリックな感じよりも安心感。だからクラブの観点からすると、変わらないところも大事にしないといけない。選手もそう。地元に愛されている選手は絶対に必要です。一方で、そんなの関係なく切っていく、ビックネームを1年でもいいから入れて、そうやって常に話題性を提供するやり方もある。ただ、そういうことはやってこなかった。10年、20年続くことを考えて、いろんな観点で見るからこそ、難しさがあり、逆に保守的になることも多々ありました。単純に、監督が代わって新しいことをすれば、新鮮になるかもしれない。そういう意味でのマンネリは解消されるかもしれないですね。

──もう一つ厳しい質問を。須賀雄大は、フウガで神格化され、ある種のアンタッチャブルな存在になっていなかったか?

自分ではわからないこともありますが、なっていたと思います。知らないところでたくさん気を遣われていたでしょうね。なのでなるべく自分から周りに意見を聞くようにしていました。ただ、周りが自分を恐れて何も言えない雰囲気ではなかったんじゃないかなと思います! 一つ言えることは、一緒に働いてきたみんなで、自分の描いたストーリーに文句や反対意見を言わずに、信じてやってきてくれたからこそ今があるとも思っています。

──フウガとの関わりは、一度、断つ。

今、フリーの立場ですが、フウガと絶縁したわけではなく、自分の愛情があるクラブです。ただ自分が、クラブの大きな決断に携われる立場ではないです。

──フリーとして他のクラブの仕事も?

もちろん、そこへの門は常に開いています。

──たとえば、単年契約で他のチームを指揮したり。監督としての野心はまだある。

それがあってやめたので。クラブのマネジメントにプライオリティを置くなら、クラブに残る選択肢もありました。それは素晴らしい仕事だし、やりがいもあり、出会いもあり、魅力でしたが、今の自分にとってやりたいのは指導者としてやっていくこと。監督というものだけではなく、広い意味でいろいろなことをしようと思っていますが、指導者としての野心があったのでクラブを離れる決断をしました。

──これから何をするんですか?

本当にいろんな人に聞かれますけど、実際、まずは少し立ち止まったり振り返ることをしたいなと。抽象的ですけど、自分が一番難しかったのはそういうことなんです。監督業は、オフがあり、その間に見つめ直し、考える時間、マインドがある。自分はオフには、墨田区のスポンサーのみなさんとお会いして、いろんな話をしたり、下部組織の方針を考えたり、同時進行でいろんなことが常に進んでいたので、止まるのではなく、前にいかに進むかの繰り返しだったので。自分を見つめ直して、自分のフットサルを見直していくこと。これまでは、家族にもだいぶ理解してもらっていた仕事で、週末もほぼ家にはいなかったので。そういうところも含めて、一度、少し立ち止まって、自分を見つめ直す時間を過ごしたいですね。

──日本代表監督は?

それは、すごく輝かしいものですが、目標というよりも、自分という人間が一歩ずつ積み重ねて成長していったときにそういう話をいただけるかもしれない。フウガ以外のチームを指揮することも含め、結局、自分がやりたいからやれることではないので、いち指導者として日々成長する仕組みをつくって、いろいろな可能性をもてるようにしていきたいです。今はその時間を楽しみたいですね。

──ちなみに、ゲンは担ぎますか?

担がないです。一応、パンツは、試合の日にディーゼルの赤のパンツを履くことにしたのですが、けっこう忘れちゃうんです。前日に違うパンツを履いていて、そのまま会場に行って、朝は着替えないから。その程度のゲンです。

──占いは信じます?

信じないですね。

──天命はある?

ちょっとわからないですね。僕は親がすごい大事だと思っていて、自分が親になってすごく思うことです。天命があるとしても1%くらいで、他の99%は変えていける。後天的に変えていけることのほうが圧倒的に多いと思います。

──では最後、神様は見ている?

これは申し訳ないけど、神様は信じていない。(相手のCKのピンチの場面などにサポーターから掛け声のかかるすみだの名フレーズの一つ)「神様見てるよ!」は、(前身クラブの創設メンバーの)木村幸司が急に言い始めたんですよ。関東リーグの参入戦の最後の試合前だったかな、円陣で。急に神様の話をして、みんな「えっ」て感じになった。そこから「神様見てるよ」というのが、ちょっと面白い感じで語り継がれていったという。

──哲学では?

ないです。

──そうだったんですね(笑)。長時間ありがとうございました。

はい。また、よろしくお願いします。

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