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作成日時:2026.10.27
更新日時:2026.10.28

「僕みたいな選手でもできるところを見せたい」ボルクGM・花嶋悠、Fリーグ引退後に挑んだ全国選抜大会【サルビト #1】

PHOTO BY日本フットサル連盟

日本フットサル連盟とSALのコラボ企画「サルビト」。全国各地でフットサルに関わる人々にスポットを当て、その人生とフットサルとのつながりを掘り下げていく。

第1回に登場するのは、ボルクバレット北九州でGMを務める花嶋悠だ。

Fリーグの第一線から退いて3年。現在はチーム強化だけでなく、クラブ運営や地域・行政との連携、事業面まで担い、サテライトチームのボルクセカンドでは監督を務めながら、自身も選手登録してピッチに立つこともある。

そんな花嶋は2026年9月、福岡県選抜の一員として初めて全国選抜フットサル大会に出場した。

クラブの仕事をこなしながら、深夜に行われる選抜チームの活動にも参加。大会期間中にはトップチームが戦うFリーグの試合のために一度、北九州へ戻り、再び大会が行われている高知の会場へ。準決勝、決勝のピッチに立ち、福岡県選抜の日本一に貢献した。

なぜ、そこまでして花嶋はボールを蹴り続けるのか。そこには、福岡のため、九州のため、そしてフットサルのためという、現在の花嶋だからこその理由があった。

取材=本田好伸

企画・構成=北健一郎

初めて全国選抜大会に出場した理由

──花嶋さんは古巣のボルクバレット北九州でGMを務めながら、ボルクセカンド(サテライトチーム)では選手兼監督としてプレーも続けています。

はい。試合に出るのは本当にちょっとだけです。今は福岡県リーグ1部で、強化を考えたら毎年昇格していかないといけないので、負けそうだったら出ます(笑)。

──「俺が行く」と。

終盤のパワープレーや、ゲームをコントロールするところで出る感じですね。相手のスカウティングをして、「この試合は出ておいたほうがいいな」と思ったら出ることもあります。大崩れしないような試合展開にする役割です。

──GMとしての仕事もあって、サテライトチームの指導もしてとなると、トレーニングをする時間はあるんですか?

全くできていないです。そこがしんどいですね。

──引退から3年が経って、体の感覚も現役時代とは違いますか?

違いますね。悲しいですよ(笑)。現役の時もすごくうまかったわけじゃないですけど、自分として納得できるようなプレーはできていません。

──そんななかで、今年は福岡県選抜として全国選抜にも出場しました。何回目になりますか?

初めてです。

──なぜ出ようと思ったんですか?

まず、福岡県選抜の監督をされていた阿部(晋士)さんが今、ボルクのコーチをしてくださっていて、そのつながりでオファーをいただきました。

それともう一つ、これはGMとして感じていたことですけど、今のボルクには福岡県出身の選手がほとんどいないんです。九州出身まで広げても多くありません。

九州のクラブとしてそれでいいのかという思いがあって。福岡のレベルアップもそうですし、九州の選手たちとのコネクションをつくることもそうです。九州のフットサルを発展させないといけない。そのために自分が選抜に入る意味もあるのかなと思いました。

日本一を福岡にもって帰りたかった

──福岡県選抜としての活動はどのぐらいやっていたんですか?

1カ月半くらい前からで、週1回程度。めちゃめちゃしんどかったです(笑)。

──GMの仕事をしながらですよね。

時間も遅いですからね。地域リーグあるあるだと思いますけど、クラブの活動が終わった後に選抜の練習があって、日付をまたぐこともありました。久しぶりでしたね。

──大会期間中はどうしていたんですか?

途中でFリーグの試合があったので、一回、帰りました。

──え? 大会会場の高知から北九州へ戻って、また戻った?

はい。1試合してすぐ帰って、また戻りました。だいぶしんどかったですよ(笑)。

──準決勝、決勝に出場して、日本一になりました。改めて、初めて出場した全国選抜はどうでしたか?

本当にうれしかったですね。アマチュアとして日本一じゃないですか。それを福岡にもって帰ることが一つの目標だったので、達成できてすごくうれしかったです。

──福岡県選抜は若い選手も多かったですよね。

ほぼ若手です。その選手たちがああいう舞台で結果を残せたことも、必ず今後に生きてくると思います。すごく意義のある大会を過ごせたと思っています。

“僕みたいな選手”でもできるところを

──実際、花嶋さんのプレーには、元Fリーガーとしての存在感を感じました。

僕みたいな選手でもできるところを見せたい、というのはありました。

──「僕みたいな」というのは?

