更新日時:2020.07.25
【日本代表/WEB取材】代表常連のベテラン・皆本晃が日本代表に抱く想い。「一つ階段を上げて次の世代へ渡したい」
PHOTO BY軍記ひろし
2月に北海道で行われた国際親善試合のパラグアイ代表戦以来、5カ月ぶりとなった代表活動の最終日のトレーニングが終了した。
そのメンバーの中に、10年以上代表に選ばれ続けている33歳の皆本晃も“いつも通り”招集された。しかし田村友貴や安藤良平、星龍太といった面々が呼ばれるようになりポジション争いが激しくなっている。そんなメンバー争いについて、どう感じているか。
また。取材中に「年齢が年齢なので」と何度が発言していたように、2021年のワールドカップが皆本にとって恐らく最初で最後のワールドカップになる。
キャリアの集大成として、日本代表にどんな想いを抱いているのだろうか。
そして、日本がスペインやブラジルといった世界の強豪国と渡り合うために、これから先どんなことが必要と考えているのか。その上で、代表歴の長い皆本の考える自身の役割とは。
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代表歴が長いことでアドバンテージと責任感がある
──通常よりも長い5日間のトレーニングキャンプを終えて、今のコンディションはどうですか?
ブルーノ(・ガルシア)監督が強度のところはコントロールしながらやってくれた。もちろんいつも疲労は溜まりますけど、各セッションちょうどいい感じで、集中して強度高いまま終わることができました。
──チームの雰囲気はいかがでした?
5カ月ぶりの活動で楽しい雰囲気というと言い方はアレですが、久しぶりにみんなと一緒にボールを蹴れて、ブルーノ監督のもとで練習できて、みんな楽しい思いはあった。ですがその反面、大会(11月のAFCフットサル選手権)へ向けた期間も限られていますし、緊張感もある中でできたと思います。
──5カ月ぶりの活動で皆本選手自身の気持ちと、どんな準備をしていてこうしてトレーニングできたことについてどんな気持ちですか?
今また、新型コロナウイルスに感染されている方も多い中で、スタッフやここには来ていない周りの多くの協力があった中でできたので、このような環境を用意してくださった皆さんに感謝しています。試合ができない人もいる中で、こうやって大会に組めて合宿ができたことは皆さんのおかげだと思っていますし、その想いを持ってしっかり取り組まないといけないと感じながらやっていました。
ここに来るにあたって、コロナの影響は確実にありますので、その期間なかなかトレーニングができない状況があった。まずはケガをしないとか、しっかり合宿を終えることが大事だったと思っています。個人的にも、年齢が年齢なのでケアだったりを慎重にやらなければいけない。そういう部分を意識しながら、尚且ついいトレーニングができたと思っています。
──今回の合宿は若い選手も多く、いつもと違う雰囲気や新しい発見はありましたか?
今までよりも若い選手が増えたなという感覚があります。僕自身も年齢が上がってきているので、先輩としてやらなければいけないことが増えたように思っています。ただ。初招集の選手はいなくて、ブルーノと一緒に仕事をしてきた選手ばかり。久しぶりの選手や若い選手というのはありますけど、このチームは2016年から活動して一貫したスタイルでやっている。そこにみんなアジャストしているのかなと。
もちろんまだまだ慣れていない部分はありますけど、ブルーノ・ジャパンのやろうとしているスタイルは明確なのでそこにみんなで向かっている。僕自身も5カ月ぶりで、久しぶりではありましたけど4年間しっかりやってきたものがあります。なので1日、2日でこのスタイルにまた順応できたのは今までの積み重ねがしっかりあったからなのかなと感じた1週間でした。
──代表のフィクソは皆本選手と滝田学選手がよく呼ばれていましたが、最近は安藤良平選手や田村友貴選手、星龍太選手らが呼ばれています。フィクソのポジション争いについてはどう感じてますか?
フィクソだけでなくて、どこのポジションもポジション争いは厳しいものだと思っています。そういう部分では、特別意識しているということではないです。ただ、自分は自分で違いを見せなければいけないですし、代表歴は長い方になってきているのでそういうアドバンテージと責任もあると意識しています。ですが同じタイプがいるわけではないので、僕自身の考えとしては自分でできることは100%やる。それはチームに貢献したいという思いがあるからです。
その中でどのキャラクター、どういう選手を選ぶかは監督次第だと思っています。もちろん選ばれるためにベストは尽くしますけど、自分の立場を考えればこの代表チームに自分の力を100%コミットさせることが一番大事なこと。その上で、誰を選ぶかは素晴らしい監督がいるのでそこに任せたいです。
──手応えを感じている日本代表の良さや強みは?
ブルーノのチームは4年前から準備してきて、「コレクティブなチーム」という言い方が正しいかどうかは分からないですけど、戦術的にしっかりとオーガナイズされている。誰が出ても同じようなスタイルというのをできるように、ディフェンスもオフェンスもある程度決まった形で、みんなでその練度を上げていくスタイル。僕の考えではありますけど、それは今の日本人にとても合っているのかなと。
スピード感を持って全員で連動して攻撃も手数をかけずに、シュートまでいってディフェンスから始めるというのが日本人の今の強み。それはスペイン遠征でも、自分たちのディフェンスがオーガナイズできているときは、いい時間帯だったりとかいい試合ができている部分があった。そこは変わらず続けていくことが、ワールドカップでも上位に進出していくためにとても大事なことだと僕は感じています。そういう中では正しい道を進んでいて、僕たちはこのスタイルでしっかり結果を出してそれを証明したいと思います。
──逆に、世界を見据えた上でまだまだ足りないなと皆本選手が感じている課題があれば教えてください。
今のスタイルは間違っていないと思いますけど、一方で世界のトップ、トップを目指す意味ではまだまだ足りないところが多い。自分たちがボールを持った状態で攻撃をしたりとか、相手の逆を突いて攻めたりとかというのは自分たちがボールを持った中で攻撃していくのはスペインやブラジルとかと比べると、そこはどうしても差があると感じている。
それは変な話、1日やそこらで解決できる問題ではなく、日本サッカー、日本フットサル全体の課題。そういうところはU-18年代とかもしかしたらもっと下の年代から、フットサルに対しての本当の意味での駆け引き、個人戦術を鍛えていかないとチームとしては、本当の意味でまだまだトップには追いつけないと改めて痛感しています。とはいえ、僕も年齢が年齢で、(キャリアの)最終局面を迎えているのでできることは限られている。それでも自分がやってきたものはありますので、やってきたことで世界とどこまで差を縮められるか。
日本代表の選ばれるメンバーは変わっていきますけど、10何年もあるクラブのようなものだと僕自身は思っています。そういう中で歴史は積み重なっているので、自分たちの世代が日本代表をもう一歩前へ進めるという強い想いは持っています。ただ、その先は僕たちの次の世代がさらに前へ進めてくれる。そうなるための一つの道のりの中の一員だと思っているので、一つ階段を上げて次の世代へ渡したいです。あと1年、自分にとってはキャリアの集大成、全てだと思っているので、そこに対して自分自身の100%を提供したいですし、結果としても次の世代へ繋がるように頑張りたいです。
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