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作成日時:2024.02.20
更新日時:2024.02.22

【ディビジョン1・2入替戦|ミックス/北海道vs仙台】東北リーグから這い上がった“バンディエラ”。仙台・井上卓「降格した時はマジできつかった。よくここまで来たなと思います」

PHOTO BY高橋学

2月18日、駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場にてFリーグ2023-2024ディビジョン1・2入替戦の第2戦が行われ、エスポラーダ北海道ヴォスクオーレ仙台。仙台が4-1で勝利し、ディビジョン1昇格を決めた。

仙台は2019-2020シーズンにFリーグライセンス不交付が決まり、日本のトップリーグから一気に地域リーグへと降格した。紅白戦も満足にできない状況に陥った2年間。井上卓は「あの時はマジできつかったです」と話す。

選手がバラバラになるなかで、井上も一度は引退を考えた。それでも踏みとどまると、4年間で再び日本のトップリーグに返り咲いた。

10年間仙台一筋。

チームの降格からF1復帰まで、すべてを経験した井上が、その道のりを振り返った。



うれしさに勝る自身の“悔しさ”

──昇格おめでとうございます。まずは率直なお気持ちを教えてください

よかったなって。他人事じゃないですけど、まだふわふわしている感じですね。

──試合全体を振り返ってもらってもよいですか?

負けている厳しい状態を想定して練習からやっていたので、ずっとリードしている展開になったのは意外でした。

──ディビジョン1のチームと対戦した手応えはいかがでしょうか。

もちろん、うまくこっちが回して試合ができていたかと言うと、そうではない展開だったんですけど。1発がある(決めきれる)選手もうちは多いですし、そういうところがうまくはまったなと思いますね。

──18歳の浅野選手が得点してくれたのは、長年在籍している選手として何か感じるものがありますか?

宮城県出身の高校生が結果を残してくれると、すごい嬉しいなと思うし、これからどんどん出てきてほしいなと思います。

──ご自身のプレーについてはどのような評価をしていますか。

正直、僕のプレーは全然だったので。試合が終わった後も、めちゃくちゃ嬉しかったですけど「もうちょっとできたな」という悔しさが勝ちましたかね。

年明けに怪我をして、そこからなんとかこの試合に間に合わせました。練習から試合に出られるかどうかギリギリのところでやっていたので覚悟してやっていましたが、もう少し試合に絡んでいきたかったなとは思います。

──昇格を受けて、ご家族やご友人の反応はいかがですか。

いまけっこう(連絡が)溜まっています。いろいろと連絡をもらっているので、本当にありがたい気持ちしかないです。



降格後には“就職活動”も

──2019年に降格をしてからのこれまでのシーズンと、ディビジョン1昇格を決めた今シーズンでは、チームとして何が1番変わりましたか?

昨シーズンと、選手はそこまで変わっていないんですよね。(森村)孝志みたいな選手も入ってきて、そういう1個1個が積み重なって、今があると思います。

──再昇格まで、特に大変だった時期いつでしょうか?

F1から降格して、ライセンスも保留になって東北リーグで2年間やりましたけど。人数が揃わなくて紅白戦もできないことがありました。あの時はマジできつかったです。

まさか、その時いた仲間が戻ってきて、ここまで戦えるチームになってリーグ参入から2年でF1に復帰するとは。僕が言っちゃダメかもしれないですけど、本当によくここまで来たなと思います。

──フロントスタッフとしてもクラブにかかわるようになったことでの、チーム再編の難しさは感じたか。

もちろんありましたね。クラブの運営陣がガラッと変わったなかでゲームをしないといけなかったり、年間のリーグ戦を戦わないといけなかったり。今は僕もクラブスタッフとしてやっているので、そういうところも感じました。

去年はリーグ4位でしたけど、リーグ戦の難しさもわかりました。今シーズンは1番最初の試合に3-0で負けているところから4-3で勝てたので、去年の悔しさを跳ね返そうと最初から気持ちを乗せられたシーズンだったと思います。

──降格した際に、辞めようと思うことはありましたか?

僕は、F1から東北リーグになった時に「もう辞める」と決めて就活をしていました。ただ今の代表2人が「どうしても残ってほしい」と言ってくれて。

スポンサー企業の代表2名、本間代表と高橋代表が「クラブを存続させよう」と頑張ってくれているのに、選手がそのままやめていいのかと。

それで、このクラブがまたFリーグの舞台に戻るまで頑張ろうと思ってやることを決めて、結果リーグに戻った今も続けています。ほんとにやっていて良かったなと思いますね。

──入替戦の前に仙台の選手や監督に話を聞いた時も、代表の2人の影響がすごい大きいと感じました。

そうですよね。なかなかないと思います。もともといた孝志とか、税田(拓基)とかが帰ってきて「代表がこんなにやってくれるチームはほかにないよ」と言いますけど。そう言ってもらえることがすごく嬉しいです。

──仙台で、地域と連携してやっていきたい思いが強いのでしょうか?

もともと、子どもたちをあずかる仕事をしている代表で、そこで選手が働いて、子どもたちにとってヒーローみたいな存在でした。そのヒーローがいなくなると困るというので、今の代表はそのまま(チームを)引き継いだと、当時の心境を聞いたことがあります。

ずっとその2人に頼ってもよくないとは思うんですけどね。でもその2人のおかげで、今のチームがあると思います。



このチームでどこまで通用するか見てみたい

──1年間通して、チームや個人として得たことはありますか?

1番は自信だと思いますね。1年を通してほとんど負けていないので。トレーニングマッチでこっち(関東)に来て試合をすることもありましたが、そういうときでもシーズンを通して負けたのは、1試合か2試合です。なので、その自信があったと思います。

──ディビジョン1で戦う来シーズンに向けて、どんなところを強化していきたいか。

今日は少しビビっていたじゃないですけど、F1のプレスとF2のプレスはやっぱり違うので、そこのズレをなかなか試合で修正できていなかった。慣れていない部分は多かったです。

今日、自分たちでボールを回せる時間が少なかったので、そういう時間を増やしていきたいです。このままだと通用しないところのほうが多くなってくると思うので。自分たちの時間を長くして、チャンスを増やす部分は、もっと突き詰めていかないといけないと思います。

僕、個人的にはこのメンバーのまま行きたいなと思います。この力がどこまで通用するのかを見てみたいです。

F2からF1に上がって、ガラッと選手が変わるチームは何度も見てきていますけど。そうじゃなくて、このまま戦いたいなというのが本音です。

──「いける」という自信もある?

自信もあるし、客観的に見てどこまでこのチームでF1で(上を)狙えるかを見てみたいです。



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