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作成日時:2023.01.27
更新日時:2023.01.27

清水和也はなぜ、日本に復帰したのか?スペインでの大活躍からFリーグへの復帰……アジアカップ優勝を成し遂げた怒涛の半年間

PHOTO BY高橋学、勝又寛晃

今シーズンのFリーグにおける大きなトピックの一つはこれだ。

「日本代表のエース・清水和也がすみだに復帰」

リーグ開幕前、所属していたスペインのクラブからの退団が発表された際に、すみだファンのみならず、フットサルファンの多くが、4年ぶりとなる日本復帰を予感しただろう。

一方で、Fリーグ開幕直後に改めてすみだへの復帰が決まると、「まだまだスペインでやれるのでは?」と感じた人もいたに違いない。復帰を祝う声と惜しむ声、両方の声があった。

世界的ビッグクラブの一つ、バルセロナから2ゴールを決めた日本人ストライカーは、昨シーズンのリーグ戦で16得点を挙げるなど、スペインリーグで大きな存在感を放っていたからだ。現在、25歳。成長曲線が上昇カーブを描き続けているなかで、世界最高峰のリーグにおいてどこまで高みを目指せるのか、さらなる飛躍を期待した人も多かっただろう。

清水は、日本復帰という決断を下した。

そして、日本のエースとして臨んだアジアカップでは苦しみながらも自身初となる優勝のタイトルを獲得。

怒涛の半年間を過ごし、改めて今、移籍の真相とこれからのビジョンを語った。

※インタビューは7月25日と11月15日に実施

インタビュー・編集=渡邉知晃、本田好伸

【日本代表のスーパーゴール】フウガドールすみだ 清水和也

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スペイン大活躍に至るまでの苦悩

──スペインにはもともと期限付き移籍でしたよね?

そうです。3年間の期限付き移籍でした。

──行く前から3年間と決まっていたのですか?

はい。エルポソ・ムルシアとの契約が3年だったので、レンタル移籍という形で出ました。エルポソからコルドバには2年目の途中に移籍したので、エルポソには結果的に1年半の在籍になりましたね。

──コルドバへの移籍は、保有権はどこに? 完全移籍ですか?

規定上、二重レンタルはできないので、エルポソの保有権を切って、フウガとコルドバとの間でレンタル移籍を再契約しました。

──出場機会を求めた。

エルポソに加入して2カ月くらいでトップの練習に参加し始めて、トップにケガ人が出た時は公式戦にも帯同しましたが、出場機会はなかなか得られませんでした。

それでも2部ではエルポソBが7位という(中位以上の)順位になったり、チーム内で得点王になったりしたことで、(評価されて)トップ昇格もあるかなと思ったのですが、次のシーズンもBチームスタートでした。

──トップチームからの評価は変わらなかったのですか?

2年目はトップの練習に参加して、試合にも帯同していましたし、可能性はあると感じていましたが、登録はエルポソBのままでした。しかも、トップに帯同しているので、Bの試合にはあまり出られない。試合に出られない環境が自分にとってプラスではないと感じて、代理人に「冬の市場で1部のチームに移籍したい」と話して、移籍が実現しました。

──エルポソに1年半在籍していたということは、コルドバとは1年半契約?

冬の市場での移籍なので、「シーズンの残り半年+オプションで1年」という契約でした。エルポソとトータルすると3年間。ただ、コルドバに移籍した年に新型コロナウイルスがスペインで大流行してしまい、冬の移籍後に3試合しか出られずにリーグ戦が終わってしまい不完全燃焼だったので、オプションを使って1年間延長したという形です。

──でも、結果的にさらにもう1年いましたよね?

スペインに移籍して3年目のシーズンが始まってすぐに、コルドバからプラス2年の契約をしてほしいという話をもらいました。それで、須賀さん(雄大/当時すみだ監督)にもう1年残りたいという話をして、再度コルドバとのレンタルを延長しました。

──なるほど。コルドバとはプラスで2年契約を結んだのですか?

いえ、コルドバには1年契約+もう1年のオプションを要求しました。

──でも、4シーズン目が終わった後、オプションを行使せずにフウガに復帰しました。

そうです。

──清水選手がコルドバであまり活躍していなければ、日本のファンも「試合に出たいんだろう」と思いますけど、年間16ゴールも挙げていたなかで復帰しました。もったいないとか、まだやれるという意見もたくさんあるなかで、どうして帰ってくる決断をしたのですか?

もともとフウガドールすみだからの期限付き移籍という形だったので、フウガとは常にコミュニケーションをとっていました。復帰に向けてのオファーがあったというのも大きな理由ですし、日本代表活動への参加がしやすくなるというのもポイントでした。海外にいると代表へ招集はされるものの、シーズン途中ということであれば所属クラブとのスケジュール・自身の体調のコンディションの調整も必要になります。日本にいれば、シーズン途中での招集というのはありませんし、クラブとの調整もスムーズです。日本人として、日本代表活動に参加して、より多くの人に恩返しをしたいという気持ちが募っていたというのも、帰ってきた理由のひとつですかね。

後輩選手に伝えたいスペイン移籍のイロハ

──今後もスペインに移籍する選手がたくさん出てきてほしいですし、出てくると思いますが、清水選手が経験したからこそ伝えられることとか、難しさを教えてください。

一つは、言葉の壁は想像よりかなり難しく、シビアに考えたほうがいいということですね。エルポソBでは、スペイン語を話せないマイナスはありましたが結果を残したことでカバーできて、コミュニケーションが生まれました。ただ、カテゴリーが上がるにつれて、話せないなら使わないという監督もいます。言葉は重要視したほうがいいですね。

──どうすれば早く習得できますか?

