【引退直前インタビュー】西谷良介はなぜ「フットサルの教科書」と呼ばれ愛されたのか?盟友・渡邉知晃に明かした、現役ラストメッセージ
PHOTO BY本田好伸、FIFA/Getty Images
西谷良介のFリーグラストマッチを見逃すな!ABEMAでプレーオフ決勝生中継!
プレーオフで「名古屋のメンタル」を知った
──Fリーグでのベストゲーム、印象に残っているゴールとかはある?
パッと思い浮かんだのは、フウガドールすみだにいた時に、小田原で名古屋オーシャンズに5-5で引き分けた試合かな。
──なんで?
不思議な感覚だった。自分たちが勝利してもおかしくない流れだったけど、結果は引き分けだった。自分が2点を取った喜びもあるけど、勝ちきれなかった悔しさもある。でも見ている人たちはすごく興奮したし、ベストバウトだと言ってくれる。そっち側の喜びもわかるし、勝てなかった悔しさもあるし、よく追いつけた感覚もあって、フットサルの魅力が詰まった試合だったなと思うね。
──なるほどね。他にはある?
もう一つは、名古屋の時、シュライカー大阪とのプレーオフで、第1戦で負けて、第2戦で勝って優勝を決めた試合。その2試合目すごく強く印象に残っているかな。
──どんな意味で?
第1戦に負けていて、次に負ければ優勝できない。けど、しっかり第2戦で勝って優勝して「これが名古屋オーシャンズか」というメンタリティを肌で感じた。俺もそういう切羽詰まった経験、積み重ねたものが1試合で全部なくなる舞台を経験してきていなかったから、2日目に緊張感あるなと思っていたけど、そういう場を経験している(星)龍太とか智貴とかは落ち着いていたんだよね。
トモもさ、プレーオフの初戦で大分に負けたことあるじゃん。ああいう経験値だと思うけど、俺にはそれがなかった。けど、それを経験している人の心強さと、勝者のメンタリティを目の当たりにした試合を肌で感じることができた。強烈だったね。自分も得点に絡めたということもあるけど、インパクトがある試合だったよ。
──すごくわかる(笑)。
めっちゃ痺れた。
──なかなかできない経験だからね。
そうだね。あの緊張感のなかで、大阪が勝って優勝することを期待している人も絶対いるじゃん。それに立ち向かう自分たち、その姿が目に焼き付いているね。
──日本代表ではある?
偶然かはわからないけど、ブルーノ・ジャパンが初めて海外遠征したハンガリー遠征覚えてる?試合終盤にトモのパスから決めたと思うんだよね。あれがブルーノ・ジャパンの初めての試合で、初めて点を取ったのが俺だった。で、最後の点も俺だった。
──あったね。最後のゴールはW杯のブラジル戦だよね?
そうそう。初得点も嬉しかったし、勝つことができなかったけど、ブラジル戦でも最後に決めることができた。自分の中では、なにか物語があるのかなと感じている。
──確かにそれはすごいね。
そうでしょ!だから、その2つのゴールが自分の中では印象に残っているね。
西谷はなぜ「フットサルの教科書」になれたのか
西谷良介のFリーグラストマッチを見逃すな!ABEMAでプレーオフ決勝生中継!
──引退発表のリリースを出して、いろんな人がコメントを書いていた。対戦してきた選手やチームメイトもそうだし、ファンの方や地域リーグでやっている選手とかが、「フットサルの教科書」「先生」「お手本にしていました」って。人と人のつなぎ役、周りの選手を生かすプレースタイルを参考にしている人も多かったと思う。どうやったらパッシャンみたいになれるのか気になっている人が多いと思う。なにを意識してきた?
デウソンで始めた当初と、今の感覚はそんなに大きく変わっていないと思う。「ダイレクトプレー」が好きで、ゴールに直結するプレーが好き。フットサルだとパス1本でゴールまでいける、その魅力に取り憑かれた。プレー中はまず、それを考えるかな。
──ダイレクトプレーをまずは意識する。
誰がゴールに近いのか、チャンスになるのかを把握する。その選択肢は絶対に持ってやっているのはサッカーをプレーしていた時も、フットサルを始めた当初も、今もそう。その感覚は変わっていない。じゃあ、それがダメだった時にどうするか、そこでフットサルの戦術、個人戦術がある。でも極論、みんながワンタッチでつないだら相手は絶対に取れない。理想はそれなんだよね。だけどそれは難しいし、技術もいるから、それに近づけるように意識して練習していた。だから「止める」「蹴る」といった基礎技術を磨きたかったし、磨いていったからこうなれたと思う。
──「止める」「蹴る」の練習はかなりやっているんだよね。
うん。あとはダイレクトではないけど、ダイレクトに近い“素早い2タッチ”も。そういうプレーに磨きをかけて、それを右足、左足で遜色なくやることも努力して身につけた。自分が理想とするプレーを追い求めた結果、こうなったかなと。
あとは、トモとかシューターの選手にどれだけシュートを打たせるか。ドリブラーの選手、代表なら逸見とか、俺がドリブルするより彼らがするほうが脅威だから、そういう選手をどうやって生かすか。スペシャリストはそこに任せて、自分のスペシャルを磨いていく感じかな。
──自分の武器である基礎技術を磨いたことと、求められる役割を常に意識していたということだね。
フットサルがなんで面白いかって、再現性の多さだと思う。それを作り出せる。サッカーだと作り出せているのかアバウトな気がする。今はサッカーでも増えていると思うけど、再現性がある中で、グループで再現できたり、個人の体の向きで騙せたりする。
料理で言えば調味料がいっぱいある。それがいいんだろうなっていうのは最近気づいたね。だから小さい子どもたちはフットサルをやったほうがいいし、個人戦術を身につけるためにもフットサルは大事なんだって。サッカーをやる上でも強く感じるかな。
──みんなが気になっていると思うけど、今後は?
今後はね、フットボール関係からは一回離れてみる。バイバイさよならじゃなくて。今後、余裕ができて、できる時間があれば戻るというか、携われるタイミングかなと思っているけどね。でも、自分のやってきたことで伝えたいこともあるし、それをゼロにしたらもったいないと思っている。自分は感覚でやってきたタイプだから、そこも整理して、ちゃんと勉強したい気持ちもある。戻るタイミングがあれば戻りたいかな。
──最後に、ファン・サポーターの方々に一言お願いします。
これまでたくさんの愛ある応援を本当にありがとうございました。勇気や感動をもらっていたのは自分のほうです。たくさんの喜怒哀楽を共にしてきた道のりは本当に幸せな時間でした。共に歩んできた道のりを誇りに思います。本当にお世話になりました。ありがとうございました。
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