更新日時:2022.09.20
【日本代表/国内合宿取材】先発出場は1試合のみ。代表初招集の井戸孔晟は「驚いた反面、呼ばれている意味は分かっていた」
PHOTO BY高橋学
フットサル日本代表は、5日から高円宮記念JFA夢フィールドでトレーニングキャンプを実施。15日と18日に行われるブラジル代表との国際親善試合へ向けて調整している。
今回、代表に招集されたGKはベテランの黒本ギレルメとピレス・イゴール、若手の井戸孔晟だった。黒本とイゴールは所属クラブで絶対的守護神として活躍し、勝利に貢献してきている。一方、Y.S.C.C.横浜で今シーズンからプレーしている井戸は、3試合の出場のみ。そのうち先発は一度のみで、矢澤大夢がほとんどの試合で出場機会を得ているという状況だ。
少ない出場機会ながらも代表に初めて招集されたことに対し、自分自身はどのように受け止めているのか。そしてこの代表活動をどんなものにしたいと考えているのか。8日、練習4日目を終えた井戸が取材に応じた。
取材=本田好伸
編集=舞野隼大
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アンダー代表の時から足元を意識している
──日本代表のトレーニングキャンプが行われて、4日目が終わりました。ここまでを振り返っていかがですか?
初日に比べて緊張感が薄れてきたのですが、慣れてきたところで今日みたいに一つのミスでだんだん崩れてしまって、結果良くない方向に転んでしまう。それがアンダー代表とA代表の違いだと、ハッキリ分かりました。
──初のA代表選出となりましたが、驚きの声も多かったのではないかと思います。自分自身としてはどんな心境ですか?
(8月21日の第7節)ボアルース長野戦では体調を崩していたこともあってメンバーに入れず、「厳しいだろうな」と思っていました。その次のエスポラーダ北海道戦は気持ちを切り替えてメンバーに入って、途中出場でしたができることをやりました。自分としてはそこでいいプレーができたつもりでしたけど、選ばれる可能性は低いと思っていました。
──GKのなかではどうしても序列があると思いますが、それを一つ飛び越えて選出された印象があります。実際に代表から声がかかってどんな心境でしたか?
呼ばれた時は正直、驚きでしたけど、その反面、自分が呼ばれている意味は分かっていたので、それをこの練習で出せたらいいなと思いながら過ごしています。
──自分が呼ばれている意味とは?
ベテラン2人、若手1人という選出だったので、今後の世代交代を踏まえ、経験という意味で呼ばれていると思っています。
──木暮監督からはどんな部分を期待されていたり、発揮してほしいと言われていますか?
アンダー世代の国際試合から意識しているのは、足元ですね。そこをクラブの方でもある程度の決まりごとに添いながらやっていて、期待されていることは、ここまでできていると思います。
──トレーニングを見ていても、必ず足元でコントロールでいるように見えました。
今まではピヴォに全部当てたり、投げたりというのが主流だったと思いますけど、最近はブラジルの試合とかを見ても分かるように、GKも含めた5人の攻撃が主流になってきています。GKのミス一つで流れが変わって負けてしまうことがあるので、そこを正確にできるようにキーパー練習から足元の技術を高めて、自分がミスをしても下がってシュートストップをするという意味が込められた練習になると思います。
──リスクが伴いつつも、それだけメリットもある?
そうですね。GK一人が攻撃に加わることでパワープレーみたいになるので、取られればカウンターで失点しますし、クロ(黒本)やイゴールが見せたパス一つで決定機につなげられるメリットがあると思います。
──井戸選手が足元を意識するようになったのはいつからですか?
自分的には足元が得意という意識はなかったので、去年12月に行われたU-20代表のトレーニングキャンプが終わったあと、当時所属していたデルミリオーレクラウド群馬で少しずつ足元の技術を取り入れるようにしました。そして横浜に移籍してからはさらに意識して取り入れるようにしました。
──鳥丸太作監督からも意識するよう言われているのでしょうか?