ひたすらしゃべるしかないと思います。僕はまず、英語を話せる子を見つけて、わからなかったら英語で聞いて、スペイン語で教えてもらい、少しずつ単語を覚えました。質問する時の文法は決まっているのでそれを覚えて、あとは単語を当てはめていく。それと、週に2、3回はオンラインでスペイン語の授業を受けて、半年くらいである程度は言っていることを理解できるようになり、拙いスペイン語で味方に要求できるようになりました。

──そのほかに何か感じたことはありますか?

僕はスペイン2部からのスタートでした。最初から1部に行きたかったですが、簡単ではありませんでした。でも、振り返ると2部を経験できてよかった。なぜなら、1部で長年活躍してきた選手が2部にいたり、毎年しぶとく残留し続けているチームがいたり、1部から落ちてきたチームと戦えたり、さまざまな選手やチーム、シチュエーションで戦えたことがプラスになったからです。2部で結果を出すことで1部のチームに目をつけてもらえるので、2部で1年間プレーできたことは自分にとってはすごくよかったと思います。

──そもそも、スペインに挑戦するためにはどうしたらいいですか?

スペインでプレーした歴代の選手のほとんどが代理人と契約しています。日本だと代理人文化があまりないですよね。海外移籍の取りまとめや生活のアテンドをしてくれるので、スペインでプレーしたいなら、まずは代理人を見つけることが大事だと思います。

──清水選手の場合は、代理人をどうやって見つけましたか?

僕は須賀さん経由ですね。Fリーグの各クラブも外国人選手を獲得した経験があれば、代理人の連絡先を知っているはずです。僕も当時、須賀さんに自分の思いを伝えた際に紹介してもらいました。それが、スペインでは大手の「プロネオスポーツ」です。智貴(吉川)くん、フィウーザ、アルトゥール、名古屋オーシャンズの歴代の監督はだいたいプロネオ所属ですね。

──プロネオは有名ですよね。

日本人の方も働いているので、面談して、自分の夢なども話をして、代理人契約を結んでもらいました。当然、代理人もビジネスですから、自分たちのプラスになるかどうか、それに熱量を見ています。日本での結果だけではなく、人間性も一緒に見られている印象です。

清水が痛感したスペインと日本の違いとは?

──4年ぶりにFリーグに復帰してここまでどう感じていますか?

よりスピーディーな展開が多くなった印象です。選手のアジリティ能力が高いので、適応に時間が必要だと感じています。スペインでやっていた部分のコネクションにもズレが出てきてしまっているので、アジャストしていかないといけないとすごく思っています。

──味方とのイメージの共有も難しさがありますか?

技術的なエラーは自分のミスですけど、今は意図的なエラー、意味があるエラーが多いですね。例えば、飛ばしのパスでもDFがかなりへこんでいる(自陣側にいる)のに、サポートを後ろに取る選手がいて、自分はもっとゴールに近い位置に出したいけど、そこに出すとパスミスになる。コルドバでもエゴイストというか、主張が強い選手たちとプレーしてきました。「こういう時はここにパスをくれ!」という要求が常にあります。だからフウガでは、変な意味で仲間に気を使わせてしまっているなと、最初は感じました。

──チームメイトもリスペクトがあるからこそ、清水選手に合わせてしまう。

そうです。あとはセットのメンバーが若いですし、プレー経験が多くはない分、疑問を持ちながらやっていることがあり、うまくいかない時にペースが乱れる。そこの擦り合わせと、困ったら前に当てればなんとかしてくれると思ってもらえるプレーが、次の課題です。

──スペインにいた時よりも体重を落としていると聞きましたが。

日本はアグレッシブで、無理にでも前カットしようとするフィクソが多い印象です。その分、入れ替われる可能性も感じていますが、スペインより試合展開がスピーディーなので、もう少し機敏に動けるように体重を落とさないと、日本では対応できないなと感じています。

──スペインはどっしり構えてキープするけど、日本はスピードに対処する必要がある。

そうです。日本には重量級のフィクソがいないですが、スペインには80kg以上のフィクソがいます。僕は今82kgなのでスペインでは対等でしたが、日本では70kgくらいのフィクソが前を取ってくるのであれば、それに対応する必要があります。

──スペインのこういうところが日本にもあったらいいなということはありますか?

そうですね……圧倒的に試合数かな、と。例えば強豪のバルセロナなどは年間60試合をこなします。リーグでだいたい30試合、それにチャンピオンズリーグや国内カップ戦など。僕のいたコルドバでさえ、年間40数試合はしています。現在の日本だと、多くても年間30試合くらいですよね。カップ戦の多くが、4回勝てば優勝とか。コルドバというスペインの中堅クラブよりも試合ができていないので、圧倒的に試合数が足りないとは思います。

──なるほど。

スペインに4シーズンいましたが、正直、練習でうまくなった感覚はありません。公式戦の「やるか、やられるか」のスリリングな戦いや、「何ができて、何ができなかった」という経験値はやはり試合でしか得られないですし、試合が自分を成長させてくれました。なので、日本でも試合数が増えてほしいなという思いはあります。

──他に、スペインで感じたことはあります?

文化の違いですかね。スペインで僕は、めちゃくちゃ暇でした(笑)。練習以外の時間がすごくある。その分いろいろと考えることができるし、フットサルに集中できる。フットサルに対して、選手もそうですし、お客さんもそうですけど、1試合に対してすごく楽しみにしているんです。バルに行けば、地元のファンに、「来週勝たなかったらどうしてくれるんだ」と言われるくらい、彼らの生活の一部になっています。日本は恵まれた環境で娯楽も多い分、スポーツやフットサルを見る層が減ってきてしまっています。答えは見つかっていませんが、スペインのようにフットサルが生活の一部になるようにしていきたいですよね。

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