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2019.06.12

どん底からFの頂へ。大分・V字回復のキーマンは3季ぶりに帰ってきた闘将と活動休止から復活したエース。

PHOTO BY軍記ひろし

「錦織圭がジョコビッチに勝った!」と聞いて、喜ぶ人はたくさんいても、「“世紀のサプライズ”だ!」と興奮する人はもう、いないだろう。それはもはや、十分に起こり得ることなのだ。

Fリーグ2019/2020 ディビジョン1 第3節で、名古屋オーシャンズをホームに迎えたバサジィ大分が、5-2で勝利。昨シーズンのレギュラーシーズンを無敗で突っ走った王者を、早くも撃破したのだ。大分は、2シーズン前に最下位に沈んだチーム。「波乱が起きた」と言われそうだが、この結果に驚きは少ない。今シーズンの大分は、優勝を狙えるチーム力を十分に備えているからだ。

3試合を終えて3連勝。大分はなぜ、強くなったのだろうか。

チームを鼓舞する“両極端な闘将”

端的に表現するならば、それは「戦う姿勢」ではないかと思う。いわゆる「気持ち」の部分であり、非常に抽象的なもののようだが、今の大分には、それを明確に感じ取ることができる。

「伊藤さんはもしかしたら、まだ我慢しているんじゃないかと思います。前のときはもっと熱かったですから(笑)。それを知っているから、僕ももっとやれる。最高の監督なんです」

チームの精神的支柱であり、エースの仁部屋和弘は、伊藤雅範監督に絶大な信頼を寄せている。

仁部屋といえば実は、日本国内で最も「戦う姿勢」を問われてきた選手である。大分の“秘蔵っ子”であり、日本代表で10番を背負いながらも、鬼気迫るようなプレーに欠けている、と。ただそれは、彼の物腰柔らかな性格がそう見せるだけであって、彼自身のなかにはいつでも闘争心があった。

「戦うって、いろんな“戦う”があると思います。声を出すとか、結果を出すとか、1対1で負けないとか。でもとにかく、勝てばいいと思っています。それは(日本代表の)ブルーノ監督にも言われてすごく腑に落ちたのですが、そういう部分では、僕にも強い気持ちがあると思っています」

伊藤監督と仁部屋。性格的には真逆のように見える2人だが、彼らには共通の“絵”が見えている。「勝つこと」。そこへ導くためのアプローチは異なるが、彼らは常に、熱く戦い続けている。

伊藤監督は「勝利に厳しい監督」を自認する指揮官であり、その本質がブレることはない。

第2節のフウガドールすみだ戦で、伊藤監督がベンチに向かって「盛り上がっていけ!」と声を荒げる場面があった。一般的に、トップチームの監督がそうやって選手を鼓舞するシーンを見るのは稀だ。「声を出せ!」、「気持ちを見せろ!」というのは、戦術を度外視するように見える側面もある。しかし伊藤監督のそれは、戦術を加速させるためのスパイスであり、選手のスイッチでもあるのだ。

そうやって背中を押された選手は、ピッチでハイパフォーマンスを披露する。

「伊藤さんはよく『点を取ってこい!』と言ってピッチに送り出すんです。それで『はい、いきます!』とやると、点を取れたりする。やるべきことをパッと伝えてくれるんです。伊藤さんのそういうところは本当にすごい。サポートというか、力を貸してもらっています」

今シーズン、3試合で3得点を挙げている仁部屋のプレーを見れば、伊藤監督に送り出されて“ノッている”ときがよくわかる。第3節の名古屋戦でも、右サイドで股抜きのドリブル突破から数的有利を作り出し、味方に預けたボールの折り返しを決めて、3-2と勝ち越す決勝弾をもたらした。

昨シーズン開幕前の5月、「家庭の事情」を理由に活動休止。4カ月後に復帰してからトップフォームを崩していたが、伊藤監督が「(復帰して)最初に見たときは素人かと思った」という面影はもうない。

決して万全ではないが、伊藤監督の魂が宿るように、心技体のすべてで、再びエースとして君臨している。

監督と選手が織りなす強固なメンタリティ。それこそが、大分の強さの理由だろう。

【次ページ】優勝する未来へと突き進むチームづくり

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