横浜はそこまでGKが上がる方ではないですが、最近はちょっとずつ取り入れています。この前、途中出場した北海道戦は自分が攻撃参加しながら流れを変えてほしいという意味もあってピッチに立ったので、鳥丸さんからもそういうことは言われてますね。
──今日の練習は、ハーフコートゲームもありましたが、30m×20mという狭いスペースで強度も高いなかですぐに判断して正確にプレーするというのは、相当難しいと思いますが。
目で追うのが精一杯なくらい速いですね。そういうレベルにどんどん慣れていかないと、世界はそれ以上に強度が高いと思いますし、そういうところへ登るのは難しくなると思います。
──このトレーニングキャンプは、この先のブラジル戦やAFCフットサルアジアカップにつながっていくものだと思います。井戸選手としてはどんな目的を持ってこの先、臨んでいきたいですか?
言い訳になってしまいますけど、経験豊富なGKが2人いるので、GKとして習ってきたものがまだまだ浅い部分があります。そういうところは、経験ある選手からいろいろなものを吸収しながらも、受け身にならないで自分のストロングポイントを出して、チームがよりいい結果を出せるようなパフォーマンスを出せたらいいなと思います。
──もしもブラジル戦に出場した場合、どんなプレーをしたいと考えていますか?
特別なことをやれるわけではないので、今求められている足元の技術をできる範囲でやって、チームのコンセプトに沿いながらプレーしていきたいと思っています。今は三番手のGKみたいな立場になっていますけど、いつ出番が回ってくるか分からないので、準備しながら取り組んでいきたいです。
──横浜でチームメートの矢澤大夢選手もこの舞台を目指していたと思うのですが、代表に選ばれて、矢澤選手とは何か話しましたか?
選ばれてからは話してないですね。自分的には、上手い選手に対して受け身になるとか、試合に出ている選手の手伝いをするというのは好きじゃなく、自分は自分でやれることをやっているつもりです。
──そこはあくまでも対等に勝負をしている感覚。
そうですね。そこで、分からないことに関しては変なプライドは捨てて聞きにいく。試合で失点してしまえばお互い話し合うという関係でいます。
──そもそも、井戸選手がフットサルに出会ったのはいつからだったのでしょうか?
サッカーをずっとプレーしていたのですが、小学4年の時に練習場が変わって、フットサルコートになったのですが、その時からフットサルの大会に出ることが多くなって、そこから両立する形で高校までプレーしていました。
──元々フィールドもプレーされていたのでしょうか?
小学1年生から3年生まではフィールドをやっていましたけど、下手でGKに回ったみたいな感じでした。
──そこからずっとGKを?
そうですね。小学4年生から始めたのですが、GKとしてちゃんと習うようになったのは高校2年の夏ですね。バルドラール浦安の北野徹さんがクラウドのGKコーチもしてくれたので、いろいろ教わっていたのですが高校3年の春に急に亡くなられてしまって、高校3年から大学に入るまでの期間はまた独学でやってきていました。その後、日本代表のGKキャンプやU-20代表の活動を経て今に至ります。ですが独学にも限界があるので、内山(慶太郎)さんや北野さんに出会えたことは自分にとって大きなものになっています。
──独学はなかなか簡単ではないと思いますが、どのように勉強していたのでしょうか?
今でもやっていることなんですが、自分のやり方は、自分のスタイルに合った上手い選手のプレーを見ながら「自分だったらここはこうするな」とか、試合でミスをした時は「このGKはこうしているから、次はこうやってみよう」と照らし合わせていました。あとは、試合前にも上手い選手を見て、「練習でこれができるならやってみよう」と自分に合ったプレースタイルをいかに早く見つけ出すと上手くいくんじゃないかなと思います。
──ちなみに、誰を参考にしているのでしょうか?
今のプレースタイルと合っている選手は、バルサのディダクですね。セービングやブロッキングもちゃんとできるし、持ち出しもできるオールマイティな選手なので、自分はそういう選手を見ています。そのなかで自分にあってその選手ないものもあるので、そこはギッタとかを見たりもしています。それが今は黒本とイゴールですね。いいとこ取りをするのが、上手くなる近道だと思っています。
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