3月3日、駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場にて第29回全日本フットサル選手権大会の決勝戦が行われ、名古屋オーシャンズと立川アスレティックFCが対戦。名古屋が6-2で勝利し、5年ぶり6度目の日本一の座に輝いた。

キックオフからわずか2分、ダルランは左足から強烈なシュートを放ち、先制ゴールを挙げた。さらに32分にはFKから自身2得点目を決めて勝利に大きく貢献。この決勝が名古屋でのラストマッチだったダルランは、最後まで自身の持てる力のすべてを発揮した。今シーズン、3つ目のタイトルを獲得し、個人としては大会MVPを受賞したブラジル人選手はどんな思いでクラブを去るのか。

試合後、ダルランに話を聞いた。

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最後まで全員がまとまって戦えた

──全日本選手権制覇とMVP受賞を最後に成し遂げることができました。

どちらも達成できて、本当にうれしいです。この幸せな気持ちで日本から帰ることができてよかったです。日本で過ごした2年間は最高でしたし、素敵な思い出しか残っていないです。

──今シーズン、リーグ戦では自力での優勝ができなくなった時期もありましたが、最終的には国内3冠という偉業に貢献できました。

今シーズンは最悪な状態からリーグ優勝でき、最後の最後には5年ぶりの全日本選手権のタイトルも取って3冠を達成できました。みんなに感謝しかないです。

──ダルラン選手が先制点を決めた時、負傷してメンバー外だった八木聖人選手のユニフォームを掲げていましたが。

八木選手と同じ怪我（左膝前十字靭帯損傷）を僕も経験したことがあるので、どれだけプレーしたくても、できない気持ちはわかります。やらなければいけないことがたくさんあって難しい時間だと思うので、聖人のためにタイトルを取りたいと思っていました。聖人は素晴らしいテクニックを持っていて日本人でベスト3に入るような選手です。（復帰してからは）名古屋オーシャンズにさらなるタイトルをもたらせると信じています。

──キャプテンの篠田龍馬選手が優勝カップを掲げる役をダルラン選手に託していました。そうした仲間を思いやる気持ちが返ってきて歓喜の中心にいられたのでは？

ロッカールームで篠田選手から「ダルラン、なにか伝えたいことはあるか？」と言われた時はびっくりしましたけど、ロッカーでみんなへ感謝を伝えられてよかったです。みんながサポートしてくれたからこそ2シーズンの間、問題はまったくなかった。昨シーズンは何度か怪我をしてしまい、痛めている箇所がたくさんあった中でもみんなが支えてくれたことに感謝したいです。

──2シーズン在籍して、名古屋オーシャンズはどんなクラブだと感じましたか？

今シーズンは怪我人が多く、試合に出られない選手も多かったですけど、そういう苦しい時でも誰かのせいにするのではなく、最後まで全員がまとまって戦えました。僕が今までプレーしてきたクラブでは負けた後、誰かのせいにしていることをよく見かけましたが、自分たちは「タイトルを取ろう」という気持ちで一つになり続けたことがこの結果につながったと思っています。

──今シーズン、苦しんでいた時期にはダルラン選手は外国籍選手ながらベテランとしてチームにポジティブな声かけをしていたと聞きました。

自分は35歳でピッチ内ではフィジカル的になかなかサポートできない分、経験値はあると思っているので、それを伝えようと思っていました。今のオーシャンズは若いチームですけど、若手は話をたくさん聞いてくれますし、伸び代はすごく大きい。僕自身、学ぶこともたくさんありました。

──ピッチ内での活躍が期待されている中、ピッチ外でもチームのために働きかける選手は珍しいようにも感じました。その気持ちにさせる要因はどんなところにあったのでしょうか？

選手によっては「移籍先で万全の状態でいたいから」という考えもあるかもしれません。でも自分としては、タイトルを得るためにここでの仕事を最後の1日まで全力を尽くしたかった。このクラブのために、応援してくれるサポーターのために最後まで戦えてよかったです。