どん底からFの頂へ。大分・V字回復のキーマンは3季ぶりに帰ってきた闘将と活動休止から復活したエース。
PHOTO BY軍記ひろし
2位で行くプレーオフには興味がない
「内容はそうですね……。プレーオフ、優勝を目指すことを考えると、課題しかないと感じていました。ただ結果を出しながら修正、変化していけるのはプラスだと思うし、そういうチームが優勝争いをしていくと思う。とにかく、内容は二の次で結果を出して、その後に質を高めていきたい」
第1節の立川・府中アスレティックFC戦後に、仁部屋はそう振り返った。1週間前のリーグカップ戦で3-6と敗れた相手と再戦して勝利したことへの満足はなかったが、一方で、自身のなかにある手応えも実感しているようだった。仁部屋が「全員がバサジィのために試合できている」と付け加えたが、大分の選手たちは、ピッチ上で迷いを見せることが極端に少ない。
攻撃では「縦に速く」、守備では「失点しない」。それが大分のコンセプトであり、勝利に対して最短ルートを提示する伊藤監督の信条でもある。今シーズンの彼らは、特にそこが明確なのだ。
伊藤監督が「正直に言うと、まだどういう戦いをするか模索している」と話していた第1節も、第2節も、レイチ、小門、芝野というピヴォをベースに(ほぼ)3セットを組んで、試合中盤以降はセットを様々に組み替えながら、すべての選手が同じくらいのプレー時間のなかで戦い切っていた。
ケガ人などの影響で全員がそろった試合はリーグカップ戦が初めてだったからこそ、組み合わせやバリエーションを見極める意味もあっただろう。しかし、プレー強度が高く、選手交代が不可欠なフットサルの競技特性を考えれば、より多くのメンバーが“短時間集中”で力を出し切って戦えることは、何よりも大きなメリットであることは言うまでもない。
チームには戦略、戦術があるものの、2セット未満で戦う場合の最大の理由は、その構成がチームの最大値を出せるから。逆に言えば、残りの選手を含めた全員のレベルが最高水準に達していないということでもある。
つまり大分は、3セットの全員が、最後まで最高水準のプレーを出せる実力と体力、精神力を兼ね備えたメンバーだということがわかる。逆転勝利を収めた第2節のすみだ戦も、第3節の名古屋戦も、大分はベンチ入りしたメンバーのうち、ゴレイロを除くフィールドプレーヤー全員がピッチでフル稼働していた。
選手も監督も「完成度はまだまだ。課題ばかり」と話すように、まだ3試合を終えたばかり。この先、大分が勝ち続けられるとは限らない。しかし、彼らの強さは、確実に「これまで以上」だ。
「正直、2位でプレーオフに行くことは興味がない。リーグ1位でプレーオフを迎えたい。僕たちにはそれができることを示して、引っ張っていけるチームにならないといけない」
残り30試合。「個人的には、リーグ優勝して、日本代表でもアジアで一番の選手になる」と意気込む仁部屋を筆頭に、キーマンがそろう大分は、今シーズンこそ“過去”を超えられるか。
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