更新日時:2022.10.03
【アジアカップ|試合後コメント】崖っぷちから、GS1位通過を決めた木暮賢一郎監督。「“まずは勝とう。そのなかで2点差以上を狙っていこう”と、そんな話をしていた」
PHOTO BY勝又寛晃
2日、日本代表はクウェートで行われているAFCフットサルアジアカップのグループリーグ第3節を戦い、ベトナム代表に2-0で勝利。この結果を受けて、日本はグループ1位でノックアウトステージ進出を果たした。
初戦のサウジアラビア戦では、1-2とまさかの敗戦を喫してしまった日本。その影響でこの試合、引き分け以下ならそこで敗退が決定してしまうという重圧を背負い戦った。
そんな試合で、日本代表はどんなプランを立てて臨んだのか。試合終了後、木暮賢一郎監督が取材に応じた。
チームとしても一人ひとりが成長している
──グループステージを1位で突破しました。
結果オーライということではなく、サウジアラビア戦の敗戦は受け止めなければいけませんが、それを学びに変えることができています。苦しい状況のなかで、精神的にもタフな戦いをしてくれた選手たちを誇りに思います。
──今日もゴールを決めるのに苦労したと思いますが、攻撃面での改善点については。
足りないのはゴールだったと思います。サウジアラビア戦も、韓国戦も公式記録では50本以上打っていますし、かなりのシュート数や決定的なシーンはありました。もちろん、多くのゴールを取れればよいですが、同時に、そんなに簡単ではないという事実もあります。
2点差をつければ1位になるというプレッシャーだったり、今日も最初のうちは入らなくてサウジアラビア戦がよぎった選手もいるかもしれません。3-0、4-0になればよかったですが、1位で通過するという目標は達成することができました。あまり多くの改善があるというより、ここ2試合、失点0で終えていますし、チームとしても一人ひとりが成長しているんじゃないかと思います。
──第2ピリオドからベトナムがプレッシングをかけてきましたが。
僕らは勝利が絶対条件で、1点差だったら2位、2点差だったら1位というシンプルな状況でした。ベトナムは1点差以内の負けであれば1位になれる、おそらく堅く来るだろうなと。逆に、4点差以上つけて負けると(得失点差で)サウジと入れ替わって3位になってしまう。1位、2位、3位、どの順位になる可能性もあったので、スコアを見ながら戦い方を変えてくるのは予想通りです。
予想外だったのは2-0になった後にパワープレーを仕掛けてきたところでしょうか。もしも2位で抜けたら、準々決勝でイランと当たることになるかもしれませんが、我々はスコアを必要以上に意識することなく「まずは勝とう。そのなかで2点差以上を狙っていこう」と、そんな話をしていました。
──GKに黒本ギレルメ選手ではなくピレス・イゴール選手を起用した意図は。
2人とも素晴らしいGKです。守備的にいきたい時、足が必要な時など、戦術的なプランニングや、試合展開によって併用していくというのは、本人たちにも話しています。両方のオプションがあることが我々にとって素晴らしいことであると。今日に関しては先に失点してしまうと、勝つことへのプレッシャーがかかるので、(イゴールの)守備力をとった形です。試合展開によってはクロ(黒本)を出す可能性もありました。
今日の試合でもピッチに立たせられなかった選手はいますが、外から見える景色と、中から見える景色は違いますし、チームは成長していると思います。新しいフェーズに入るのは簡単ではないなかで、初戦に負けてしまって、時代の特性もありますが、僕だけじゃなくて、選手も含めてさまざまな声は目にしたり耳にしたりしていたと思います。代表チームというのはタフじゃないといけないですし、僕自身は現役時代から批判に慣れていますし、そういう批判を受けて成長していけたらと思います。
1位で通過できたうえで、サウジアラビア戦のような学びや教訓を得られたのは大きかったです。若い選手たちはもちろん、アジアカップに出場するのが初めての選手にとっても、素晴らしい経験になっているはずです。(昨年の)ワールドカップのメンバーを多く連れていくこともできましたが、未来につなげるのは自分のミッションだと思っています。だからといって、無条件に若手だけで行くというのもA代表としては違うと思います。勝つ確率を上げつつ、未来への投資をする。そうした戦略があります。
(18歳の)原田快を連れていくにあたっても、スタッフ全員で熟考して、シミュレーションしています。試合に出られなくても、日本の未来にとって良い経験をしているし、来なければ学べないこともあります。プロジェクトとしての最適化を図っていくなかでの苦しみもありますが、それを乗り越えることで、日本のフットサルが良くなると思って決断しています。
──2-0となる前には原田選手を出す準備をしていました。
まさしく、彼を招集した理由であり、一番起用したいところはスコアを動かしたいけど、なかなか動かないところのゲームチェンジャー的な役割です。1-0の状況でパワープレーをして、1-1になってしまうと3位になってしまう状況もありますから、パワープレーをせずにどうやってリスクをとりにいくか、あの時間帯はベトナムのファウルも4つでしたし、自分自身も彼を信じて声をかけた矢先に点をとってくれたので。プランニングが変わったことで使えませんでしたが、ここに来ている全員にタスクがあるし、そこは理解してくれていると思います。
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