自分は、いわゆる“パンチのある元Fリーガー”ではないと思っています。元日本代表や、レジェンドと呼ばれるような輝かしい功績をピッチに刻んだわけではありません。だからこそ、そこで何をできるかがすごく大事。自分が価値を示すことができれば、Fリーグの価値を高めることもできるんじゃないかなって。

──Fリーグでプレーしてきた選手としての価値を示す。

必ずしも「選手としての価値」という意味だけではありません。もちろん、僕のプレーを見た若い選手が「Fリーグを目指したい」と思ってくれたら、それもすごくうれしいことです。でも、競技を続けながらクラブの運営に携わり、選手としてだけでなく、フットサルのためにできることに取り組む姿を示したいな、と。

僕は、Fリーグで戦い、懸命に走ってきた一人の選手として、第一線から退いても変わらずに、あるいはそれ以上にフットサルと関われる将来がある可能性を見せたい。自分がピッチに立つのは、そういう姿が少しでも伝わればいいなという想いも理由です。

──Fリーグを引退された時は、選手としてやり切ったという感覚だったんですか?

引退自体は、最後のシーズン(2023-2024シーズン)が始まる前から決めていました。選手である以上は、日本代表に関わりたいという目標をもってやっていました。でも年齢のこともあるし、自分のエゴだけではどうにもならない。世界で戦うことを考えたら、若い選手がそこに入っていったほうがいい。いろいろ考えた上で引退を決めました。

──引退後も、フットサルから離れようとは思わなかった?

フットサルの発展には関わっていきたいという思いはずっとありました。最初は一度、違う業界に進んでみて、外からフットサルを支えることも考えていたんです。スポンサーになるとか、そういう立場ですね。

──そこからなぜ、北九州のGMになったのでしょう?

そもそも、GMという仕事が目的だったわけではありません。GMになりたかったというよりも、フットサルのために何かをしたいという気持ちがありました。そんな時に、ボルクからクラブ・リレーションズ・オフィサー(CRO)というお話をいただき、その役割に挑戦させていただいた1年間を経て、GM職に就かせてもらいました。

自分に与えてもらった役割を果たしながら、フットサルの発展に少しでも貢献できるような姿を示すことができたら願ってもないことだと思い、チャレンジさせてもらっています。GMは、それ自体が目的ではなく、今、自分が関われる役割の一つだと感じています。

ボルクにはすごく可能性がある

──全国選抜で福岡の若い選手たちと一緒に戦った経験は、GMとしても大きかったですか?

大きいと思います。地域には本当におもしろい選手がいます。フットサルをすごく理解していたりする選手もいる。もちろんFリーグで戦っていくためには、アスリート能力や、他にも求められるものはたくさんありますが、トップカテゴリーへ導けるような環境をつくることも必要だと思っています。

──花嶋さんにとって、今は「GM」「監督」「選手」が全部つながっているんですね。

別のことをやっているようで、全部フットサルにつながっていますからね。

──Fリーグの選手としては引退しましたが、それでもボールを蹴り続けて、全国大会で日本一になりました。これからもプレーを続けますか?

やれる範囲で、ですね(笑)。ピッチの中でも、外でも、自分ができることはまだあると思っています。「フットサルの価値を高めたい」という想いはずっと変わらずにもっている気持ちです。福岡だったり九州だったり、ここからもっと良くしていきたい。自分がプレーすることも、そのためにできることの一つなのかなと思います。

──花嶋さんが九州にこだわる理由とは?

もちろん、お世話になったクラブで、地域だからということは大前提としてあります。そこでCROという役割をいただいた期間に、自分にできることややる意味を整理させてもらい、今、こうしてGMという役割をいただいています。最終的な想いは、あくまでもフットサルの社会的な価値を上げることです。ただ、その目標に対して、リーグや業界全体を、ボルクが引っ張っていけるようになりたいと思っています。

スポーツが子どもたちや社会に与える影響を出せるクラブとして、ボルクはすごく可能性があると思っています。それは、この地域で関わる人たちのパワーもそうですね。業界を変えていくためには、関東・関西中心だけでなく、九州から打破していかないといけないと思っています。九州のフットサルが発展することはもちろんですけど、この場所から、フットサルに関わる人たちの可能性を広げていけたらと思っています。

花嶋悠(はなしま・ゆう)
1991年6月15日生まれ、千葉県出身。大学卒業後の2012年にペスカドーラ町田アスピランチで競技フットサルを始め、府中アスレティックFCサテライトを経て、2017年にFリーグデビュー。その後、ボアルース長野、ボルクバレット北九州でプレーし、2023-2024シーズン限りで現役を引退した。引退後はボルクバレット北九州のCRO(クラブ・リレーションズ・オフィサー)を務め、2025-2026シーズンからGMに就任。現在はクラブ運営や強化、地域との連携などを担う一方、ボルクセカンドの指導にも携わり、自身も選手としてプレーを続けている。2026年には福岡県選抜の一員として全国フットサル選抜大会に初出場し、優勝を果たした。

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