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2022.01.18

【日本代表/WEB取材】第一条件はリーグ戦のパフォーマンス。木暮賢一郎監督「清水、原田、東出は純粋な評価として呼ぶに値する選手たち」

PHOTO BY高橋学

フットサル日本代表は18日、高円宮記念JFA夢フィールドで2022年最初のトレーニングキャンプをスタート。30日までの12日間にわたって活動する。

新体制となって2回目となる今回、18日の始動前に、木暮賢一郎監督がオンライン取材に登場。国内長期キャンプの狙いや招集メンバーについて言及した。


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日本フットサルも、世界のスタンダードに近づいてきた

木暮賢一郎監督(フットサル日本代表)

──海外遠征を予定していたなかで、昨今の情勢を受けて国内での長期活動となりました。トレーニングマッチも3試合組まれていますが、今回のキャンプの狙いは?

前提として、ヨーロッパへ行って、国際親善試合を3〜5試合ほど予定していました。国際試合を戦いながらチームをつくるコンセプトを掲げていたので。こうした状況下で行けなくなったことでリプランニングしましたが、コンセプトは変えずにゲームありきでチームをつくっていくことから逆算した結果、この期間となりました。

ゲームも、1試合だけではなく、大会をシミュレーションしたいなと。そこも狙いは2つあります。一つは、大会への準備と、もう一つは、実際のゲームのシミュレーションです。

今回は、近々で戦うアジアのチームの特徴に似ている3チームを想定して決め、それに対して各クラブに協力してもらいました。この場を通して、リーグやクラブに感謝をお伝えします。傾向としては、外国人選手がいることや、フィジカル的なフィットネス強度、サイズが大きいといったことが対戦相手の要件に必要になり、それらを持っているチームです。中国などとフィジカルも近いことを意識して相手を選定しました。

──今回の合宿メンバーは、清水寛治と原田快、東出脩椰という、Fリーグでノっている選手がすぐに初招集されました(追加招集の山田凱斗も初招集)。その3人の評価と、このスピード感で選んだ理由を教えてください。

我々が考えている選考基準や、どんなセレクトをするかというと、まずはしっかりとリーグで結果を出していることです。そして、同等の力があれば、若い選手を積極的に招集していく。3選手とも、その基準を満たしています。

彼らは今シーズンの当初からワールドカップ前に注目を浴び、相手が警戒するパフォーマンスをしていた選手ではありません。ただし、中断期間やW杯中のトレーニングの成果などで出場機会を伸ばし、3人とも中盤戦以降、ゴールランキングに名を連ねたり、プレータイムを伸ばしたり、目に見える結果を残してきました。

東出は今シーズン13得点を挙げ、連続得点を含め、ラスト10試合で違いを見せました。清水も、W杯以降で8得点とゴールも増え、プレータイムを伸ばしています。原田も12月末のU-20日本代表キャンプに飛び級で招集しています。彼は、高橋健介コーチを含め、代表スタッフも直接指導している兼任のメリットもあります。

ペスカドーラ町田では、パワープレーという本来は経験のある選手が出る場面も任されていて、なおかつ、ゲームをつくる役割の後方でプレーできていることも評価できます。そういった理由から選出しています。

オフィシャルな大会がない時期に、試すために、もしくは意図的に育てて世代交代するために呼んでいるのではなく、リーグ戦でいいパフォーマンスを見せている、かつ同じレベルであれば若い選手を選ぶという基準です。純粋な評価として呼ぶに値する選手たちです。

──17歳でのA代表選出は、史上最速に近いレベルですよね。

以前、植松晃都ももう少し早い時期に代表入りしていましたね。

──とはいえ、この年代でA代表に絡んでくることは、これまでのように高校・大学までサッカーを続けてきた選手だと難しいと思います。この状況をどう感じていますか?

日本のフットサル界が正しい道を歩み、歴史を積み重ね、各クラブや日本代表を含め、育成に力を注ぎ、優れた指導者が増え、育成年代から指導できている状況があります。

Fリーグの育成組織だけではなく、街クラブでもフットサル専門に取り組んだり、サッカークラブがフットサルを取り入れたり、クラブや指導者の努力が積み重なって選手が育っていることは、日本のフットサル、フットボール全体で意義のあることです。

ようやく、日本フットサルも、世界のスタンダードに近づいてきた時代に突入している実感があり、育成年代からもいいニュースを発信できますね。

樋口岳志は今回ピヴォではなくフィクソで招集した

──木暮監督が就任してから招集選手のポジション表記が加わりました。前回、樋口岳志選手はピヴォとして呼ばれていて、今回はフィクソです。なぜでしょうか?

彼自身、ボルクバレット北九州でケガの選手などの状況もあって、フィクソをする機会が増えているということを、前回のキャンプでも認識しました。

前回はピヴォとしてのパフォーマンスを評価して招集しましたが、日本のフットサル界では、若くていいフィクソを意図的に育てる必要があることを感じています。日本が世界のベスト8以上に進んでいくためには、攻撃も守備もでき、サイズもあって、世界のピヴォに対抗できるようなフィクソが必要です。

そのことは私が現役時代から感じていましたが、攻撃・守備・サイズを兼ね備えたフィクソの輩出は、サッカーでも難しいことです。足元があり、守備も素晴らしく、サイズもある選手。今、サッカーではそうした選手も出てきていますが、骨格を含め、そうした選手を見つけるのは簡単ではありません。前回招集した高橋響などもそうですが、ポテンシャルのある選手には注目しています。

