更新日時:2026.08.20
【日本女子代表】女子フットサルの正統後継者、高尾茜利。“メンバー落選”から這い上がる、27歳の悟り「負けを認めてからすごく良くなった」

PHOTO BY本田好伸
フットサル日本女子代表は、8月5日から8月9日にかけて国内トレーニングキャンプを実施。2025年12月のFIFAフットサル女子ワールドカップを終え、須賀雄大監督が退任し、今年5月に上久保仁貴監督、加藤正美コーチの就任を発表した。
新チームへと移行して最初となる今回の活動には19名が選出。高尾茜利は、2023年以来、約3年ぶりの招集となった。2016年当時、福井丸岡ラックで女子Fリーグにデビューし、今年6月には史上初となる100試合出場を達成するなど、現役選手で最もキャリアを重ねてきた一人である高尾は、“代表の常連”でもあった。
しかし、2024年以降はメンバーから遠ざかり、2025年のアジアカップ、ワールドカップを戦うことができなかった。時代を担ってきた選手として、高尾は何を想い、そしてこの先、どんな未来を描くのか。
5日に行われた合宿初日に話を聞いた。
取材・文=本田好伸
もっともっと自分はできると信じている

──新チームになって、どんな気持ちで活動に参加されていますか?
以前は代表にコンスタントに選ばれていましたが、ワールドカップの前から離れてしまい、苦しい時期を過ごしていました。なので、ここに戻ってこられたことがまずはすごくうれしいです。ただ、代表活動に戻ってくることだけが目的ではないので、ここでしっかりと結果を残していきたい、残さないといけないという気持ちです。
──本当にいろんな思いがあったのではないかと思います。昨年、代表チームがアジアカップやワールドカップを戦っていた姿を見ていたことは、高尾さんにとってどのような期間だったのでしょうか。
もちろん、まずはチームの活動がベースにあるので、そこが大事です。でも、やっぱり外れてしまっていることを考えてしまう。すごくシビアな世界ですよね。あの子に抜かれたとか、すごくわかりやすいですから。ただ、それを気にしてしまうと、チームにも、普段の自分のプレーにも影響してしまうので、なるべく気にしないようにしようと思っていても、それでも気にしちゃうというような。高校生の頃からずっと代表にいたので、自分がいない代表チームを見ていることはすごく苦しい想いがありました。
──そういう想いがありながらも、今、ピッチで見せているパフォーマンスはギアがかなり上がっている印象です。何か高尾選手の中で変化があったのでしょうか?
私は、W杯に出たいという想い思いがあって、移籍もして、そこから4年間チャレンジしてきました。でも、そこで選ばれなかった時に、自分の価値が落ちたんじゃないか、必要ないんじゃないかという葛藤もありました。それでも、やっぱり選ばれるためにやりたいという気持ちもありますし、すごく外ばかりを見てしまっていました。そこから、いざW杯のメンバーが確定した時に、自分はそこにいる選手じゃないというか、“負けを認めた”というか。そのタイミングから自分的にはすごく良くなっていったように思います。
どうしても気にしてしまうからこそ、自分では気にしていないつもりでしたけど、やっぱり、すごく気にしていたんだなって。この言い方が合っているかはわからないですけど、解放されたような感じでした。ここからまた新しいチャレンジが始まるんだと、気持ち的に次へと進めたことでパフォーマンスが良くなったのかなと思います。

──選手にとって、心技体が整わないと、本当に戦うことは簡単ではないというか。
そうですね。代表に選ばれていた時から比べても、自分の武器がなくなったり、技術が落ちてしまったりしたわけではないのに、メンタル面でこんなにもパフォーマンスに差が出てしまうのは自分のすごく弱い部分だと思います。トップで戦う選手たちはそういうところを自分で整えられるものだと感じていますし、自分の弱いところというか、まだまだ成長しないといけないところというか、もっと成長できる部分だなと思っています。
──今シーズンのパフォーマンスをご自身ではどのように感じていますか?
個人的にはまだまだやれると思っています。ベースの部分は少しずつ上がっていると感じていますが、代表に残るためにはもっと圧倒的なもの、飛び抜けたものがないといけません。もっともっと自分はできると信じているので、自分の期待を裏切らないようにさらに上げていきたいです。
──新チームはメンバーも変わり、監督も交代しましたがどんな雰囲気ですか?
私はいろんな時代の代表チームを見てきていますが、すごく若い選手も入ってきて、明るいですよね。上久保(仁貴)監督もオン・オフがはっきりしているので、活動が少ない分、ピッチ内外でコミュニケーションを取って、いい雰囲気で活動できたらなと思います。

──高尾選手にとっては、クラブと代表で同じ監督というのはどんな印象ですか?
いや、めちゃくちゃ難しいです(苦笑)。
──難しい?
暗黙のルールというわけではないのですが、普段は代表のことに関して全く話さないので。でも、ここにくると(いつもの監督が)いるという(笑)。やっぱり難しいですよね。でも、線を引いてやれているとは思います。
──先ほど「飛び抜けたものがないといけない」と話していましたが、何を意識していますか?
自分はもう、スピードです。自分の100%を出せれば、スピードは本当に誰にも負けない自信があるので、それをピッチで出せるように。正直、自信をなくして、自信があったはずの自分の武器が何かもわからないくらい迷子になってしまい、ピッチ上で出せなくなった時期があったので、そこを100%に戻したい。自分はゴールに向かっていく選手だと思っているので、自信をもって、スピードに乗ってゴールに向かう力を発揮していきたいです。
──これまでキャリアを踏まえても、高尾選手がこの先の代表チームを引っ張っていくという気持ちも?
それはあります。メンバー発表のリリースも(年齢順に上から並ぶので)すぐに名前があるじゃないですか。自分はこんなに上にきたんだって。ずっと下のほうに出ていたので、今度は自分が引っ張っていく番です。
プレーももちろんですが、自分はいろんな時代の先輩たちの想いを聞いてきたので、受け継がなければならないものも次の世代の選手たちに伝えていきたいですし、そういう役割が私にはあるのかなと思っています。

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