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2021.12.15

【日本代表/WEB取材】初のキャンプで明確に伝えたメッセージ。木暮賢一郎監督「3-1や4-0のシステムに縛られない代表チームをつくる」

PHOTO BY高橋学,JFA

フットサル日本代表は15日、高円宮記念JFA夢フィールドでトレーニングキャンプの3日目を実施。木暮賢一郎新監督の下で初めての活動がスタートした。最終日のこの日は、紅白戦を行ってトレーニングキャンプが締めくくられた。

最初の活動を終えた後、木暮監督がオンライン取材で語ったのは、ブルーノ・ガルシア前日本代表監督が進めてきたチームづくりとの明確な違いだった。ブルーノ・ジャパンが、「規律」や「強度の高い守備」を軸につくられてきたことに対して、木暮ジャパンは、「多様性」や「脱システム」とも言うべき、戦術に縛られることのない構築方法だ。

代表活動は、「ゲームモデルを覚える場所ではない」とし、選手一人ひとりがリーグ戦で見せているパフォーマンスを軸に、対戦相手を想定した戦いのなかでどうやって各自の武器を生かしていくかを追求していく。システムありきではなく、選手ありき。なおかつ、対戦相手ありき。木暮監督は、初回のキャンプを通して明確なメッセージを発信した。

【紅白戦結果】
白 6-2 赤
<白>
先発:クレパウジ・ヴィニシウス、毛利元亮、オリベイラ・アルトゥール、吉川智貴、田淵広史
控え:金澤空、本石猛裕、甲斐稜人、齋藤日向、高見政顕
<赤>
先発:内田隼太、加藤未渚実、倉科亮佑、上村充哉、坂桂輔
控え:牧野謙心、高橋響、堤優太、樋口岳志


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代表では選手を生かすモデルの構築を考えている

木暮賢一郎監督(フットサル日本代表)

──3日間のトレーニングを終えてどうでしたか?

メンバー発表のときも話しましたが、合宿を開催できたことに本当に感謝しています。そのなかで選手もケガなく、いい表情で、次の目標に向けて取り組んでくれました。新しいスタッフとも連携を図って、いいスタートを切れたと思います。

──この3日間は予定していたことは全部できたのでしょうか?

そうですね。活動を通して、新しい目標に向かってどう進んでいくという明確なメッセージを伝えたかったのですが、それは間違いなく伝わったと思います。

──3日間のトレーニングを見て、初回の活動なので、ゲームモデルやコンセプトを落とし込んでいました。3日目の紅白戦を受け、理解度などはどう感じましたか?

前提として、代表のモデルを浸透させる作業はもちろん行っていますが、選手に伝えている時間軸としては、ゲームモデルを代表で理解しにくる、覚えるとか、複数回呼ばれるなかで構築していくということではありません

今日の紅白戦は、あくまで他国代表チームと、大会を行うために、日曜日に試合があったなかで月曜日にリカバリーと戦術を少し入れ、昨日の午前中に一番強度の高い実戦的なトレーニングをして、午後は今日に備えたトレーニングをして、今日を迎えています。うまくいってもいかなくても、常に結果が求められますし、勝たないといけません。

大会などの然るべきターゲットに向け、代表に残るためにはいいパフォーマンスを見せなければいけません。それはモデルを理解しているかどうかではない。ここに呼んでいる時点でクオリティがあるわけですから、どんなことを求められ、どこがストロングポイントで、それをどう生かせるかを考えて招集しています。この場所では、それを示してほしいという流れで組んでいます。

その意味で最終日の紅白戦は、戦術的な局面での成果などだけではなく、この短期間で、こちらの要求に対して誰がしっかりとパフォーマンスを出せたのか、そうではない選手は生き残れるかどうかの判断になりますから、その競争を理解してもらい、選手たちが取り組んでいくこと。それが今の代表のメリットだと思います。