樋口については、ピヴォも、フィクソも可能性があります。それは、自分だけではなく、他のスタッフとも話した上で、チャンスがあるのではないか、というところです。ですから、フィクソとしてプレーしていない選手をコンバートしたわけではなく、理由はどうであれ、クラブでもそのポジションでプレーしている選手を呼んでいます。

流動的にポジションチェンジしていくなかで、前線ではピヴォとしてもプレーできることは、ゲームを構成するオプションになる可能性があります。

今回のメンバーでは、齋藤日向と倉科亮佑もアラ・フィクソからフィクソにしています。彼らはアラもできますし、樋口とは違うタイプです。追加招集で呼んだ山田凱斗もそういう系統の評価をしています。そのなかでサイズがあり、異なるタイプとして樋口を呼んでどこまでできるか。「フィクソ・ピヴォ」ではなく、ひとまず「フィクソ」と表記しています。

──高橋選手など、前回呼ばれながらも今回は選ばれていない選手もいます。多くの選手を呼びながらチームをつくっていく時期だと思いますし、あらゆる理由が考えられそうですが、今回呼ばれなかった選手についても教えてください。

理由は3つあります。

まずはリーグ戦が延期しているという日程面の理由です。フットサル界全体として、調整が難しいという背景がありますから、それも理由の一つです。高橋だけではなく、そういった事情が理由で呼んでいない選手もいます。

もう一つは、前回のキャンプで選手にも伝えましたが、我々はトレーニングのパフォーマンスを評価し、継続して呼んでいく代表ではなく、クラブで結果を出している選手を呼び、その選手が代表のゲームでどうだったかで選ばれていくチームということです。

前回のキャンプの評価は最終日の紅白戦だと伝えました。たまたま紅白戦でしたが、これは紅白戦ではないです、と。3日間のキャンプであっても、対戦相手がブラジルでも、スペインでも、イランでももちろん、チームとして戦い、勝利を目指す。そして個人としては、代表に残るためにパフォーマンスを発揮しないといけないと伝えました。

そして紅白戦のスコアは6-2でした。そうした事実も踏まえています。

もう一つ、前回も今回も呼ばれている選手は、自分のクラブでしっかりとパフォーマンスを上げてくれています。それがまさしく、全選手へのメッセージです。代表に選ばれるチャンスは、クラブにおけるリーグ戦やカップ戦のパフォーマンスにある、と。

ですからまず一番は、クラブで結果を出してほしい。次に、代表のゲームにおけるパフォーマンス。そこでいいプレーを出せれば次も呼ばれる可能性がありますし、よくなければ呼ばれないかもしれません。そして呼ばれなかったとしても、代表がどうあるべきかを理解していれば、次に呼ばれるようにまたクラブで努力してもらえればいい。そうすれば、またタイミングや時期も踏まえながら、呼ばれる可能性がありますから。

複数回呼ばれていても、パフォーマンスが落ちていたり、代表で効果的なプレーができなければ、安泰ではありません。すべての選手に、約束されたものがあるわけではない。我々の基準として、キャンプのトレーニングではなく、オフィシャルのゲームを非常に大事にしています。

日本フットサルの今の状況はあるべき姿の一つ

──木暮監督は、日本の指導者が種を巻いてきた成果が出て、若い選手が育ってきていると話していますが、高橋健介コーチや馬場源徳フィジカルコーチなど、海外の現場でも指導経験がある方や、前回のU-20代表における豊島明コーチ、佐藤亮フィジカルコーチなど、日本代表歴がある方がスタッフに入ってきていることをどう感じていますか?

正しいかどうかではなく個人的な意見としては、あるべき姿の一つだと思っています。

日本代表を経験し、その重みやアイデンティティを理解している人が、引退後に指導の道に進む。自分もそうです。指導者として置かれている状況で成果を出し、評価され、代表活動に加わることは、あるべき姿の一つだと思っています。

それに、元代表ではなくても、指導者として国内外で結果を出している方もいます。そうした方を全員、呼べるなら呼びたいですが、人数には限りはありますけどね。

前回のU-20代表に帯同してもらった豊島さん、佐藤さんは、一時的なものなので常に呼ぶというわけではないですが、彼らは初めてJFA夢フィールドに来てくれて、日本代表の写真が飾られているロッカールームを見て、目が潤んでいました。

彼らもまた、なにもないところからプレーしてきた選手でしたし、その光景に感動したようで、僕自身もうれしかった。フットサルに対してそういった思いを抱く方々に育成でも力を貸してもらえることは、今の選手にとってもプラスしかありません。

今シーズンも引退する選手がいて、その全員が指導者になるわけではないと思いますが、自分も引退後に指導を始めたように、育成やトップ、女子など、それぞれのカテゴリーで努力して成果を出してほしいですし、そういう人が増えてほしいと思っています。

バルドラール浦安も、他のチームもそうですが、浦安が試合をしてくれるのは、小宮山友祐監督の代表への思いもあるからだと思います。今回も、リーグ戦が終わった後の難しい時期に戦ってくれますし、代表チームの大きな味方です。

そうした指導者が若い選手やトップの選手と関わり、競争力を生み出し、それぞれのクラブから代表に一人でも送り込みたいという強い思いが、我々の力にもなります。そうした姿を見て、指導者を志したい人が生まれるサイクルができてほしいですね。今の状況は、あるべき姿の一つとして、自分としても誇らしく思っています。

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