──木暮監督はまず、攻撃の落とし込みから始めました。明確にメッセージを打ち出した初回のキャンプだと思いますが、どんな狙いで入っていったのでしょうか。

代表はクラブチームではないので、ゲームモデルに選手が合わせるのではなく、選手を生かすモデルの構築を考えていますし、両方のバランスを見極めることが大切です。

これから進む日本のフェーズは、たくさんトレーニングを重ね、モデルを理解している選手を増やし、クラブチームのようなプレーをするよりも、リーグでしっかりとパフォーマンスを見せて結果を出すことと、AFCやW杯といったターゲットで戦うであろう選手との兼ね合いの両方を見て選考するという流れです。

ですから、モデルの理解があることがメリットなのではなく、クオリティがある選手をどう生かすか。とある相手に対して、どんな戦いが有効かを複合に見て選んで、トレーニングを進めていきます。

攻撃から始めたのは、私のスタイルとして、チームが変わっても同じように攻撃からの構築を進めています。守備をおそろかにするのではなく、チームを構築する手法として、多くの監督が守備から入りますが、自分は攻撃から入るスタイルだという違いです。

世界をみて、アジアとそれ以外、例えばW杯の対戦相手とは切り分けて考え、一番近いエリアがアジアとなります。まずは東アジアの予選とAFCがあります。そこでは引いている相手に我々がボールを持つ時間が長くなりますけど、相手が守備を固めてくるチームがある一方で、世界では逆になるという経験を、実体験として持っています。

いずれにせよ、ボールを持つ時間を長くして、世界でも自信を持って相手コートでプレーしていくことは不可欠だと思っています。そうしたことで今回は攻撃から入りました。

──大阪を4年間率いた監督時代は「日本人のフットサルを見せる」と話していました。今回の代表チームの方向性として表現するなら、どんなフットサルでしょうか。

フットサルの4局面(攻撃、攻撃→守備、守備→攻撃、守備)において、いろんな方法のフットサルがあります。ただ、全体感でお伝えすると、多様性です。それは戦術もそうですし、自分たちのモデルをやり切ること以上に、どんな対戦相手にもしっかり対抗できること。時には引いて守る必要があればそれができるチーム。選手が入れ替わることで、モデルの浸透度の違いによってリズムが崩れてしまうのではなく、選手が代わったら、その選手に合った戦術を素早く取れること。ブラジルとやるときとアジアでやるときは、そもそも戦いの構図が変わりますから、そのときベストな戦術、戦略を取れる多様性。相手によって策を変えられることは、W杯でベスト8以上に入るために必要だと思っています。

──紅白戦では、片方のチームがピヴォを置かない[4-0]、もう一方は[3-1]のメンバーでスタートしました。紅白戦で選手に求めたこと、そして結果を受けて感じたことは?

選手に求めたのは、各クラブで見せている得意なプレーをどう出すか。そのアプローチは個人に対して、ポジションごと、出場するセットごとにタスクを話しました。

システムとして、ピヴォがいるとかいないとか、数字で言えば[3-1]や[4-0]などがない代表チームをつくっていこうと思っています。[3-1]だからこう、[4-0]だからこうとかではなく、つまり、配置ではなく、どう機能させるか。選手一人ひとりのいいところをどう流動的に機能させて、いい連係をしていくかを考えています。

紅白戦はもし明日、どこかの国と戦ったときにどういうものができるか、期待している結果を出せるかを考えているのでゲームモデルの浸透度を測る観点では見ていません。こちらの要求、一人ひとりのタスクが実行できているかを見ています。

ですから、1対1が得意な選手であれば、何回その場面をつくれて、しかもただの1対1ではなく、具体的にどのようなポジショニングを取っていて、そこからの動き出しやタイミングはどうだったか、それらを理解して実行できていたか、そのプレーが実際に効果的だったのか。配置としてのシステムではなく、機能しているかどうかです。この先もそれは、トレーニングキャンプや親善試合、大会のたびに変わっていくものです。

私自身が持っているアイデアやコンセプトはあります。ただモデルにしばられ、選手がそれを覚えたり、理解することに必死になるのではなく、選手が自立し、決断できること。

そうやって選手が判断・決断したプレーの結果として、見ている人があたかも明確な法則性やモデルがあるように感じるようなチームをつくっていきたいと思っています。

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